世界におけるインフルエンザ流行状況 (更新23)

2013年11月22日 WHO(原文〔英語〕へのリンク

要約

  • 北米におけるインフルエンザの活動性は、全体的に過去3週間以上に渡ってわずかに高まりましたが、依然として全域で低い水準でした。
  • ヨーロッパにおけるインフルエンザの活動性は、依然として低い水準でした。定点や定点以外の機関で採取された検体から散発的にインフルエンザが検出されたと報告したのは数か国のみでした。
  • 北アジアでは、中国の北部とモンゴルでインフルエンザの活動性が若干高まりました。
  • 南アジアにおけるインフルエンザの伝播は低い水準でした。香港と中国南部では、インフルエンザの検出数は減少しました。東南アジアでは、ベトナムでインフルエンザの活動性は低下しましたが、カンボジア、ラオス、タイでは高まりました。東南アジアでは、インフルエンザA(H1N1)pdm09、インフルエンザA(H3N2)、インフルエンザB型がともに伝播したと報告されました。
  • 中米のカリブ海諸国と南米の熱帯地域では、インフルエンザA型の検出数は依然として低い水準でした。数か国では、依然としてRSウイルスが優勢でしたが、RSウイルスの活動性は概ね想定される季節性の水準内でした。
  • 南半球のインフルエンザのシーズンは概ね終息しました。
  • 季節性のインフルエンザウイルス以外のインフルエンザウイルスに関する詳細な情報は、世界保健機関(WHO)のウェブサイトを参照してください。
    http://who.int/influenza/human_animal_interface/HAI_Risk_Assessment/en/index.html

北半球の温帯地域

北米

全体として、北米全域におけるインフルエンザの活動性は、依然として低い水準でした。カナダと米国におけるインフルエンザの活動性は、過去3週間以上に渡って若干高まりました。メキシコにおけるインフルエンザの活動性は、2か月間(7月から8月)で高まった後、依然として低い水準でした。10月最終週に比べ、急性呼吸器感染症(ARI)の報告は8.6%減少し、肺炎の報告は3.9%減少しました。

ヨーロッパ

ヨーロッパにおけるインフルエンザの活動性は、依然として低い水準でした。定点や定点以外の機関で採取された検体でインフルエンザが散発的に検出されたと報告したのは数か国のみでした(最近の報告では1.2%でした)。重症急性呼吸器感染症(SARI)による入院患者数は、依然としてシーズンオフの水準でした。これまでに、SARI の患者でインフルエンザウイルスが陽性となった患者は発生していません。

アフリカ北部、西アジア、中央アジア

アフリカ北部、西アジア、中央アジアにおけるインフルエンザの活動性は低い水準でした。アゼルバイジャンとグルジアでは、9月初旬以降、インフルエンザ様疾患(ILI)の活動性が高まりました。アゼルバイジャン、バーレーン、イスラエル、ヨルダンでは、インフルエンザは散発的に検出されたと報告されました。

北アジア

北アジアにおけるインフルエンザの活動性は、10月初旬以降、高まりました。モンゴルでは、8月中旬以降、臨床的な呼吸器疾患の活動性が高まり始めましたが、ILIの罹患率はこの時期に国内で想定される水準内でした。この時期に検出されたインフルエンザウイルスは1検体のみであり、ILIの罹患率の増加は、おそらく他の呼吸器疾患を起こすウイルスによるものと考えられました。中国北部では、10月初旬以降、インフルエンザの検出数が増加し、先週のインフルエンザが陽性となった検体の割合は0.8%と報告されました。季節性インフルエンザの3種類の型・亜型すべてが報告されました。

熱帯地域

アメリカ大陸の熱帯地域

全体として、カリブ海諸国と中米におけるインフルエンザの活動性は低い水準でした。インフルエンザの伝播は、過去数週間で概ね終息に向かい、インフルエンザA型ウイルスの検出数は減少しました。キューバとドミニカ共和国ではインフルエンザB型が優勢で、コスタリカ、エルサルバドル、グアテマラ、ホンジュラス、ジャマイカではインフルエンザA型が優勢でした。キューバでは、過去5週間以上に渡って減少傾向を示しました。グアテマラでは、インフルエンザの患者の割合は過去3週間に比べ、減少しました。また、ホンジュラスの患者数はインフルエンザシーズンが終息したことを示しました。しかし、エルサルバドルでは、先週に比べてインフルエンザの患者数は増加したと報告され、インフルエンザB型とインフルエンザA(H1N1)pdm09が報告されました。

