2015年のニュース

世界におけるインフルエンザの流行状況 (更新1)

2015年1月26日 WHO (原文[英語]へのリンク

要約

 地球全体でみると、今年のインフルエンザ・シーズンはこれまでのところ、北半球でインフルエンザA(H3N2)ウイルスを主体とする活動が高くなっています。最近のインフルエンザA(H3N2)の抗原性の特徴は、2014-2015年の北半球で用意されたワクチンで使用されているA(H3N2)ワクチンのウイルスの抗原性とは異なることが示されています。これまでの検査結果によれば、インフルエンザA(H3N2)ウイルスはノイラミニラーゼ阻害薬(抗インフルエンザ薬)に感受性を示すと予想されています。

北米では、ほとんどの国でインフルエンザ・シーズンは現在も高い活動レベルが続いています。大半がインフルエンザA(H3N2)でした。合衆国ではインフルエンザの活動がピークを迎えていると考えられています。
ヨーロッパでは北西部で最も高い活動を保ったまま、今シーズンのインフルエンザA(H3N2)を主体として、増加を続けています。
北部及び西部アフリカでは、インフルエンザBによる活動がピークを迎えています。一方、エジプトでは主にインフルエンザA(H3N2)が報告されています。
東アジアでは、インフルエンザA(H3N2)を主体とする活動は峠を越え始めました。
中央アジアでは、インフルエンザの活動は低いレベルにとどまっています。
西アジアでは、バーレーンとイランでインフルエンザA(H1N1) pdm09の活動が報告されています。
アメリカ熱帯地域では、カリブ海、中央アメリカ、南アメリカの熱帯地域とも、ほとんどの国でインフルエンザの活動は低い状態にとどまっています。
アジア熱帯地域では、インフルエンザの活動にやや増加の兆しがみえます。主体はインフルエンザBで、現在は低いレベルにとどまっています。
南半球では、インフルエンザの活動はオフ・シーズンのレベルにあります。
2014年53週と2015年1週(2014年12月28日から2015年1月10日)のFluNet(協定世界時間2015年1月23日 18:05)の報告によりますと、88の国と地域にある国立インフルエンザセンター(NICs) とその他の国立インフルエンザ研究施設から、データが報告されています。WHO世界インフルエンザ・サーベイランス及び対応システム(GISRS)の検査施設では、133,812本を越える検体が検査されました。インフルエンザ・ウイルスが陽性となった検体は32,903で、このうち30,926検体(94%)がインフルエンザA型、1,977検体(6%)がインフルエンザB型でした。亜型が解析されたインフルエンザA型ウイルスのうち、453検体(3.4%)がインフルエンザA(H1N1) pdm09、12,678検体(96.6%)がインフルエンザA(H3N2)でした。解析されたインフルエンザB型ウイルスのうち、495検体(98%)がB-山形系統で、10検体(2%)がB-ビクトリア系統でした。

北半球の温帯地域

北米
 北米の各国では、ほとんどの国でインフルエンザ・シーズンは高い活動レベルで続いています。インフルエンザA(H3N2)が主体で、同じく同型が主体であった2012-2013年の流行シーズンと同様のパターンを示しています。

 カナダでは、インフルエンザの活動が増加し続けています。インフルエンザ様疾患(ILI)の活動が予想されたよりも高くなっており、インフルエンザ検出の割合が過去数週間で34%まで増加しました。インフルエンザ様疾患(ILI)/インフルエンザの流行が前回以上に広い地域から報告され、長期療養施設からの報告が主体となってインフルエンザの集団発生の数がさらなる増加を続けています。インフルエンザA(H3N2)が最も頻繁に検出される状態が続いています。インフルエンザ・ウイルスが確認された施設からの報告では、インフルエンザAが98%で、そのうちの99.7%はインフルエンザA(H3N2)でした。また、報告された患者のうち、70%は65歳以上でした。成人の入院の大半が65歳以上で占められています。さらに、インフルエンザの後にしばしば二次的に検出されるRSウイルスも検出され続けています。

 アメリカ合衆国では、インフルエンザ様疾患(ILI)の活動がピークを迎えています。ピークのタイミングと高さは2012-2013年のシーズンとよく似ています。インフルエンザの陽性検出率は30.4%でピークとなりました。122都市からの報告体制における肺炎およびインフルエンザによる死亡率は疫学の警戒レベルである6.9%を上回りました。インフルエンザに関連する入院は65歳以上の成人の割合が最も高く、増加し続けています。インフルエンザ陽性7,515検体のうち、96%はインフルエンザA、4%がインフルエンザBでした。インフルエンザ・ウイルスの特性情報では、2014年10月1日から2015年1月3日までに米国内で集められ、分析されたインフルエンザA(H3N2)の68.4%が今年の北半球で使われているインフルエンザA(H3N2)ワクチン成分とは異なる(ドリフトタイプの)抗原性を示していました。しかし、2015年の南半球で選ばれたウイルスの抗原性とは類似していました。合衆国では、最近流行している全てのインフルエンザ・ウイルスは、ノイラミニラーゼ阻害薬(抗インフルエンザ薬)に感受性を示していました。

