2015年のニュース

世界におけるインフルエンザの流行状況 (更新2)

2015年2月9日 WHO (原文[英語]へのリンク

要約

 地球全体でみると、今年のインフルエンザ・シーズンはこれまでのところ、北半球でインフルエンザA(H3N2)ウイルスを主体とする活動が高いままとなっています。最近のインフルエンザA(H3N2)の抗原性の特徴は、2014-2015年の北半球に対して用意されたインフルエンザワクチンで使用されているA(H3N2)ワクチンのウイルスの抗原性とは異なることが示されています。これまでの検査結果によれば、インフルエンザA(H3N2)ウイルスの大半はノイラミニラーゼ阻害薬(抗インフルエンザ薬)に感受性を示しています。

北米では、インフルエンザの活動がピークを迎えていると考えられています。大半がインフルエンザA(H3N2)でした。
ヨーロッパでは、インフルエンザ・シーズンが浸透してきており、特にWHOの欧州地域の西部から中央部の国々で流行が進んでいます。今シーズンに検出されるウイルスはインフルエンザA(H3N2)が主体です。
北部アフリカと中東では、インフルエンザA(H3N2)とインフルエンザBによる活動がピークを迎えているようです。しかし、インフルエンザA(H1N1) pdm09の活動の高まりがアルジェリアとイランから報告されています。
アジア温帯地域では、インフルエンザの活動は中国北部ではピークを迎えているようです。しかし、日本と韓国ではまだ増加が続いています。これまでのところインフルエンザA(H3N2)が主体です。
アメリカ熱帯地域では、カリブ海、中央アメリカ、南アメリカの熱帯地域とも、ほとんどの国でインフルエンザの活動は低い状態です。
アジア熱帯地域では、インフルエンザの活動が中国南部、香港、インドで増加しています。
南半球では、インフルエンザの活動はオフ・シーズンのレベルにあります。
2015年2週と2015年3週(2015年1月11日から2015年1月25日)のFluNet(協定世界時間2015年2月5日 10:20)の報告によりますと、93の国と地域にある国立インフルエンザセンター(NICs) とその他の国立インフルエンザ研究施設から、データが報告されています。WHO世界インフルエンザ・サーベイランス及び対応システム(GISRS)の検査施設では、135,489本を越える検体が検査されました。インフルエンザ・ウイルスが陽性となった検体は32,188で、このうち28,139検体(87.4%)がインフルエンザA型、4,049検体(12.6%)がインフルエンザB型でした。亜型が解析されたインフルエンザA型ウイルスのうち、1151検体(7.6%)がインフルエンザA(H1N1) pdm09、13,968検体(92.4%)がインフルエンザA(H3N2)でした。解析されたインフルエンザB型ウイルスのうち、1,463検体(99%)がB-山形系統で、15検体(1%)がB-ビクトリア系統でした。

北半球の温帯地域

北米
 北米では、ほとんどの国でインフルエンザ・シーズンは高い活動レベルで続いています。インフルエンザA(H3N2)が主体で、同じく同型が主体であった2012-2013年の流行シーズンと同様のパターンを示しています。

 カナダでは、インフルエンザの活動はインフルエンザ様疾患(ILI)の割合と前回の更新時と比較してインフルエンザの検出率の減少からピークを迎えたようです。インフルエンザ陽性検体の検出割合が(前回更新時は34%から)27.4%に減りました。インフルエンザによる患者発生数は前週の患者発生数の半分以下に減っています。インフルエンザA(H3N2)が最も頻繁に検出される状態が続いています。インフルエンザ・ウイルスが確認された施設からの報告では、インフルエンザAが94.5%で、そのうちの99.6%はインフルエンザA(H3N2)でした。また、ウイルスが検出された入院患者と死亡者のうち、大半が65歳以上でした。インフルエンザの後にしばしば検出され続けています。

 アメリカ合衆国では、インフルエンザ様疾患(ILI)の活動は2014年の終わり頃にピークを迎えました。ピークのタイミングと高さは2012-2013年のシーズンとよく似ていました。インフルエンザの陽性検出率は30.4%でピークとなり、19.9%まで減りました。122都市からの報告体制における肺炎およびインフルエンザによる死亡率は疫学の警戒レベルである6.9%を大きく上回る9.1%まで増加していましたが、2012-2013年に報告された数値を僅かに下回りました。インフルエンザに関連する入院は65歳以上の成人の割合が最も高く、増加し続けています。インフルエンザ陽性11,077検体のうち、97%はインフルエンザA、2.6%がインフルエンザBでした。インフルエンザAウイルスの亜型では、99.7%がインフルエンザA(H3N2)でした。

