世界におけるインフルエンザの流行状況について (更新21)

2014年11月3日 WHO (原文[英語]へのリンク[PDF形式:677KB]

要約

インフルエンザの活動は、太平洋諸島の数か国を除いて、世界的に低い状態です。

  • 北米では、インフルエンザの活動が僅かに増加しています。しかし、まだ低い状態です。
  • ヨーロッパ全体では、インフルエンザの活動はオフ・シーズンの水準でとどまっています。
  • アメリカ大陸の熱帯地域各国では、インフルエンザの検出は減少しており、RSウイルスがほとんどのインフルエンザ様疾患(ILI)や重症呼吸器感染(SARI)を引き起こしています。
  • アフリカと西アジアおよび東アジアでは、インフルエンザの活動は低い状態でした。
  • アジア熱帯地域では、インドとベトナムでインフルエンザB型が流行している以外は、減少を続けているか、低い状態でとどまっていました。
  • 南半球ではインフルエンザ様疾患(ILI)の活動が高い太平洋の島々を除いて、インフルエンザの活動はオフ・シーズンの水準に下がりました。
  • 41週から42週(2014年10月5日から2014年10月18日)のFluNetの報告(協定世界時間2014年10月31日 08:20)によりますと、43の国と地域にある国立インフルエンザセンター(NICs) やその他の国立のインフルエンザ研究施設からデータが報告されています。WHO世界インフルエンザサーベイランス及び対応システム(GISRS)の検査施設では、31,820本を越える検体を検査しました。インフルエンザ・ウイルスが陽性となったのは1,318検体で、このうち778検体(59%)がインフルエンザA型、540検体(41%)がインフルエンザB型でした。亜型が解析されたインフルエンザA型ウイルスのうち、46検体(11%)がインフルエンザA(H1N1) pdm09、374検体(89%)がインフルエンザA(H3N2)でした。解析されたインフルエンザB型ウイルスのうち、38検体(100%)がB-山形系統で、今回はB-ビクトリア系統は報告されませんでした。
  • データ収集の環境の変更により、WHO欧州地域事務局のデータが世界中で一時的に利用できなくなっています。これらのデータは可及的速やかにFluNetとFluIDに報告される予定です。ヨーロッパのインフルエンザの活動度に関する情報はhttp://www.flunewseurope.org/でみることができます。

北半球の温帯地域

北米、ヨーロッパ、北アフリカ、西アジア、中央アジア
北半球の各国で、インフルエンザの活動は全体としてはオフ・シーズンのレベルでした。しかし、僅かに増える兆候が見え始めました。インフルエンザA(H3N2)とインフルエンザB型が主流となっています。

カナダでは、インフルエンザ様疾患(ILI)の活動が最近7週間に亘って例年の平均を上回っています。インフルエンザの検出は依然として低いですが、季節による影響を受けて増えてきました(陽性検出率2%)。検出されるインフルエンザ・ウイルスはインフルエンザA(H3N2)が主流で、ほとんどが65歳以上の患者でした。

アメリカ合衆国では、インフルエンザ様疾患(ILI)の活動は例年の予想の範囲内でしたが、インフルエンザの陽性検体の割合は少しずつ増えてきています。8月中旬以降、呼吸器症状の症例の中でエンテロウイルスD68が1,101検体で同定されました。

メキシコでは、急性呼吸器感染症(ARI)とインフルエンザの活動が高まっています。しかし、例年の傾向の範囲内です。

ヨーロッパでは、インフルエンザの活動は低い状態で、インフルエンザ・シーズンの始まりを示す兆候はありません。欧州地域の25か国から収集された検体429件のうち1%でインフルエンザが陽性でした。

東アジア
東アジア地域では、インフルエンザの活動は低い状態でした。

中国北部では、インフルエンザの活動は低い状態で、流行はインフルエンザA(H3N2)でした。日本と大韓民国では、インフルエンザの活動はオフ・シーズンの水準でとどまっていました。モンゴルではインフルエンザ様疾患(ILI)の活動がインフルエンザの活動を示すことなく増加しています。

熱帯地域

アメリカ大陸の熱帯地域/中米とカリブ海諸国
全体として、この地域ではインフルエンザの活動度は低い状態でした。

インフルエンザB型の流行が、コスタリカ、ニカラグアといったカリブ海と中米のほとんどの国から報告されました。しかし、中米のほとんどの国では、インフルエンザB型の検出が最近の数週続いて減っています。プエルトリコでは、インフルエンザ様疾患(ILI)が流行がくすぶっていますが、インフルエンザの検出は低い状態です。キューバでは、インフルエンザB型が流行していましたが、入院につながる重症呼吸器感染(SARI)は減り、(SARIの原因は)RSウイルスによるものになりました。ニカラグアでは、8月のインフルエンザB型の流行に続き、インフルエンザA(H3N2)が流行しました。

南米の熱帯諸国では、インフルエンザ様疾患(ILI)とSARIの活動が例年この時期に予想される範囲内で報告されました。RSウイルスの流行が続いていますが、減る傾向にありました。コロンビアでは、インフルエンザの流行が続いており、インフルエンザA(H3N2)が高頻度に検出されました。ペルーでは、インフルエンザの活動は主にインフルエンザA(H3N2)が検出されて減っていますが、その数は減ってきています。

ブラジルでは、流行が続いており、最も頻繁に検出されるインフルエンザ・ウイルスはB型でした。

中央アフリカ熱帯地域
アフリカでは、東アフリカ、中部アフリカ、西アフリカから報告されたほとんどの国でインフルエンザの活動は低いレベルでした。マダガスカルでは、主にインフルエンザA(H3N2)とB型の活動が増加していました。

アジア熱帯地域
南アジアと東南アジアのほとんどの国では、インフルエンザの活動は低下しているか低いレベルでとどまりました。インドとベトナムでは、インフルエンザB型が流行していましたが、活動は低下してきました。

南半球の温帯地域諸国

南米の温帯地域
南米の温帯地域では、インフルエンザの活動はオフ・シーズンの水準に達しています。

南アフリカ
南アフリカでは、インフルエンザ陽性ILI検体でのインフルエンザB型の検出およびインフルエンザA(H3N2)との重複感染による、インフルエンザ様疾患(ILI)および重症呼吸器感染(SARI)の活動は低いままです。

オセアニア、メラネシア、ポリネシア
オーストラリアとニュージーランドでは、インフルエンザの活動度がオフ・シーズンのレベルに達しました。

太平洋諸島では、インフルエンザ様疾患(ILI)の活動に変動があります。増加傾向がミクロネシア連邦、フィジー、フランス領ポリネシア、キリバス、サモア、バヌアツ、ウォリス・フツナから報告されています。

出典

WHO Influenza update3 November 2014 2014 - Update number 223
http://www.who.int/influenza/surveillance_monitoring/updates/latest_update_GIP_surveillance/en/