2015年のニュース

世界におけるインフルエンザの流行状況 (更新3)

2015年2月23日 WHO (原文[英語]へのリンク

要約

 地球全体でみると、インフルエンザの活動は北半球で高い状態です。主体はインフルエンザA(H3N2)ウイルスです。いくつかの国ではインフルエンザA(H1N1) pdm09の増加が報告されています。最近のインフルエンザA(H3N2)の抗原の特性は、これまでのところ、2014-2015年の北半球に対して用意されたインフルエンザワクチンで使用されているA(H3N2)ワクチンの抗原特性とは異なることが示されています。これまでのところ、検査されたインフルエンザA(H3N2)ウイルスの大半はノイラミニラーゼ阻害薬(抗インフルエンザ薬)に感受性を示しています。

北米では、インフルエンザの活動がピークを迎えたようです。今シーズンは大半がインフルエンザA(H3N2)でした。
ヨーロッパでは、シーズンを迎えインフルエンザの流行が続いています。特に、西部と中央部の国々でインフルエンザの活動が高くなっています。今シーズン検出されているウイルスは、いまもインフルエンザA(H3N2)が主体です。しかしながら、南西ヨーロッパではインフルエンザA(H1N1)とインフルエンザBの割合が増えてきました。
北部アフリカと中東では、インフルエンザの活動が続いています。いくつかの国(ヨルダン、モロッコ、チュニジア)ではインフルエンザA(H1N1) pdm09の活動の報告が増えてきています。
アジア温帯地域では、インフルエンザの活動が中国北部で減少に転じました。しかし、モンゴルと韓国では増加が続いています。これまでのところ、主体はインフルエンザA(H3N2)です。
アメリカ熱帯地域では、ほとんどの国でインフルエンザの活動は低い状態です。
アジア熱帯地域では、インフルエンザの活動が中国南部、香港、インドで高まっています。
南半球では、インフルエンザの活動はオフ・シーズンのレベルにあります。
2015年4週と2015年5週(2015年1月25日から2015年2月7日)のFluNet(協定世界時間2015年2月20日08:25)の報告によりますと、90の国と地域にある国立インフルエンザセンター(NICs)とその他の国立インフルエンザ研究施設から、データが報告されています。WHO世界インフルエンザ・サーベイランス及び対応システム(GISRS)の検査施設では、138,720本を越える検体が検査されました。インフルエンザ・ウイルスが陽性となった検体は32,769で、このうち26,664検体(81.4%)がインフルエンザA型、6,105検体(18.6%)がインフルエンザB型でした。亜型が解析されたインフルエンザA型ウイルスのうち、1,580検体(12.5%)がインフルエンザA(H1N1) pdm09、11,094検体(87.5%)がインフルエンザA(H3N2)でした。解析されたインフルエンザB型ウイルスのうち、1,813検体(97.3%)がB-山形系統で、50検体(2.7%)がB-ビクトリア系統でした。

北半球の温帯地域

北米
 北米では、インフルエンザ・シーズンがほとんどの国でピークを迎えたようです。しかし、インフルエンザの活動はまだ活発な状態です。主にインフルエンザA(H3N2)による流行が続いています。

 カナダでは、インフルエンザの活動はインフルエンザ様疾患(ILI)の割合、入院の割合、インフルエンザ陽性検出の割合が前数週間で減少に転じていることからピークを迎えたようです。インフルエンザ陽性検体の割合が、前回の27.4%から19.5%に減りました。インフルエンザ陽性検体1,729本のうち90.1%がインフルエンザAで、(このうちの98.8%がインフルエンザA(H3N2))、残る9.9%がインフルエンザBでした。また、インフルエンザが原因による入院の大半は65歳以上からの報告でした。RSウイルスの検出も減り続けています。しかし、インフルエンザ様疾患(ILI)は予測される割合を上回り続けています。

 アメリカ合衆国では、インフルエンザの活動は減ってきていますが、高い状態にとどまっています。インフルエンザの陽性検出率は2014年12月末に30.4%でピークとなり、14.9%まで減りました。122都市からの報告体制における肺炎およびインフルエンザによる死亡率は8.1%まで減ってきました。しかし、まだ今週も疫学警戒レベルである7.2%を上回っています。インフルエンザウイルスの亜型まで検査された1,470検体では、1058本(71.9%)がインフルエンザA(H3N2)、6本(0.4%)がインフルエンザA(H1N1) pdm09、406本(27.6%)がインフルエンザBでした。(この結果から)、インフルエンザBの流行の拡大が示されています。インフルエンザ関連の入院割合は人口10万人あたり44.1人でした。65歳以上が最も高い割合を占めています。

