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2013年のニュース

世界におけるインフルエンザ流行状況

2013年1月4日 WHO ( 原文〔英語〕へのリンク

要約

  • 過去2週間におけるインフルエンザの活動性に関する報告は、多くの国で休暇期間のため、変則的でした。その結果、北半球の温帯地域のほとんどの国で、全体的にインフルエンザウイルスの検出数は減少していると報告されていますが、インフルエンザの活動性は増加し続けているようです。
  • 北米、ヨーロッパ、アフリカ北部、地中海東部、アジアの温帯地域では、過去数週間、インフルエンザの活動性は増加していると報告されています。中国北部はインフルエンザの流行シーズンに入りました。
  • アジアの熱帯地域では、インフルエンザの活動性は過去数週間と同様であり、低い水準での伝播が続いています。
  • サハラ以南のアフリカでは、ほとんどの国で、インフルエンザの活動性は減少していますが、コンゴ民主共和国とガーナは例外です。
  • カリブ海、中米、南米の熱帯地域では、インフルエンザの活動性は低い水準に減少していますが、ボリビアは例外で、インフルエンザA(H3N2)の伝播が増加しています。
  • 現在、南半球の温帯地域では、インフルエンザの活動性はシーズンオフの水準です。
  • 未確認のマスメディアによる情報では、世界の様々な地域で、インフルエンザA(H1N1)pdm09の感染に関連して、かなりの死亡者が出ていると報道されています。特に、現在の北半球ではインフルエンザの流行シーズンに入っており、他の季節性インフルエンザウイルスと同様、いくらかの死亡者が発生すると予想されます。現時点で、これらの報道は、インフルエンザA(H1N1)pdm09を「豚インフルエンザ」と報道しており、最近、米国で報告された別のウイルスと多少なりとも混同を招いています。インフルエンザA(H1N1)pdm09は3年以上にわたって人の間で伝播しており、現在は季節性インフルエンザウイルスです。

北半球の温帯地域

北米

 北米では、インフルエンザの活動性が先週の報告から急激に増加しており、カナダと米国の両国はインフルエンザの伝播が広範囲であると報告しています。

 カナダのインフルエンザの活動性は増加し続けており、過去2週間、すべての指標が増加しました。現時点で、インフルエンザ様疾患(ILI)の受診率は、前回の報告の4%から6.6%に増加しました。受診率が最も高かったのは5歳未満の小児で、次いで5歳から19歳の年齢層でした。インフルエンザウイルスが陽性となった検体の割合も、前週の17.8%から31.1%に増加しました。過去2週間で、インフルエンザの集団発生は127件発生し、このうち87件が長期療養施設、9件が病院、1件が学校、30件はその他の施設や地域内で発生しました。集団発生件数は、前回の報告の22件より著しく増加しました。検査で確定診断されたインフルエンザに関連した入院患者は、5州で241人が報告されており、このうちインフルエンザA型が97%(241人中236人)でした。インフルエンザA型の半数(236人中117人)が亜型解析されており、97.5%(117人中114人)がインフルエンザA(H3N2)で、1.5%(117人中3人)がインフルエンザA(H1N1)pdm09でした。インフルエンザに関連した入院患者の半数以上(51%、241人中123人)が65歳以上でした。昨年の直近2週間で、インフルエンザに関連した死亡者は16人報告されており、すべてインフルエンザA型の患者でした。

