西アフリカにおけるエボラ出血熱の発生状況について (更新3)

7月8日付けの世界保健機関(WHO)の情報による西アフリカにおけるエボラ出血熱の発生状況です。

疫学とサーベイランス

WHOはギニア、シエラレオネ、リベリアにおけるエボラウイルス疾患(EVD)の監視を継続しています。現在の疫学的傾向は以下のように複雑な状況を呈しています:

  • 7月3日以来、リベリアは16人の新患者、シエラレオネは34人の新患者を報告しました。この人数はコミュニティ内の活発な伝播を示唆しています。
  • ギニアではEVD患者の新患者数の減少がみられ、過去7日間で新たな患者はありませんでした。

WHOは3か国での流行封じ込め対策を促し、支援を続けています。

保健部門の対応

アフリカ地域の11か国の保健大臣や技術スタッフ、WHOの代表者と主要な国際パートナーは、西アフリカで続いているエボラウイルス疾患(EVD)流行に取り組むため2014年7月2日-3日にガーナのアクラで会議を開きました。技術的な進展を聞き、各国現地の経験を共有し、西アフリカ各国への深刻な脅威へ取り組むため流行制御の最優先態勢で制御対策を加速させる戦略に同意しました。

最優先順位とその行動の同意において、多くのギャップと課題が残されていることが確認されました。これらに取り組むため、WHOは西アフリカ各国への主要なパートナーによる技術的支援の強化と調和の調整機関として、また資源動員を支援するための地域センターをギニアに設置します。会議へ出席した代表者は同時に、WHOがEVDや他の出血熱研究を推進するための国際的努力をリードする重要性も強調しました。

現時点での主な優先事項は:

  • コミュニティの宗教的、政策的指導者をEVD認識改善と理解のために動員すること;
  • サーベイランス、患者発見、接触者追跡の強化;
  • 主要な発生地への、関連した資格を持つ人材の新たな派遣;
  • 国内の追加的財源の確認と送付;
  • 継続している情報交換促進のための国境会議の開催
  • 南南協力(south-south cooperation)の精神で以前EVD流行へ対処した国々の経験を共有しともに行動すること

さらに主要な政府省庁、国立の技術的委員会や他の利害関係者からなる国内会議が開催され地域対応戦略の迅速な実施計画が作成されます。また、西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS)の首長らによるサミットで特にEVD流行に関連した事柄に取り組むことが推奨されます。

WHOは、この事例に関する現在の情報からは、ギニア、リベリア、シエラレオネへの渡航や貿易を制限することを推奨していません。

統計の概要

エボラウイルス疾患の新たな患者と死亡者について西アフリカ3か国ギニア、リベリア、シエラレオネの保健省から報告が続いています。2014年7月3日から6日の間に、EVDの新たな患者50人が死亡者25人を含み3か国から報告されました:ギニアでは新患者なしと死亡者2人、リベリアでは患者16人、死亡者9人、シエラレオネでは患者34人、死亡者14人です。この人数には確定、可能性の高い、疑いのある患者と死亡者が含まれます。

2014年7月6日までに3か国でEVDに感染した患者の累計数は、死亡者518人を含む844人となりました。患者の分布と分類は以下のとおりです:ギニア患者408人(確定患者294人、可能性の高い患者96人、疑い患者18人)、死亡者307人(確定死亡者195人、可能性の高い死亡者96人、疑い死亡者16人)、リベリア患者131人(確定患者63人、可能性の高い患者30人、疑い患者38人)死亡者84人(確定死亡者41人、可能性の高い死亡者28人、疑い死亡者15人)、シエラレオネ患者305人(確定患者269人、可能性の高い患者34人、疑い患者2人)、死亡者127人(確定死亡者114人、可能性の高い死亡者11人、疑い死亡者2人)です。統計の概要表を以下に示します。

エボラ出血熱の発生状況

出典

WHO Global Alert Response(GAR)
Ebola virus disease, West Africa– update
http://www.who.int/csr/don/2014_07_08_ebola/en/