世界におけるインフルエンザの流行状況について (更新12)

2014年6月30日 WHO (原文[英語]へのリンク

要約

世界的にみて、インフルエンザ活動性は低いものでした。

  • 北米とヨーロッパでは、全体的にインフルエンザ活動性はシーズンオフのレベルでした。
  • 東アジアでは、インフルエンザの活動性はほとんどの国でシーズンオフのレベルに近づきました。しかし中国の南部ではインフルエンザ活動性がわずかに増加しそのほとんどはインフルエンザA(H3N2)ウイルスによるものでした。
  • 南アジアと東南アジアでは、インフルエンザの活動性は低下し続けましたが、例外的にシンガポールでは急性呼吸器感染症の割合は低いもののインフルエンザ活動性の増加が認められました。
  • 北アフリカと西アジアではインフルエンザ活動性は低いままでした。
  • 南半球では、インフルエンザの活動性は低いままでしたが、南米の温帯地域のいくつかの国ではインフルエンザ様疾患(ILI)の活動性が高くインフルエンザウイルスの検出が増加しました。
  • FluNet報告(協定世界時間6月26日12:35)によりますと2014年第23週から第24週(2014年6月1日から6月14日)までに76の国・地域にある国のインフルエンザ・センター(NICs)やその他の国内のインフルエンザ研究施設からデータが報告されました。WHO世界インフルエンザサーベイランス及び対応システム(GISRS)の検査施設では、26,592以上の検体を検査しました。インフルエンザが陽性となったのは1,838検体で、このうち1,345検体(73.2%)がインフルエンザA型で、493検体(26.8%)がインフルエンザB型でした。亜型が解析されたインフルエンザA型ウイルスのうち、207(18.9%)がインフルエンザA(H1N1)pdm09、888検体(81.1%)がインフルエンザA(H3N2)でした。解析されたインフルエンザB型ウイルスのうち、10検体(71.4%)がB-山形系統で、4検体(28.6%)がB-ビクトリア系統でした。
  • 鳥インフルエンザウイルスA(H7N9)の人への感染に関する更新情報は、WHOのウェブサイトを参照してください。http://www.who.int/influenza/human_animal_interface/influenza_h7n9/

北半球の温帯地域

北米
北米では、すべての国でインフルエンザ活動性はシーズンオフのレベルで、例年同時期で予想されるインフルエンザB型ウイルスの低い循環がみられました。

ヨーロッパ
ヨーロッパでは、インフルエンザの活動性は全体的にシーズンオフのレベルです。重症急性呼吸器感染症(SARI)の入院数とインフルエンザ陽性SARI検体数はさらに減少しました。

北アフリカ、西アジア、中央アジア
北アフリカ、中央アジアと西アジアでは、ほとんどの国でインフルエンザの活動性は低いままでした。エジプトとチュニジアではインフルエンザ陽性検体の割合が前週よりも高く、検査された検体数は多くありませんでしたがそのほとんどの症例でインフルエンザB型ウイルスが検出されました。バーレーンは最近インフルエンザA(H1N1)pdm09ウイルスが低いレベルで循環しインフルエンザの活動性が継続していると報告しました。

イランではインフルエンザの検出(主にインフルエンザA(H1N1)pdm09とインフルエンザB)が増加していると報告がありました。オマーンでは3月からインフルエンザA(H1N1)pdm09ウイルスの検出が報告されました。

東アジア
東アジア地域では、インフルエンザの活動性は低下し続けました。インフルエンザA(H3N2)とB型が優勢に循環したウイルスでしたが、低いレベルでインフルエンザA(H1N1)pdm09も検出されました。

モンゴルでは、ILI活動性は全体的に低下傾向を示しました。中国では、インフルエンザが陽性となった検体の割合は低いままでしたが、そのほとんどはA(H3N2)とインフルエンザB型ウイルスでした。中国南部でのILI割合はわずかに増加し例年同時期で予想される割合よりも高く、そのほとんどがA(H3N2)の検出でした。日本と韓国ではインフルエンザ活動性はシーズンオフのレベルに達しました。

熱帯地域

アメリカ大陸の熱帯地域/中米とカリブ海諸国
カリブ海諸国、中米、南米の熱帯地域におけるインフルエンザの活動性は、全体として低いレベルでした。ボリビア、ブラジル、ドミニカ共和国の熱帯地域では主にインフルエンザA(H3N2)とインフルエンザB型ウイルスによるわずかな症例が報告されました

中央アフリカの熱帯地域
アフリカでは、西アフリカ、中部アフリカ、東アフリカの全域からインフルエンザの活動性が低レベルで報告されています。しかしカメルーンでは活動性の増加が報告され主にインフルエンザA(H3N2)ウイルスの検出でした。

アジアの熱帯地域
ほとんどの南アジア、東南アジア諸国では、インフルエンザの活動性は低下しているか低いレベルにとどまりました。

ラオス、タイ、ベトナムではインフルエンザ活動性が減少しました。シンガポールではインフルエンザ陽性検体(主にインフルエンザB型ウイルス)が多数報告されましたが、急性呼吸器感染症の活動レベルは基準値に達していませんでした。

南半球の温帯地域諸国
南半球におけるインフルエンザ活動性は、比較的低いままでしたが、インフルエンザA(H1N1)pdm09、A(H3N2)、インフルエンザB型ウイルスが散発的に検出されました。

チリではインフルエンザが増加し続け、ILIレベルも予想されるレベルまで増加しました。インフルエンザ陽性検体のほとんどはインフルエンザA(H3N2)でした。

パラグアイではILI受診率が例年同時期に予想されるレベルを超えて増加しました。インフルエンザ陽性検体のすべてがインフルエンザB型でした。

南アフリカでは、インフルエンザ活動性がいくらかみられそのほとんどがインフルエンザA(H3N2)でしたが、検出は散発的でした。

オーストラリアとニュージーランドでは、インフルエンザ活動性は低く季節的な閾値には達していませんでした。オーストラリア国内ではインフルエンザの活動レベルは安定していましたが、ニュージーランド国内では活動性が増加しインフルエンザAが優勢なウイルス型でした。このうち亜型ではインフルエンザA(H1N1)pdm09がほとんどでした。

太平洋諸島でのILI活動性は様々で、いくつかの島々では減少傾向がみられました。しかし、フィジー、フランス領ポリネシア、グアム、ツバルではILI活動性は増加しました。

出典

Influenza update30 June 2014 - Update number 214
http://www.who.int/influenza/surveillance_monitoring/updates/latest_update_GIP_surveillance/en/