 カナダでは、依然として、インフルエンザA型が優勢であり、インフルエンザB型の検出は非常に少数です。先週、インフルエンザが陽性となった検体のうち、97.7%(4,632検体中4,525検体)がインフルエンザA型であり、2.3%(4,632検体中107検体)がインフルエンザB型でした。亜型が解析されたインフルエンザA型のうち、97.4%(1,195検体中1,164検体)がインフルエンザA(H3N2)で、2.6%(1,195検体中31検体)がインフルエンザA(H1N1)pdm09でした。シーズン当初から、国立微生物学研究所で177株のインフルエンザウイルスの抗原解析が行われました。177株のうち、136株がインフルエンザA(H3N2)で、17株がインフルエンザA(H1N1)pdm09で、24株がインフルエンザB型でした。インフルエンザA(H3N2)の136株はワクチン株のA/Victoria/361/2011に抗原的に類似していました。また、インフルエンザA(H1N1)pdm09の17株はワクチン株のA/California/7/2009に抗原的に類似していました。インフルエンザB型ウイルスのうち、20株はワクチン株のB/Wisconsin/01/2010(山形系統)に抗原的に類似しており、4株はB/Brisbane/60/2008(ビクトリア系統で、2011年から2012年の季節性インフルエンザワクチンに含まれていた株)に類似していました。ノイラミニダーゼ阻害薬のオセルタミビルまたはザナミビルに対する抵抗性が認められた検体はありませんでした(オセルタミビルに対する抵抗性は128検体で検査、ザナミビルに対する抵抗性は127検体で検査)。

 米国でもインフルエンザの活動性は増加しており、疾病予防管理センター(CDC)は、過去約10年間において最も早く流行シーズンに入ったと報告しています。ILIの受診率は、先週の4.2%から5.6%に増加し、インフルエンザが陽性となった検体の割合も29.6%から31.6%に増加しました。シーズン当初にインフルエンザの活動性が最も高い地域は東部でしたが、現在は、太平洋岸を除くほぼすべての州で増加しています。インフルエンザの活動性が広範囲であると報告しているのは41州でした(先週は31州)。肺炎やインフルエンザによる死亡の割合は季節性の閾値を下回っていますが、インフルエンザB型ウイルスに関連した小児の死亡が2人報告されています(先週は8人)。

 米国では、検出されているインフルエンザウイルスの大部分がインフルエンザA(H3N2)ですが、カナダに比べてインフルエンザB型の検出割合は高くなっています。昨年の最終週にインフルエンザが陽性となった2,961検体のうち、79%がインフルエンザA型で、21%がインフルエンザB型でした。亜型の情報が得られたインフルエンザA型ウイルスのうち、98%がインフルエンザA(H3N2)でした。昨年10月1日以降、CDCは413株のインフルエンザウイルスの抗原解析を行いました。インフルエンザA(H1N1)pdm09の17株は、いずれも、A/California/7/2009-likeに類似しており、インフルエンザA(H3N2)の279株のうち99.3%は、A/Victoria/361/2011-likeでした。解析された115株のインフルエンザB型ウイルスのうち、69%は今シーズンに使用されている3価の季節性インフルエンザワクチンに含まれるB/Wisconsin/1/2010-like (山形系統)であり、31%はビクトリア系統でした。昨年10月以降に検査された、526株のインフルエンザA(H3N2)、39株のインフルエンザA(H1N1)pdm09、226株のインフルエンザB型ウイルスでは、ノイラミニダーゼ阻害薬に対する抵抗性は認められませんでした。

 先週は、新たに変異型のインフルエンザA型ウイルスに感染した者は報告されませんでした。昨年7月以降、11州から合計312人の感染者が報告されています。インフルエンザA(H3N2)vに関するさらに詳しい情報は、 CDCのホームページに掲載されています。

ヨーロッパ

 ヨーロッパのインフルエンザの活動性は、主に北部と西部で増加しています。休暇期間のため、全体的な報告数は減少しましたが、様々な地域で、インフルエンザウイルスの検出が増加したと報告している国が増えています。欧州疾病予防管理センター(ECDC)は昨年11月の最終週に欧州連合(EU)と欧州経済領域(EEA)の国々がインフルエンザの流行シーズンに入ったと公表しました。

