西アフリカから帰国した渡航者(米国人)でのラッサ熱

2014年4月4日 CDC(原文[英語]へのリンク

接触者調査の実施中;他の渡航者へのリスクは非常に低いと推察されます。

4月4日付で公表された米国疾病対策センター(CDC)とミネソタ州健康局(MDH)は、西アフリカから米国へ帰国した渡航者でラッサ熱を確定診断しました。患者は発熱と意識障害で3月31日にミネソタ州の病院へ入院しました。血液検体がCDCへ送付され4月3日にラッサ熱陽性と診断されました。患者は回復しつつあり、状態は安定しています。

“今回の輸入例は、私たちすべてが国際渡航でつながっていることを再確認させるものです。世界のどこかで発生した疾患は世界の他地域のどこでも数時間のうちに発生する可能性があります”とCDC責任者のTom Frieden MD, MPHは述べています。

ラッサ熱は重症のウイルス性疾患で西アフリカではよく見られますが、米国ではまれです。これまでに報告されたラッサ熱症例7例は、全員が渡航に関連しており米国内で確認されました。最近の報告症例は2010年ペンシルベニアで報告された1例です。ラッサ熱の感染者は出血症状を呈しますが、現在西アフリカで発生しているエボラ出血熱とは関係ありません。

西アフリカでは、ラッサウイルスはげっ歯類に感染し、感染したげっ歯類の尿や飛沫と接触することでヒトに伝播されます。まれに患者の血液や体液に直接接触したり、粘膜と接触したり、性行為でヒトからヒトへ伝播します。日常の接触でウイルスが伝播することはありません。毎年西アフリカではおよそ10万人から30万人の患者が発生し、約5千人がラッサ熱で死亡しています。

CDCは公衆衛生担当者や航空会社と協力し、患者の西アフリカからの渡航ルートや患者と濃厚接触した乗客や関係者がいないかを調査しています。予備的な情報として患者は西アフリカからニューヨークへ移動し、さらに別の便でミネアポリスへ移動しました。

“ラッサウイルスのヒトへの伝播の方法を知るかぎりにおいて、他の渡航者や公衆へのリスクは非常に低いです。”とCDCのDivision of Global Migration and Quarantineの責任者Martin Cetron MD, MPHは述べています。

“日常の接触でラッサ熱にかかるリスクはありません。同じ航空機に乗り合わせた人や同じ空港内に居合わせた人で感染することはないでしょう”とCDCのHigh-Consequence Pathogens and Pathologyの責任者で疫学者、検査室での検査を担当したBarbara Knust DVM,MPHは述べています。

この調査の一環として、CDCは航空会社へ感染患者の座席の近くに座った乗客や乗員の接触情報を集めています。CDCは暴露した可能性のある乗客が居住する州及び地域の保健当局へ乗客の接触情報を提供する予定です。

ラッサ熱に関するさらなる情報はCDCのウェブサイトをご覧ください。
http://www.cdc.gov/vhf/lassa/

航空機接触者調査の情報は以下をご参照ください。
http://www.cdc.gov/quarantine/contact-investigation.html

出典

CDC Press Release
Lassa Fever Reported in U.S.Traveler Returning from West Africa
http://www.cdc.gov/media/releases/2014/p0404-lassa-fever.html

参考

世界保健機構(WHO)アフリカ地域事務局(AFRO)
http://www.afro.who.int/index.php?option=com_docman&task=doc_download&gid=9154&Itemid=2593