世界におけるインフルエンザの流行状況について (更新17)

2014年9月8日 WHO (原文[英語]へのリンク

要約

世界的にみて、インフルエンザのシーズンは南半球では続き、他の地域ではインフルエンザの活動性は低いままでした。

  • 北米とヨーロッパでは、全体的にインフルエンザの活動性はシーズンオフのレベルで推移していました。
  • アフリカ(南部の国々をのぞく)と西アジアではインフルエンザの活動性は低かったです。
  • 東アジアでは、インフルエンザの活動性はほとんどの国で低く、インフルエンザA(H3N2)が優勢でした。中国南部地域では、インフルエンザA(H3N2)とインフルエンザBウイルスの活動性が持続していました。
  • 南半球では、インフルエンザのシーズンは続いています。南アメリカの温帯地域では、インフルエンザの活動性は主としてインフルエンザA(H3N2)ウイルスに関連しているのですが、それは低下しました。オーストラリアとニュージーランドでは、インフルエンザシーズンが続いています。オーストラリアではこの数週、A(H1N1) pdm09とA(H3N2)ウイルスに関連している報告が増え、ILI(インフルエンザ様疾患)の率やインフルエンザと確定されて週ごとに報告された数はこの5年で一番高くなっています。南アフリカではインフルエンザのシーズンは続いていて、インフルエンザA(H3N2)が最も高頻度に検出されました。
  • 33週から34週(2014年8月10日から2014年8月23日)のFluNetの報告(協定世界時間2014年9月4日 13:35)によりますと、51の国・地域にある国のインフルエンザセンター(NICs) やその他、国のインフルエンザ研究施設からデータが報告されました。WHO世界インフルエンザサーベイランス及び対応システム(GISRS)の検査施設では、26,262以上の検体を検査しました。インフルエンザウイルスが陽性となったのは3,222検体で、このうち2,632検体(81.7%)がインフルエンザA型で、590検体(18.3%)がインフルエンザB型でした。亜型が解析されたインフルエンザA型ウイルスのうち、416検体(17.8%)はインフルエンザA(H1N1) pdm09で、1,920検体(82.2%)はインフルエンザA(H3N2)でした。解析されたインフルエンザB型ウイルスのうち、88検体(98.9%)はB-山形系統で、1検体(1.1%)はB-ビクトリア系統でした。

北半球の温帯地域

北米、ヨーロッパ、北アフリカ、西アジア、中央アジア
ほとんどの北半球の国で、インフルエンザの活動性はシーズンオフのレベルでした。

東アジア
東アジア地域では、インフルエンザの活動性は低いままで、インフルエンザA(H3N2)が循環している主なウイルスでした。

中国南部では、これまでの数週に比べてインフルエンザの活動性は低下しました。報告のあったインフルエンザウイルスの検出例のほとんどがインフルエンザA(H3N2)で、一部がインフルエンザBでした。

中国北部、日本、モンゴル、韓国ではインフルエンザの活動性はシーズンオフのレベルのままでした。

熱帯地域

アメリカ大陸の熱帯地域/中米とカリブ海諸国
全体としてこの地域では、インフルエンザの活動性は低いままでした。

カリブ海および中央アメリカのいくつかの国では、インフルエンザB型の循環が増加していることが観察され、グアテマラとパナマではインフルエンザA(H1N1)pmd09と、ドミニカ共和国、ホンジュラス、ジャマイカではインフルエンザA(H3N2)と同時に循環していることが報告されました。

南米の熱帯の国では、予想の範囲内でILIとSARI(重症呼吸器感染)の活動性が報告されました。RSウイルスは循環していますが減少傾向です。この地域のほとんどの国でインフルエンザの検出は増えています。ボリビアでこの2ヶ月間、インフルエンザがもっとも頻度が高く検出される呼吸器ウイルスであり、インフルエンザA(H3N2)とインフルエンザA(H1N1)pmd09の両方の循環が検出されています。この傾向はこの数週間にかけ、減少しています。

ブラジルでは、インフルエンザウイルスが陽性になる検体のパーセントは、8月初めに比べ減っています。インフルエンザの活動性が主に南部地域で生じており、インフルエンザA(H3N2)ウイルスがもっとも普通に報告されたウイルスでした。

中央アフリカの熱帯地域
アフリカでは、東アフリカ、中部アフリカ、西アフリカのほとんどの国から報告されたインフルエンザの活動性は低いレベルでした。

アジアの熱帯地域
ほとんどの南アジアと東南アジアの諸国では、インフルエンザの活動性は低下しているか低いレベルにとどまりました。

ラオスやベトナムでは、インフルエンザの活動性がある程度報告されました。

タイでは主としてインフルエンザB型の活動性が報告されましたが、8月の初旬以降活動性は低下しています。

インドではインフルエンザの検出が増加していると報告されていますが、ほとんどがインフルエンザA(H3N2) やインフルエンザB型によるものです。ブータンでは7月、8月の小さなピークのあとインフルエンザの活動性の減少が報告され、主にインフルエンザA(H3N2)とインフルエンザB型が同時に循環しています。

南半球の温帯地域諸国

南米の温帯地域
南米の温帯地域では、インフルエンザの活動性は減少しました。インフルエンザA(H3N2)が最も高い頻度で検出されたインフルエンザウイルスです。

チリでは、8月の初めに比べてILIの活動性とインフルエンザの検出数は減少し、年のこの時期の予想範囲に入っています。この冬の間、SARIの症例の中ではRSウイルスが最も優勢で、検査陽性となった呼吸器検体の60%を占め、次いでインフルエンザA(H3N2)(19%)でした。検出されたインフルエンザウイルスの66%がインフルエンザA(H3N2)で、34%がインフルエンザB型でした。

パラグアイでは、ILIによる受診率は高レベル(警戒域)のままでした。過去数週で、SARI関連の入院割合は減少し、インフルエンザ陽性の検体の占める割合は少し減少しました。インフルエンザウイルスの94.4%がインフルエンザA型で5.6%がインフルエンザB型でした。

南アフリカ
南アフリカでは、インフルエンザの活動性は依然高く、インフルエンザA(H3N2)が最もよく検出されたウイルスです。

オセアニア、メラネシア、ポリネシア
オーストラリアとニュージーランドの両方で、ILIおよびインフルエンザの検出数が増加しました。最も高頻度に検出されたウイルスは、インフルエンザA(H1N1)pmd09でした。オーストラリアでは、過去数週でILIの活動性および検査室確定診断例の通報が急激に増加しました。ILIの活動性および検査室確定診断例はこの5年間で一番高い状態です。オーストラリアの多くの管区でインフルエンザA(H1N1) pdm09が優性ですが、ニューサウスウェールズ州やオーストラリア首都特別地域では違い、インフルエンザA(H3N2)ウイルスがもっとも普通です。

ニュージーランドではILIの受診率は季節の閾値を超えたままで、平均の流行カーブよりやや高くなっていました。2014年4月28日より検査された1172の呼吸器検体のうち、402(34%)がインフルエンザ陽性で、インフルエンザA(H1N1)pmd09が検出されたインフルエンザウイルスで最も頻度が高いものでした。

太平洋諸島では、ILIの活動性には変動があり、いくつかの島で減少傾向が観察されました。ILIの活動性はミクロネシア連邦、ニュージーランド、ツバルで閾値(歴史的値の90%)を超えました。

出典

WHO Influenza update08September2014-Update number219
http://www.who.int/influenza/surveillance_monitoring/updates/latest_update_GIP_surveillance/en/