2013年のニュース

ポリオについて (ファクトシート)

2013年4月 WHO ( 原文〔英語〕へのリンク )

要点

ポリオ(急性灰白髄炎)は、主に5歳未満の小児が罹患する疾患です。

  200人の感染者のうち1人に不可逆性の麻痺が起こります。麻痺を起こした患者の5%から
   10%は呼吸筋が機能せずに死亡します。

  ポリオの患者は、1988年には35万人いたと推計されていますが、2012年には99%以上減
   少し、223人と報告されました。この減少は、この疾患を根絶するための世界的な努力の
   結果です。

  1988年には125か国以上のポリオの常在国がありましたが、2012年の常在国は3か国(ア
   フガニスタン、ナイジェリア、パキスタン)のみです。

  小児が1人でも感染していれば、すべての国の小児がポリオに罹患する可能性があります。
   10年以内に最後に残った常在国からポリオを根絶することができなければ、毎年20万人も
   の新規患者が発生し得ます。

  ほとんどの国で、効果的なサーベイランスと予防接種システムを確立することにより、他の
   感染症にも取り組む能力を高めるよう包括的な努力がなされています。

ポリオとその症状

 ポリオはウイルスによって起こる、感染力の強い疾患です。ウイルスは神経系に侵入し、数時間で全身の麻痺を起こすこともあります。ウイルスは経口感染し、腸内で増殖します。初期症状は発熱、全身倦怠感、頭痛、嘔吐、項部硬直や四肢の痛みです。200人の感染者のうち1人の割合で、不可逆性の麻痺(通常は下腿)が起こります。麻痺を起こした患者の5%から10%は呼吸筋が機能せずに死亡します。

リスクの高い人

 ポリオは主に5歳未満の小児で起こります。

予防

 ポリオの治療方法はなく、予防のみが可能です。ポリオワクチンの複数回接種が小児の命を守ります。

世界での発生数

 1988年には125か国以上の常在国があり、ポリオの患者は35万人発生していたと推計されていますが、2012年には99%以上減少し、患者は223人が報告されました。2013年は、世界で3か国の一部地域(過去で最も狭い地域)のみに常在しており、野生株ポリオ3型の症例数は今までの最低水準に減少しています。

世界ポリオ撲滅イニシアチブ

開始

 1988年の第41回世界保健総会で、ポリオを全世界で根絶する決議が採択されました。そこで、各国政府、WHO、国際ロータリー、米国疾病予防管理センター(CDC)、国連児童基金(UNICEF)が主導し、ビル&メリンダ・ゲイツ財団を含む主要な関係機関の支援を受け、世界ポリオ撲滅イニシアチブが始まりました。これは、1980年の天然痘撲滅宣言に続き、1980年代中にアメリカ大陸からポリオウイルスを排除するために進展しているもので、国際ロータリーがすべての小児をポリオから守るために基金を設立するという公約です。

進展

 全般的にみて、世界ポリオ撲滅イニシアチブが発足して以来、この疾患の患者数は99%以上減少しました。2013年に、世界でポリオが常在している国は、ナイジェリア、パキスタン、アフガニスタンの3か国のみです。

 1994年にWHOアメリカ地域はポリオの根絶を宣言し、2000年にはWHO西太平洋地域、2002年6月にはWHOヨーロッパ地域がそれぞれポリオの根絶を宣言しました。3種類の野生株ポリオウイルス(1型、2型、3型)のうち、2型の野生株ポリオウイルスの伝播を止めることに成功しました(1999年)。

 今日、ワクチンがなければ麻痺が起こったかもしれない1000万人以上の人が歩いています。ポリオの予防接種活動中に組織的にビタミンAを投与することで、推計150万人以上の小児の死亡を防ぐことができました。

機会とリスク:緊急的なアプローチ

 ポリオ根絶に対する戦略は、完全に実施されることで成功します。これは、2011年1月に、おそらく最も技術的に困難な場所で、ポリオの伝播を止めることができたインドの成功によって明らかにされていることです。しかし、戦略的なアプローチが実施されなければ、ウイルスの伝播が継続します。伝播が継続しているのは、ナイジェリア、パキスタンとアフガニスタンです。 10年以内に最後に残った常在国からポリオを根絶することができなければ、毎年20万人もの新規患者が発生し得ます。

 疫学的な好機であり、潜在的に失敗した場合の大きなリスクが認知され、2012年5月の世界保健総会では、ポリオの根絶を達成することは世界的な公衆衛生上の緊急事態であると宣言する決議が採択され、世界から永久的にポリオを根絶するために、2018年までの包括的なポリオの根絶と終盤戦略の展開が求められました

 その後、3か国の常在国は、それぞれの国の国家元首が監督するポリオ緊急行動計画を開始しました。また、世界ポリオ撲滅イニシアチブの関係機関は、2012年から2013年の世界ポリオ緊急行動計画を立ち上げ、常在国の活動を緊急事態の体制にシフトさせました。2013年当初の時点で、緊急的なアプローチの影響は見られており、患者の発生国数、発生地域数、患者報告数は、これまでになく少数です。

 さらに、ポリオの常在国、関係者、資金提供団体、関係機関、国内外の諮問機関との協議の結果、2013年から2018年に展開する新たなポリオの根絶・終盤戦略計画(Polio Eradication and Endgame Strategic Plan)が取りまとめられました。 新しい計画は、2013年4月末にアラブ首長国連邦のアブダビで開催された、世界的なワクチンに関するサミットで公表されました。これは、野生株のポリオウイルスとワクチン由来のポリオウイルスのすべての型によるポリオを同時に根絶する初めての計画です。6年以上にわたる計画実行期間中に55億米ドルの費用が生じると計算されていますが、世界的な主導者と個々の資金提供者は、その費用の4分の3を負担し、この計画に合意しました。彼らは、また、世界からポリオが根絶された状態を維持するために必要な15億米ドルを提供する新たな資金提供者を求めました。

ポリオ撲滅のさらなる利点

 ポリオが根絶されると、人々が住んでいる場所にかかわらず、世界的な公衆衛生上の偉大な成果の恩恵を受けることができます。経済学的なモデルでは、ポリオが根絶されると、ほとんどの低所得国で、今後20年間に少なくとも40億米ドルから50億米ドルの経費削減になると推計されています。最も重要なことは、ポリオの根絶に成功するということは、ポリオによって生涯にわたって麻痺に苦しむ小児がいなくなるということです。

出典

WHO:Fact sheet N°114 April 2013
http://www.who.int/mediacentre/factsheets/fs114/en/index.html