西アフリカにおけるエボラ出血熱の発生状況について (更新6)

7月19日付けの世界保健機関(WHO)の情報による西アフリカにおけるエボラ出血熱の発生状況です。

流行状況とサーベイランス

世界保健機関(WHO)は、引き続きギニア、リベリア、シエラレオネで発生したエボラウイルス疾患(EVD)の進展状況を監視しています。

シエラレオネおよびリベリアにおける現在のEVD流行の傾向は依然として深刻な状況にあり、2014年7月15日から17日の間に新規症例が67例、死亡例が19例報告されています。これらの症例には、疑い症例、可能性の高い症例、確定症例が含まれています。

ギニアでのEVD流行は引き続き減少傾向にあり、この期間に新しい症例は報告されませんでした。

最優先とすべき国家作業計画を発展させていく過程で情報源となるように、現在とられている流行への対応に関して、重要な分析と見直しが図られているところです。最優先とされる計画を実行することが、現在のEVD流行の傾向を特にリベリアとシエラレオネで逆転させるためにきわめて重要です。

保健部門の対応

WHOは感染の影響を受けた国家当局およびパートナーとともに、現在の流行への対応に関して分析と見直しを行うために作業を続けています。

リベリアで行われた流行への対応に関する評価から、目標との相違点と問題点がいくつか明らかになりました。目標との相違点として明らかになったものの中には、接触者の追跡調査が十分に行われていないこと、地域共同体が依然として拒否的であったり抵抗を示したりすること、データの管理が不十分であること、感染防御および感染制御の実施が特に末端の医療施設で不十分であること、国の地域レベルではリーダーシップが発揮されておらず、調整機能が不十分であることなどがあります。

このような問題点は、財政基盤が脆弱であったり、技術面で人的資源が不足していることで表だってきています。現在作成されている国家行動計画の中では、財政面上、ロジスティックス上、人的資源上で必要とされることを、包括的に統合する作業が行われる予定です。最優先課題とされる作業計画を展開する作業が、ギニアおよびシエラレオネでも行われつつあります。

アクラで開催された閣僚会議の中で、地域での共同作業を求める要請がなされたことを受けて、ガンビア政府および保健省が、シエラレオネの流行への対応を支援するために、11名のヘルスケアワーカーよりなるチームを提供しました。このチームは必要とされる重要な人的資源として貢献することになる一方で、その任務がガンビアにおける(将来ありうる)流行に対する準備および対応能力を高めるためにも非常に重要となるでしょう。この任務は、国連開発計画(UNDP)、ガンビアおよびWHOシエラレオネ支局によって支援されています。

3か国における、流行への対応に関するすべての局面において、対応を拡大し強化する努力が現在行われており、これには接触者の追跡調査、公衆への情報提供、地域共同体の動員体勢の確立、症例管理および感染防御と感染制御、調整作業などがあります。

WHOは、この事例に関する現在の情報からは、ギニア、リベリア、シエラレオネへの渡航や貿易を制限することを推奨していません。

統計による概要

エボラウイルス疾患(EVD)に起因する新しい症例および死亡例が、西アフリカの3か国、ギニア、リベリアおよびシエラレオネの保健省により、引き続き報告されています。2014年7月15日から17日の間に、19例の新規死亡例を含む67例の新規EVD症例が、3か国から以下のように報告されました。

ギニア:新規症例が0例、死亡例が0例
リベリア:新規症例が22例、死亡例が10例
シエラレオネ:新規症例45例、死亡例が9例

この数字には、EVDに関して検査で確定された症例、可能性の高い症例、疑い症例、および死亡例が含まれています。

2014年7月17日の時点で、3か国のEVDに起因する累積症例数は、632の死亡例を含む1048例となっています。症例の分布および分類は以下のとおりです。

ギニア:410症例(確定症例301例、可能性の高い症例95例、疑い症例14例)および死亡例310例(確定症例203例、可能性の高い症例95例、疑い症例12例)
リベリア:196症例(確定症例76例、可能性の高い症例56例、疑い症例64例)および死亡例116例(確定症例54例、可能性の高い症例40例、疑い症例22例)
シエラレオネ:442症例(確定症例368例、可能性の高い症例48例、疑い症例26例)および死亡例206例(確定症例165例、可能性の高い症例35例、疑い症例6例)

ギニア、リベリアおよびシエラレオネにおけるエボラウイルス疾患の確定症例、可能性の高い症例、疑い症例および死亡例(2014年7月17日時点)

図.エボラ出血熱の発生状況

症例の総数には、再分類や後方視的調査、症例と検査結果の統合、サーベイランスの強化の結果により変更が加えられることがあります。疾患流行ニュースで報告されたデータは、保健省よって報告された現在入手可能な最良の情報に基づきます。

出典

WHO Global Alert and Response(GAR)
Ebola virus disease, West Africa-update, 19 July 2014
http://www.who.int/csr/don/2014_07_19_ebola/en/