 メキシコでは、例年の予測範囲内ですが、急性呼吸器感染症(ARI)の活動が持続しています。検出されるインフルエンザは主にインフルエンザA(H3N2)によるものです。

ヨーロッパ
 ヨーロッパでは、インフルエンザのシーズンが始まりました。前回の報告と比べると、ほとんどの国からは依然としてインフルエンザの活動度が低いことを報告されていますが、活動は高まり続けています。2015年1月第1週においてウイルス学的データを報告した30か国509検体のうち19か国80検体(16%)からインフルエンザ・ウイルス陽性の結果を得ました。インフルエンザの活動は主に北西部の国々で高くなっています。主なインフルエンザ流行の亜型はA(H3N2)でした。合衆国の知見と同様に、ヨーロッパでのウイルスでもA(H3N2)の特性情報において一定の割合がワクチンのA(H3N2)の特性とは異なっていました。今シーズンに検査された79検体のA(H3N2)と20検体のA(H1N1) pdm09のすべてが、ノイラミニラーゼ阻害薬(抗インフルエンザ薬)であるオセルタミビルとザナビビルに感受性を示しました。

北アフリカ
 北アフリカでは、アルジェリア、モロッコ、チュニジアでインフルエンザBの発生が減り始めました。一方、アルジェリアでは、インフルエンザA(H1N1)pdm09とA(H3N2)の両方の発生が増え続けています。エジプトでは、インフルエンザの活動が弱まってきています。(こちらは)主にインフルエンザA(H3N2)の発生が報告されています。

西アジアおよび中央アジア地域
 中央アジアおよび西アジア地域では、インフルエンザの活動は低い状態か治まりつつある状態です。ウズベキスタンではインフルエンザA(H3N2)の活動が治まってきました。一方、バーレーンではインフルエンザA(H1N1) pdm09の活動が治まってきました。イランでは、主にA(H1N1) pdm09によるインフルエンザの活動が高まってきています。しかし、インフルエンザA(H3N2)とB型との流行の重複は以前よりも少なくなってきています。

東アジア
 東アジア地域では、インフルエンザの活動はピークに達しているようです。中国北部では、インフルエンザの活動はインフルエンザA(H3N2)が主体ですが、治まり始めました。インフルエンザ様疾患(ILI)も前回更新時の4.1%から3.5%に減少しています。日本では、インフルエンザ様疾患(ILI)は増加していますが、インフルエンザA(H3N2)に伴うインフルエンザ・ウイルスの発生は峠を越え始めました。モンゴルでは、インフルエンザ様疾患(ILI)の活動が高まり、警戒レベルを越えました。主にインフルエンザA(H3N2)よるものです。

熱帯地域

アメリカ大陸の熱帯地域/中米とカリブ海諸国
 全体として、インフルエンザの活動は低い状態です。

 キューバでは、この数週間でインフルエンザA(H3N2)の発生は減り始めました。中央アメリカでは、2014年秋のインフルエンザA(H3N2)の流行の波は治まってきました。RSウイルスの活動は治まる傾向にありますが、検出される呼吸器系ウイルスの大半を占めています。

 南米の熱帯諸国では、インフルエンザ様疾患(ILI)、SARI、検査で確認されるインフルエンザともに活動が低いことが報告されています。

中央アフリカ熱帯地域
 アフリカでは、いくつかの国からインフルエンザの検出が報告されました。コートジボアールとガーナでは、インフルエンザBの活動は治まってきました。マダガスカルでは、インフルエンザA(H3N2)とインフルエンザBの検出が増加しています。

アジア熱帯地域
 南アジアと東南アジアのほとんどの国では、インフルエンザの活動は低い状態にとどまっています。ラオスとベトナムではインフルエンザBの検出を主体とする活動が報告されています。 

南半球の温帯地域諸国

 南半球の温帯地域諸国では、インフルエンザの活動はオフ・シーズンのレベルにあります。例外的に、太平洋のいくつかの島々であるアメリカ領サモア、ニウエ、ソロモン諸島、バヌアツでは、インフルエンザ様疾患(ILI)の活動の高まりが報告されています。

出典

WHO. Influenza Update number 229. 26 January 2015
http://www.who.int/influenza/surveillance_monitoring/updates/2015_01_12_surveillance_update_229.pdf?ua=1