 EUとEEAの国々では、臨床検体のうち25.3%がインフルエンザウイルス陽性であり、先週に比べて若干減少しました。ヨーロッパで検出されたウイルスの型や亜型の構成割合は、北米とは著しく異なっています。ヨーロッパ全体で、シーズン当初から検出されているインフルエンザウイルスのうち、インフルエンザA型が60%で、インフルエンザB型が40%を占めています。北米とは対照的に、亜型が解析されたインフルエンザA型ウイルスのうち、51%(1,293検体中655検体)はインフルエンザA(H3N2)で、49%(1,293検体中638検体)はインフルエンザA(H1N1)pdm09でした。昨年12月の最終週にはインフルエンザA(H3N2)に比べてインフルエンザA(H1N1)pdm09が占める割合が増加し、その週に定点医療機関から収集された検体で、亜型の情報が得られたもののうち72%(194検体中139検体)がインフルエンザA(H1N1)pdm09でした。

 昨年12月の最終週には、4か国(フランス、イタリア、オランダ、ノルウェー)が伝播の強さが中程度と報告しました。それまでは、2週間前にフランスとルクセンブルグが中程度の活動性を報告し、それ以前に中程度の活動性を報告した国はありませんでした。ベルギー、デンマーク、フランス、ノルウェー、英国(イングランド)では、インフルエンザの活動性が広範囲と報告されています。また、イタリア、オランダ、英国(スコットランド)では地域的と報告されており、エストニア、ギリシャ、リトアニア、スペインでは散発的と報告されています。過去2週間以前に広範囲な活動性を報告した国はありませんでした。

 定点医療機関でインフルエンザが陽性であった重症急性呼吸器感染症(SARI)の入院率も増加し、4か国(ベルギー、フランス、アイルランド、英国)で42人の確定患者が報告されました。

 昨年9月下旬以降、7か国(デンマーク、英国、ドイツ、ラトビア、ポルトガル、ルーマニア、スイス)で81株のインフルエンザウイルスの抗原解析が行われ、6株のインフルエンザA(H1N1)pdm09はA/California/7/2009(H1N1)-likeに抗原的に類似しており、52株のインフルエンザA(H3N2)はA/Victoria/361/2011-likeに抗原的に類似していました。また、15株はB/Wisconsin/1/2010-like(山形系統)、8株はB/Brisbane /60/2008-like(ビクトリア系統)に抗原的に類似していました。同時期に、28株のインフルエンザA(H1N1)pdm09、37株のインフルエンザA(H3N2)、16株のインフルエンザB型ウイルスが検査されましたが、いずれも、ノイラミニダーゼ阻害薬であるオセルタミビルとザナミビルに対する抵抗性は認められませんでした。

アフリカ北部と地中海東部

 北アフリカと地中海東部では、インフルエンザの活動性が増加していると報告されています。バーレーンとヨルダンでは、インフルエンザA(H1N1)pdm09の伝播が増加しており、イラン、オマーン、カタールでは、インフルエンザA(H1N1)pdm09とインフルエンザB型の検出が増加していると報告されています。パキスタンでは、インフルエンザA(H3N2)とインフルエンザB型の検出数が増加しました。アルジェリアでは、3種類の亜型すべてが伝播していました。

アジアの温帯地域

 アジアの温帯地域全体では、インフルエンザの活動性は依然として低い水準が続いていますが、中国北部でILIの活動性が5週連続で増加しました。ILIで定点医療機関を受診した外来患者の割合は、先週の3.2%から3.9%に増加しました。中国は、北部がインフルエンザの流行シーズンに入ったことを公表しました。先週、山西省と湖北省でインフルエンザの集団発生が4件発生しましたが、急性呼吸器感染症による死亡者は発生しませんでした。インフルエンザが検出された検体のうち、98%(192検体中188検体)がインフルエンザA型で、2%(192検体中4検体)がインフルエンザB型でした。亜型が解析されたインフルエンザA型のうち、81%がインフルエンザA(H3N2)で、19%がインフルエンザA(H1N1)pdm09でした。昨年10月以降、中国国家インフルエンザセンターで亜型が解析されたインフルエンザウイルスのうち、インフルエンザA(H3N2)ウイルスの198株はすべて(100%)A/Victoria/361/2011(H3N2)-likeに抗原的に類似しており、ビクトリア系統のインフルエンザB型ウイルスのうち69株(95.8%)はB/Brisbane /60/2008-like に抗原的に類似しており、山形系統のインフルエンザB型ウイルスの6株はすべて(100%)B/Wisconsin/01/2010-likeに抗原的に類似していました。検査されたインフルエンザ検体のうち、ノイラミニダーゼ阻害薬のオセルタミビルまたはザナミビルに対する抵抗性が認められたものはありませんでした。

