2013年のニュース

肺炎について (ファクトシート)

2013年4月 WHO ( 原文〔英語〕へのリンク )

要点

肺炎は、世界中で小児の死亡の主な原因です。
    毎年、5歳未満の小児の120万人が肺炎で死亡していると推計されており、AIDSとマラリアと結核による死亡を合わせた数を上回っています。
   肺炎は、ウイルス、細菌、真菌によって起こります。
 肺炎は、予防接種、適切な栄養の摂取、環境要因に対処することによって予防できます。
 肺炎は、抗菌薬によって治療することができますが、肺炎にかかった小児のうち、約30%の小児だけが必要な抗菌薬による治療を受けています。

 肺炎は、肺に影響を及ぼす急性呼吸器感染症です。肺は、肺胞と呼ばれる小嚢(袋)からできており、肺胞は、健康な人が呼吸する時に空気で満たされます。肺炎にかかると、肺胞は膿や液体で満たされ、呼吸をする時に苦しく感じ、酸素の摂取量が制限されます。

 肺炎は、世界中で小児の単一の死因としては最大です。毎年、5歳未満の小児の120万人が肺炎で死亡していると推計されており、5歳未満の小児の死亡の18%の原因となっています。肺炎は、世界中で、小児やその家族に影響を与える疾患ですが、特に、南アジアとサハラ以南のアフリカで流行しています。小児を肺炎から守ることができます。肺炎は、簡単な介入で予防することができ、低価格で高度な技術の要らない医療で治療できます。 

原因

 肺炎は、ウイルス、細菌、真菌を含むさまざまな病原体によって起こります。以下に、主な病原体を示します。

肺炎球菌-小児の細菌性肺炎のうち、最も多い原因です
ヘモフィルスインフルエンザ菌b型(Hib)-細菌性肺炎のうち、2番目に多い原因です
RSウイルス-ウイルス性肺炎のうち、最も多い原因です
HIVに感染した小児では、ニューモシスチス(Pneumocystis jiroveci)が肺炎の主な原因の1つであり、HIVに感染した小児の肺炎による死亡のうち、少なくとも4分の1を占めています。

感染経路

 肺炎には、さまざまな感染経路があります。ウイルスや細菌は小児の鼻やのどによくみられ、吸い込んだ時に肺に感染します。また、咳やくしゃみによって生じる飛沫核によっても感染します。さらに、特に、出産時や生後間もない時には血液によって感染することもあります。肺炎を治療し、また、予防するために、肺炎を起こすさまざまな病原体と、それらの感染経路についてさらなる研究が必要です。

症状

 ウイルス性肺炎と細菌性肺炎は症状が似ています。しかし、ウイルス性肺炎は、細菌性肺炎よりも多彩な症状を呈することがあります。5歳未満の小児では、咳、呼吸困難の症状があり、熱の有無にかかわらず、呼吸促迫のほか、息を吸っている間、胸が内側に動くか、引き込まれることで、胸壁下部の引き込みがみられること(健康な人の場合、息を吸っている間、胸は広がります)により肺炎と診断されます。喘鳴はウイルス性肺炎でより一般的です。

 乳児の肺炎が非常に重症化すると、食べたり、飲んだりすることができなくなり、意識障害、低体温、痙攣が起こることがあります。

リスクのある人

 多くの健康な小児は自然抵抗力で感染と戦うことができますが、免疫抑制状態にある小児は、肺炎が進行する高いリスクがあります。小児の免疫系は、栄養失調や栄養不良、特に、完全母乳育児でない場合に弱まります。

 また、症候性のHIV感染や麻しんなどの病気も、小児が肺炎にかかるリスクを高めます。

 さらに、屋内で、木やこやしなどのバイオマス燃料を使って調理や加温をしたり、混雑した家に住んでいたり、親が喫煙したりするような環境要因も小児が肺炎にかかりやすくなる要因です。

治療

 肺炎は、抗菌薬で治療しなければなりません。ほとんどの肺炎に抗菌薬が必要であり、しばしば、保健センターで処方されます。これらの患者は、地域の中で、訓練されたコミュニティ・ヘルス・ワーカーによって診断され、安価な経口抗菌薬で治療することができます。2か月未満の乳児の肺炎患者すべてと重症の肺炎患者には入院が勧められます。

予防

 小児の肺炎を予防することは、小児の死亡を減らすために必須の戦略の一部です。Hib、肺炎球菌、麻しん、百日咳に対する予防接種は、肺炎を予防する上で、最も効果的です。

 生後6か月間は完全母乳で育児し、適切な栄養を摂取することで、小児の自然抵抗力は向上します。これは、効果的に肺炎を予防することに加えて、小児が病気になった時に、その病気にかかっている期間を短縮することにもなります。

 屋内の空気汚染のような環境要因に対処すること(例えば、手ごろで清潔な屋内用ストーブの提供など)や混雑した家の中で衛生習慣を励行することも肺炎にかかる小児を減少させます。

 HIVに感染した小児には、肺炎にかかるリスクを減らすために、抗菌薬のコトリモキサゾールが毎日投与されます。

経済的費用

 母子生存のための2015年までの最終段階にある66か国において、肺炎の小児を抗菌薬によって治療するのに必要な費用は、毎年約1億900米ドルと推計されています。この費用には、抗菌薬の費用のほか、診断、管理に必要な費用も含まれています。

WHOの対応

 2013年、WHOとUNICEFはGAPPD(肺炎と下痢に対する総合的なグローバル・アクション・プラン)を立ち上げました。その目的は、小児を肺炎から守り、予防し、治療するために、下記の介入を組み合わせて、肺炎の制御を進めることです。

小児を肺炎から守ることには、完全母乳と適切な補完食の摂取の推進が含まれます。
予防接種の実施、手洗いの励行、屋内の空気汚染を減少させること、HIVの感染予防、HIVに感染した小児や暴露した小児に対するコトリモキサゾールの予防投与で肺炎を予防します。
肺炎の治療は、病気になったすべての小児が適切な医療を受けられるようにすることに焦点を当てており、地域の医療従事者や、重症化した場合には医療施設で治療を受け、回復に必要な抗菌薬や酸素の投与が受けられるようにします。

出典

WHO
Pneumonia Fact sheet N°331 April 2013
http://www.who.int/mediacentre/factsheets/fs331/en/index.html