2013年のニュース

麻しんについて (ファクトシート) 

2013年1月 WHO( 原文〔英語〕へのリンク

概要

  • 麻しんは安全で費用対効果の高いワクチンがあるにもかかわらず、小児における主な死因の一つです。
  • 2011年には世界で158,000人が麻しんで死亡しており、毎日430人、1時間に18人が死亡したことになります。
  • 麻しんによる死亡の95%以上が保健基盤の弱い低所得国で起こっています。
  • 麻しんのワクチンによって、2000年から2011年の間の世界での麻しんによる死亡は、71%減少しました。
  • 2011年、世界の小児の約84%が1歳の誕生日までに定期予防接種として1回の麻しんのワクチン接種を受けています。2000年には72%でした。

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  麻しんは非常に伝染しやすい深刻なウイルス性疾患です。ワクチン接種が広く接種されるようになる前の1980年には、毎年推計260万人が麻しんで死亡していました。

 麻しんは安全で効果的なワクチンがあるにもかかわらず、世界的には依然として、小児における主な死因の一つです。2011年には、推計で158,000人が麻しんで死亡しました。そのほとんどが、5歳未満の小児でした。

 麻しんはパラミクソウイルス科のウイルスによる疾患です。麻しんウイルスは、通常、咽頭や肺の奥にある細胞内で増殖します。麻しんは人の疾患で、他の動物では起こりません。

 予防接種活動が加速され、麻しんによる死亡者数の減少に大きな影響を与えました。2000年以降、リスクの高い国に住む10億人以上の小児がワクチン接種を受け、そのうち2011年に接種を受けたのは約2億2,500万人でした。全世界での麻しんによる死亡者数は2000年の542,000人から71%減少し、2011年には158,000人でした。

所見と症状

 麻しんは通常、ウイルスに暴露した後、約10日から12日後に高熱で発症し、発熱は4日から7日間続きます。鼻水、咳、結膜発赤、涙目、頬部内側の白色発疹(コプリック斑)が最初の段階でみられます。数日後、発疹が、通常は顔面と上頚部に出現します。発疹は3日間以上にわたり拡大し、手や足にも出現します。発疹は5日から6日間続き、消退します。平均すると、ウイルスに暴露した後14日(7日から18日の幅があります)で発疹が出現します。

 重症麻しんは、貧しく栄養状態の悪い若年者、特にビタミンA不足やHIV/AIDSなどの疾患によって免疫機能が低下した人でよく起こるようです。

 麻しんに関連する死亡のほとんどは合併症によるものです。合併症は5歳未満の小児、または20歳を過ぎた成人で多く起こります。最も深刻な合併症には、失明、脳炎(脳浮腫を引き起こす感染症)、重症の下痢とそれに関連した脱水、耳への感染、肺炎のような重症呼吸器感染症があります。低栄養状態の割合が高く、適切なヘルスケアのない地域では、麻しん患者の10%が死亡します。妊婦が感染しても、重い合併症のリスクがあり、流産や早産が起こることもあります。麻しんに罹患し、回復した人は、生涯にわたり免疫が維持されます。

リスクのある人

 ワクチン未接種の小児は、麻しんと、死亡を含む麻しんの合併症のリスクが最も高いです。ワクチン未接種の妊婦にもリスクがあります。免疫のない人(ワクチン未接種の人、または、ワクチンを接種しても免疫がつかなかった人)は誰でも感染することがあります。

 麻しんは、発展途上国、特にアフリカやアジアの一部では、依然として、よくみられる疾患です。毎年2,000万人以上が麻しんに罹患しています。麻しんによる死亡の大部分(95%以上)は国民一人あたりの所得が低く、保健基盤の弱い国で起こっています。

 自然災害や紛争の起こっている国や、それらから復興する途中の国で、麻しんが流行すると特に致命的です。保健基盤や保健サービスへの打撃によって、定期予防接種が中断し、避難キャンプの混雑は感染のリスクをより増大させます。

伝播

 麻しんウイルスは非常に伝染しやすく、咳、くしゃみ、濃厚接触、感染した鼻咽頭の分泌物との直接接触で拡散します。

 ウイルスは、空中や物質の表面で、2時間生存し、感染性があります。感染者は発疹が出現する4日前から発疹が消退した4日後まで感染性があります。

 麻しんの集団発生は、特に栄養失調の若年者で多くの死亡者を出す流行となる可能性があります。麻しんがほぼ排除された国では、依然として、他国からの輸入症例が重要な感染源となっています。