南米の熱帯地域では、7月から8月にかけてインフルエンザの活動性が高まった後、急性呼吸器疾患を起こすウイルスの活動性は低下し続けました。ベネズエラでは、ARIと肺炎の発生は例年同時期の予測される水準内でした。エクアドルでは、5月にインフルエンザA(H3N2)による1つ目のピークと9月にインフルエンザA(H1N1)pdm09による2つ目のピークがみられた後、インフルエンザが陽性となった検体の割合は着実に減少しました。ペルーでは、インフルエンザの活動性は7月にピークに達したようで、現在はシーズンが終息したようです。ボリビアでは、SARIに関連した入院率は、昨年の同時期のデータに比べ、特に、東部のサンタ・クルス(Santa Cruz)で依然として高い水準と報告され、この増加はインフルエンザA(H1N1)pdm09(既に減少しています)とパラインフルエンザに関連しました。ブラジルでは、7月以降、インフルエンザの陽性検体数が減少し続け、インフルエンザのシーズンの終息を示しています。

中部アフリカの熱帯地域

コートジボワール、ガーナ、ケニアで、インフルエンザウイルスが検出されたと報告されました。コートジボワールでは、インフルエンザの患者数は過去数か月間に報告された数と同様の水準でした。インフルエンザB型が優勢でしたが、先週はインフルエンザA(H3N2)とインフルエンザA(H1N1)pdm09が優勢になりました。ガーナでは、先週、主にインフルエンザA(H3N2)が検出されましたが、インフルエンザA(H1N1)pdm09とインフルエンザB型も少数報告されました。ケニアでは、インフルエンザの活動性は過去3週間以上に渡って比較的高い水準であり、インフルエンザA(H1N1)pdm09、インフルエンザA(H3N2)、インフルエンザB型ウイルスがともに伝播したと報告されました。

アジアの熱帯地域

南アジアにおけるインフルエンザの伝播は低い水準でした。イランとパキスタンでインフルエンザが散発的に検出されたと報告されました。香港では、10月初旬以降、インフルエンザに関連した入院率とILIの受診率の減少がみられました。この地域で11月にインフルエンザが陽性となった検体の割合は5%を下回りました。中国南部では、10月初旬以降、インフルエンザの活動性は低下しました。最近の報告では、インフルエンザが陽性となった検体の割合は7.6%と報告されました。主にインフルエンザA(H3N2)ウイルスが検出されたと報告されましたが、インフルエンザA(H1N1)pdm09とインフルエンザB型ウイルスも検出されました。

東南アジアにおけるインフルエンザの伝播は依然として全体的に中程度の水準で、国によって異なりました。ラオスでは、9月初旬以降、インフルエンザA(H1N1)pdm09とインフルエンザA(H3N2)の伝播が増加したことによって、インフルエンザの活動性が高まりました。タイでは、9月初旬以降、ILIの活動性は減少し、11月初旬以降は季節性の流行閾値を下回り、安定した水準でした。しかし、11月初旬以降、主にインフルエンザA(H3N2)の伝播が増加したことによって、インフルエンザの検出数が再び増加しました。ベトナムでは、10月初旬以降、インフルエンザが陽性となったILI患者の検体数とインフルエンザの陽性検体数は減少しました。カンボジアでは、9月中旬以降、主にインフルエンザB型の伝播が増加したことによって、インフルエンザの活動性が高まりました。

南半球の温帯地域

南米の温帯地域

南米の温帯地域におけるARIの活動性は、この時期に想定される水準であったと報告されました。しかし、パラグアイは例外で、ILIの活動性が高い水準でした。チリでは、呼吸器疾患を起こすウイルスは依然としてRSウイルスが最も多く検出されましたが、7月にピークに達した後、低下傾向が続きました。チリでは、ILIの活動性は依然として低く、過去3週間以上に渡るインフルエンザの患者数はインフルエンザB型が優勢でした。パラグアイでは、ILIの受診率は9月初旬以降増加し、この時期に想定される水準よりも高い水準でしたが、この期間におけるインフルエンザウイルスの検出数は減少したため、このILIの活動性の高まりはインフルエンザの水準と相関しません。

南アフリカの温帯地域

南アフリカでは、6月にインフルエンザA(H1N1)pdm09によるインフルエンザの活動性がピークに達した後、9月と10月初旬にインフルエンザA(H3N2)の増加による小さな2つ目のピークが見られました。過去3週間のデータは、最近はインフルエンザB型が優勢であることを示しました。

オセアニア、メラネシア、ポリネシア

全体的に、オーストラリア、ニュージーランド、太平洋諸島におけるインフルエンザの活動性は低下しました。オーストラリアとニュージーランドでは、インフルエンザの全指標が低下傾向を示し、シーズンの終わりが近いことを示しています。

出典

Influenza update22November2013 - Update number 199

http://www.who.int/influenza/surveillance_monitoring/updates/latest_update_GIP_surveillance/en/index.html