西アフリカにおけるエボラ出血熱の発生状況について (更新2)

7月3日付けの世界保健機関(WHO)アフリカ地域事務局(AFRO)の情報による西アフリカにおけるエボラ出血熱の発生状況です。

ギニア、シエラレオネ、リベリアにおけるエボラウイルス疾患の発生は都市部、へき地の両方で初発患者、二次ウイルス伝播が続いており深刻な事態のままです。現在の傾向とこの流行拡大が持続する潜在的なリスク要因の解析がなされました。EVD流行拡大がこの地域で続いていることの大きな要因には以下が含まれます。

  • いくつかのネガティブな文化的慣行や伝統的な信仰が、推奨される公衆衛生上の予防対策の受け入れに疑念、不安、抵抗をもたらしていること。この中には、ヘルスケアを受けるのではなく、患者を隠したり、EVD患者を家庭で看病したり、遺体を慣例で処理したりすることが含まれます。これらの行為はエボラウイルスの暴露をコミュニティ内でさらに拡大させるリスクが非常に高いです。その結果、コミュニティ内での死亡の報告が続いています。さらに、家庭で看病されているEVD患者への接触の可能性や慣例的な埋葬儀礼の間の暴露はシステム上検知できず、監視することができません(エボラウイルスのコミュニティ伝播の封じ込めには必須の方法です)。それ故これは流行を加速させる大きな要因です。
  • 国内、国境地域での広域にわたる人々の移動が3か国内、3か国間での速い感染拡大をさらに加速させています。国境地域に沿ったコミュニティは同様の生活様式をもち、共通の社会、文化行動、例えば国境を越えて病気の親戚を訪問することや親戚の葬式への参列がウイルス伝播をさらに高めます。さらに国境を超えた移動が接触者の追跡とフォローアップを困難にし、何人かの接触者はフォローアップできなくなります。
  • 現在、効果的な流行封じ込め対策の普及は広範囲ではありません。3か国におけるEVD流行の前例のない地理的拡大に対して、巨大で強固な対応能力と人的資源、財政的、戦略的、物流的な必要要件に関する仕組みが要求されます。これは西アフリカで初めての大きなEVD流行であり、流行国は特にウイルス性出血熱の流行に対する準備と対応への能力と仕組みが脆弱です。最後に、いくつかのコミュニティの不安が感染者の効果的な流行制御対策へのアクセスを制限しています。

保健部門の対応

エボラウイルスのさらなる拡大を迅速に阻止するため、WHOは西アフリカにおけるエボラウイルス疾患に関する保健大臣会議を開催しました。会議は2014年7月2日-3日にガーナのアクラで開催され、アフリカ地域の11か国(コートジボアール、コンゴ民主共和国、ガンビア、ガーナ、ギニア、ギニア-ビサウ、リベリア、マリ、セネガル、シエラレオネ、ウガンダ)の保健大臣や疾病予防対策局長やパートナーとしてエボラ回復者、航空会社代表者、採掘会社、ドナーコミュニティ(支援団体)が参加しました。

会議の目的は各国とパートナー間で西アフリカにおけるエボラウイルス伝播の持続を遮断する最適な方法の合意を得ることであり、そのことで現在及び将来におけるEVD流行による人的、社会的、経済的な影響を減ずるためです。会議の焦点は隙間(ギャップ)や課題を含む現状と対応の明確な理解を得ること;流行制御のための包括的な対応計画の運用発展;リスクのある国によって実施されるべき準備行動の優先順位;そしてEVD流行へ最も適切に対応することを各国政府が誓約することです。

WHOとGOARN(地球規模感染症に対する警戒と対応ネットワーク)の技術的パートナー、国連機関、資金援助者は継続して必要な技術的支援を提供し、ウイルスのコミュニティ内や医療施設内での伝播を阻止するため保健省を支援しています。

支援は、専門家の追加配置;現地での物資提供;現地検査室の設置や個人防護装備や医薬品を含む装備の提供の形で供給されています。

WHOは、この事例に関する現在の情報からは、ギニア、リベリア、シエラレオネへの渡航や貿易を制限することを推奨していません。

統計の概要

エボラウイルス疾患の新たな患者と死亡者について西アフリカ3か国ギニア、リベリア、シエラレオネの保健省から報告が続いています。2014年7月1日から2日の間に、EVDの新たな患者21人が死亡者14人を含み3か国から報告されました:ギニアでは新患者なしと死亡者2人、リベリアでは患者8人、死亡者10人、シエラレオネでは患者13人、死亡者2人です。この人数には確定、可能性の高い、疑いのある患者と死亡者が含まれます。

2014年7月2日までにEVDに感染した患者の累計数は、死亡者481人を含む779人となりました。患者の分布と分類は以下のとおりです:ギニア患者412人(確定患者292人、可能性の高い患者100人、疑い患者20人)、死亡者305人(確定死亡者194人、可能性の高い死亡者94人、疑い死亡者17人)、リベリア患者115人(確定患者54人、可能性の高い患者24人、疑い患者37人)死亡者75人(確定死亡者38人、可能性の高い死亡者22人、疑い死亡者15人)、シエラレオネ患者252人(確定患者211人、可能性の高い患者35人、疑い患者6人)、死亡者101人(確定死亡者67人、可能性の高い死亡者29人、疑い死亡者5人)です。統計の概要表を以下に示します。

図.エボラ出血熱の発生状況

出典

WHOGlobal Alert Response(GAR)
Ebola virus disease, West Africa– update
http://www.afro.who.int/en/clusters-a-programmes/dpc/epidemic-a-pandemic-alert-and-response/outbreak-news/4216-ebola-virus-disease-west-africa-3-july-2014.html