治療

 麻しんウイルスに対する特異的な抗ウイルス薬はありません。

 麻しんの重症合併症は、栄養を充分にとり、適切な水分補給、WHOの推奨する経口補液(ORS)での補液を確実に行う支持療法で避けることができます。この補液は下痢や嘔吐で失った水分や他の必須元素を補うものです。抗生剤は、眼や耳の感染、肺炎の治療に対して処方されるべきです。

 発展途上国で麻しんと診断されたすべての小児は、ビタミンAの投与を24時間間隔で2回受けるべきです。この治療は栄養状態が良い小児で起こった麻しんであっても低いビタミンAの水準を補正し、眼の障害と失明を予防する助けになります。ビタミンAの補給は麻しんによる死亡を50%減少させることが示されています。

予防

 小児の麻しんワクチンの定期予防接種と、患者数と死亡率の高い国における集団予防接種キャンペーンは、いずれも世界的に麻しんによる死亡を減少させる公衆衛生戦略の鍵です。麻しんワクチンは40年以上使用されてきました。安全で効果的であり、安価です。一人の小児に麻しんワクチンを接種する費用は1米ドル未満です。

 麻しんワクチンは、しばしば風しんや流行性耳下腺炎のワクチンとともに、これらの感染症が問題となっている国において、一緒に接種されます。単独ワクチンでも混合ワクチンでも同等の効果があります。

 2011年には世界の小児の約84%が、通常の保健サービスとして、1歳の誕生日までに1回の麻しんワクチン接種を受けています。これは2000年の72%から増加しています。1回のワクチン接種では約15%の小児に免疫がつかないので、確実な免疫をつけ、集団発生を予防するためには、2回接種が推奨されます。

WHOの対応

 ミレニアム開発目標の第4目標(MDG4)では、1990年から2015年の間に、5歳未満の死亡率を3分の2に減少させることを目標としています。麻しんワクチンには小児の死亡率を低下させる可能性が認められ、麻しんワクチンの接種率が小児保健サービスの到達度のマーカーとして考えることができるので、麻しんワクチンの定期予防接種率はMDG4達成への進捗度の指標に選択されています。

 麻しん・風しん含有ワクチンへのアクセスを提供することの利点は、世界中で広く、多くの根拠によって示されています。2000年には、世界中で542,000人の小児が麻しんで死亡したと推計されています。2011年までに、ワクチン接種率を向上させる世界的な取組によって、死亡者数は71%減少しました。2000年以降、麻しん・風しんイニシアチブの支援により、10億人以上の小児がワクチン接種を受け、そのうち2011年に接種を受けたのは約2億2,500万人でした。

 麻しん・風しんイニシアチブは、麻しんと風しんをコントロールするための、WHO、国連児童基金(UNICEF)、アメリカ赤十字、米国疾病予防管理センター(CDC)、国連基金の共同活動です。

 2012年4月、麻しん・風しんイニシアチブは、2012年から2020年に実施する新たな麻しんと風しんの世界的戦略計画を公表しました。この計画には、2015年と2020年の世界的な目標が含まれています。

 2015年末までに

  ・麻しんの死亡を2000年の水準に比べて、少なくとも95%減少すること

  ・地域的な麻しんと風しん、先天性風しん症候群の排除目標を達成すること

 2020年末までに

  ・少なくともWHOの5地域で麻しんと風しんの排除を達成すること

 この戦略は、5つの中核的な内容の実施に焦点を合わせています。

 1. 麻しん・風しん含有ワクチンの2回接種の接種率を向上し、高い接種率を維持する

 2. 効果的なサーベイランスを用いて疾患を監視し、予防接種活動の振興と好影響を確実にする
  ために、計画に沿った努力を評価する

 3. 集団発生への備え、迅速な対応、適切な患者の治療を強化、継続する

 4. 予防接種に対する信頼と需要を築くために、コミュニケーションをとり、努力する

 5. 費用対効果の良い取組とワクチン接種や診断方法の向上を支援するために研究や開発を実
  施する

 この戦略計画の実施によって、世界中の小児やその母親の生命を守ることが、速やかにかつ持続的にできます。この計画は、2015年と2020年の麻しんと風しんのコントロールと排除の目標を達成するために、国内または国際的なパートナーと働いている国の予防接種の管理者に明確な戦略を提供するものです。これは、長年にわたる予防接種計画の実施の経験や、促進した麻しんのコントロールやポリオ根絶イニシアチブの教訓を踏まえています。

出典

WHO:Fact Sheet January 2013
 http://www.who.int/mediacentre/factsheets/fs286/en/index.html