 メキシコでは、急性呼吸器感染症(ARI)の活動が例年のパターンを持続しています。検出されるインフルエンザは主にインフルエンザA(H3N2)です。

ヨーロッパ
 ヨーロッパでは、インフルエンザ・シーズンが浸透してきており、特にWHO欧州の西部地域から中央部地域の国々で流行が進んでいます。26か国からインフルエンザの活動の増加が報告され、インフルエンザの定点観測による陽性検体の割合は全体で48%になりました。インフルエンザ陽性検体のうち、87%はインフルエンザA、13%がインフルエンザBでした。インフルエンザ・ウイルスの亜型はA(H3N2)が78%で、22%がA(H1N1)pdm09でした。65歳以上の人口での超過死亡数の増加が最近数週間にフランス、オランダ、ポルトガル、スペイン、イギリス、北アイルランドでみられています。カナダおよび合衆国の知見と同様に、ヨーロッパでのウイルスは一定の割合でA(H3N2)の特性がワクチンのA(H3N2)の特性とは異なっていました。全てのA(H1N1) pdm09とA(H3N2)が、ノイラミニラーゼ阻害薬(抗インフルエンザ薬)であるオセルタミビルとザナビビルに感受性を示しました。

北アフリカ
 北アフリカでは、検出されていたインフルエンザBが減り始めました。一方、インフルエンザA(H1N1)pdm09とA(H3N2)の両方の発生が報告されています。

西アジアおよび中央アジア地域
 中央アジアおよび西アジア地域では、インフルエンザの活動は低い状態か治まりつつある状態です。

東アジア
 東アジア地域では、インフルエンザの活動は中国北部ではピークを迎えたようです。日本では、定点観測でのインフルエンザ患者の数が過去数週間で顕著に増えています。韓国では、1000人あたりのインフルエンザ様疾患(ILI)の割合は18人で、国の流行の基準である12人を越えました。モンゴルでは、インフルエンザ様疾患(ILI)の活動が続いており、警戒レベルを越えました。この地域で検出されているウイルスはインフルエンザA(H3N2)です。

熱帯地域

アメリカ大陸の熱帯地域/中米とカリブ海諸国
 全体として、プエルトリコでインフルエンザ様疾患(ILI)の活動が高いこと、ジャマイカでインフルエンザA(H3N2)の流行に関係する重症急性呼吸器感染(SARI)の活動が高まっていることを除けば、インフルエンザの活動は低い状態です。

 南米の熱帯諸国では、インフルエンザ様疾患(ILI)、SARI、検査で確認されるインフルエンザともに活動が低いことが報告されています。

中央アフリカ熱帯地域
 アフリカでは、インフルエンザの検出が主にアフリカ東部の国々から報告されています。マダガスカル、ルワンダ、タンザニアでは、インフルエンザA(H3N2)とインフルエンザBが報告されています。一方、ルワンダではインフルエンザA(H1N1)pdm09ウイルスも検出されました。

アジア熱帯地域
 インフルエンザ様疾患(ILI)の活動の増加が、インフルエンザA(H3N2)とインフルエンザBを伴って中国南部で、主にインフルエンザA(H3N2)を伴って香港から報告されています。シンガポールからは急性呼吸器感染症による毎日の受診者数の増加が報告されました。香港では、65歳以上のインフルエンザによる入院割合が、過去数年を上回る高いレベルに達していることが報告されています。

 インドでは、インフルエンザA(H1N1)pdm09検出の報告が増加しています。スリランカでは、インフルエンザA(H3N2)とインフルエンザBの検出が報告されています。 

南半球の温帯地域諸国

 南半球の温帯地域諸国では、インフルエンザの活動はオフ・シーズンのレベルにあります。

出典

WHO. Influenza Update number 230. 9 February 2015
http://www.who.int/influenza/surveillance_monitoring/updates/2015_02_09_surveillance_update_230.pdf?ua=1