 メキシコでは、インフルエンザ陽性検出の割合が23.6%に増加しました。主体はインフルエンザA(H3N2)です。急性呼吸器感染症(ARI)の活動が高い状態で、予測されるレベルに沿って増加しています。肺炎の活動も高い状態です。しかし、予測されるレベル内にとどまっています。

ヨーロッパ
 ヨーロッパでは、シーズンを迎えインフルエンザの流行が拡大しつつあります。特に、西部と中央部地域の30の国からは以前よりも高いインフルエンザの活動が報告されています。定点観測による2,799検体のうち、1,363検体(49%)がインフルエンザ陽性となりました。インフルエンザAウイルスの亜型のうち、77%がA(H3N2)、23%がA(H1N1)pdm09でした。特性が検査されたインフルエンザBでは、全ての検体がB-山形系統でした。南西ヨーロッパの国々ではインフルエンザA(H1N1)pdm09とインフルエンザBの割合が増加しています。公衆衛生活動の一環であるヨーロッパ超過死亡・モニタリングプロジェクト(EUROMOMO)によれば、65歳以上の人口では、全ての国が前4シーズンよりも高い死亡率を示しました。65歳以上の人口は、入院患者における最も多くの数も占めています。ノイラミニラーゼ阻害薬(抗インフルエンザ薬)に対する表現型および遺伝子型の検査が行われた全てのインフルエンザウイルスはオセルタミビルとザナビビルに対する感受性の低下は示していません。RSウイルスは2015年の最初の週にピークを迎えた後はヨーロッパの全域で活動が弱まっています。

北アフリカ
 北アフリカでは、インフルエンザの活動が続いています。アルジェリア、モロッコ、チュニジアでは最近の数週間にインフルエンザA(H1N1)pdm09の検出の増加が報告されてきました。

西アジア
 西アジアでは、インフルエンザA(H1N1)pdm09とA(H3N2)の両方の流行によるインフルエンザAの活動が維持されています。

中央アジア
 中央アジアの国々では、インフルエンザの活動は低いか減少していると報告されています。

東アジア
 東アジア地域では、インフルエンザの活動は中国北部と日本ではピークを迎えたようです。しかし、モンゴルと韓国では増加が続いています。これまでのところ、流行の主体はインフルエンザA(H3N2)です。日本では、インフルエンザA(H3N2)の検出は2015年始めにピークを迎えていたようです。韓国では、インフルエンザ様疾患(ILI)で受診する割合が22.6%で、閾値である12.2%をはるかに上回っています。インフルエンザ陽性であった287検体のうち、219検体(76.3%)はインフルエンザA(H3N2)でした。モンゴルでは、インフルエンザA(H3N2)が主流のウイルスで、検出は増え続けています。しかし、インフルエンザ様疾患(ILI)の割合と肺炎の割合は減ってきました。人口1万人あたりのインフルエンザ様疾患(ILI)の割合は1歳から4歳の人口で最も高くなっています。

熱帯地域

アメリカ大陸の熱帯地域/中米とカリブ海諸国
 全体として、キューバ、ジャマイカ、プエルトリコを除けば、インフルエンザの活動は低い状態となっています。キューバでは、重症急性呼吸器感染(SARI)とインフルエンザの検出が増加しています。プエルトリコでは、インフルエンザ様疾患(ILI)とインフルエンザの検出の増加が報告されています。ジャマイカでは、インフルエンザA(H3N2)とインフルエンザBの重複する活動の増加に加えて、重症急性呼吸器感染(SARI)による入院も増加しています。

中央アフリカ熱帯地域
 アフリカでは、インフルエンザの検出は低い状態にとどまっています。カメルーン、中央アフリカ共和国、コートジボアールではインフルエンザBが報告されています。一方、ザンビアでは、インフルエンザAウイルスだけが、マダガスカルとタンザニアではインフルエンザAとインフルエンザBの両方が報告されています。

アジア熱帯地域
 熱帯アジア地域では、インフルエンザの活動は中国南部、香港、インドで増加が続いています。中国南部では、インフルエンザA(H3N2)とインフルエンザBの重複する活動が報告され続けています。香港では、主にインフルエンザA(H3N2)の検出が報告されています。シンガポールでは、急性呼吸器感染症による毎日の受診者数の増加が報告されています。イランでは、インフルエンザA亜型の両方による活動の増加が報告されています。

 インドでは、インフルエンザA(H1N1)pdm09検出の急激な増加が報告されています。スリランカでは、インフルエンザA(H3N2)とインフルエンザBの検出の報告が続いています。

南半球の温帯地域諸国

 南半球の温帯地域諸国では、インフルエンザの活動はオフ・シーズンのレベルにあります。

出典

WHO. Influenza Update number 231. 23 February 2015
http://www.who.int/influenza/surveillance_monitoring/updates/2015_2_23_surveillance_update_231.pdf?ua=1