 モンゴルでは、インフルエンザA(H3N2)が増加したことによって、インフルエンザの活動性が増加しました。全体的にはILIの活動性が増加しましたが、地域によって差があり、最も高い割合が報告されたのはセレンゲ県とドルノド県です。最近数週間のILIのほとんどは、RSウイルス、ライノウイルス、ヒトコロナウイルスなどの他の呼吸器感染症を起こすウイルスに関連していましたが、先週、検査されたILI患者の検体のうち約半数はインフルエンザ陽性となり、インフルエンザ陽性検体が占める割合が増加しました。

 日本と韓国のインフルエンザの活動性は、依然として低い状態が続いていますが、活動性が増加したとする根拠がみられます。日本ではインフルエンザA(H3N2)、韓国ではインフルエンザA(H3N2)とインフルエンザA(H1N1)pdm09が検出されています。

熱帯地域

アメリカ大陸の熱帯地域

 中米とカリブ海では、インフルエンザの検出は、夏の終わりにピークに達した後、低い水準に減少しました。最も広範囲に検出された亜型はインフルエンザA(H3N2)とインフルエンザB型ですが、キューバは例外で、インフルエンザA(H1N1)pdm09が多く検出されたと報告されています。

 南米の熱帯地域では、全域でインフルエンザの活動性は減少し続けており、すべての国でウイルス検出数も少数であると報告されています。しかし、ボリビアは例外で、インフルエンザA(H3N2)の伝播が増加していると報告されました。この地域で最も広範囲に検出された亜型はインフルエンザA(H3N2)とインフルエンザB型と報告されています。

サハラ以南のアフリカ

 サハラ以南のアフリカのほとんどの国では、インフルエンザの検出は減少しています。しかし、ガーナでは、主にインフルエンザA(H1N1)pdm09の伝播が続いていると報告されています。また、コンゴ民主共和国では、主にインフルエンザA(H1N1)pdm09によるインフルエンザの活動性が報告されています。ザンビアとマダガスカルでは、インフルエンザB型が低い水準で検出されていると報告されています。

アジアの熱帯地域

 東南アジアのほとんどの国では、インフルエンザの活動性は過去数週間と同様で、カンボジア、ラオス、スリランカ、タイ、ベトナムで低い水準の伝播が続いています。

 インドは、主にインフルエンザA(H1N1)pdm09が伝播し、昨年9月中旬にピークに達した後、インフルエンザが陽性となる検体も減少していると報告されており、現在はシーズンオフの水準です。スリランカでは、依然として、インフルエンザの3種類の亜型すべてが伝播していると報告されていますが、カンボジアとタイでは、インフルエンザA(H3N2)とインフルエンザB型が検出されています。ベトナムでは、先週と同様に、主にインフルエンザB型の伝播が報告されています。

 シンガポール、香港を含む中国南部では、インフルエンザの活動性は、依然として季節性の閾値を下回っています。シンガポールと中国南部では、インフルエンザ陽性検体の半数がインフルエンザA(H3N2)であり、香港では62%(45検体中28検体)がインフルエンザA(H1N1)pdm09で、4%がインフルエンザB型です。中国南部では、インフルエンザB型の検出が増加しました。

南半球の温帯地域

 現在、南半球の温帯地域のすべての国で、インフルエンザの活動性はシーズンオフの水準です。

出典

Influenza update 04 January 2013 - Update number 176
http://www.who.int/influenza/surveillance_monitoring/updates/latest_update_GIP
_surveillance/en/index.html