2015年のニュース

世界におけるインフルエンザの流行状況 (更新5)

2015年3月23日 WHO (原文[英語]へのリンク

要約

 地球全体でみると、インフルエンザの活動がインフルエンザA(H3N2)ウイルスを主体に北半球で高い状態です。しかし、アジア、ヨーロッパおよび北アフリカのいくつかの国からインフルエンザA(H1N1)pdm09の活動の高まりが報告されています。

北米では、インフルエンザの活動は弱まってきています。しかし、まだ警戒レベルを上回っています。今シーズンは、現在もインフルエンザA(H3N2)が主体です。
ヨーロッパでは、インフルエンザの活動が多くの国でピークにあるようです。主体はインフルエンザA(H3N2)の状態が続いています。
北部アフリカと中東では、インフルエンザの活動はインフルエンザA(H1N1)pdm09が主体ながらも弱まってきています。例外的に、エジプトでインフルエンザA(H3N2)とインフルエンザBの流行が起こっています。
東アジア温帯地域では、インフルエンザの活動はインフルエンザA(H3N2)が主体で、インフルエンザA(H1N1)pdm09はほとんど見られません。一方、西アジアでは主体はインフルエンザA(H1N1)pdm09とインフルエンザBです。
アメリカ熱帯地域では、ほとんどの国でインフルエンザの活動は低調です。主にインフルエンザA(H3N2)が検出されています。
アジア熱帯地域では、インフルエンザの活動パターンがブータンとインドでインフルエンザA(H1N1)pdm09主体に変化しています。一方、香港では、インフルエンザA(H3N2)が、中国南部ではインフルエンザBが主体です。
南半球では、インフルエンザの活動はオフ・シーズンのレベルが続いています。
最近、「豚インフルエンザ」という用語が、季節性インフルエンザA(H1N1)pdm09ウイルスに対して誤って用られています。「豚インフルエンザ」という用語は、豚に感染し、豚の間で流行するインフルエンザを表します。A(H1N1)pdm09は「豚インフルエンザ」ウイルスではありません。ヒトに対するインフルエンザ・ウイルス感染症の用語についての詳細は、下記のリンクを参照してください。(http://www.who.int/influenza/human_animal_interface/virology_laboratories_and_vaccines/influenza_virus_infections_humans_feb14.pdf?ua=1)
2015年2月22日から3月7日に対するデータが、FluNet(協定世界時間2015年3月19日13:25)に基づき、95の国と地域にある国立インフルエンザセンター(NICs)とその他の国立インフルエンザ研究施設から集められています。WHO世界インフルエンザ・サーベイランス及び対応システム(GISRS)の検査施設では、111,964本を越える検体が検査されました。インフルエンザ・ウイルスが陽性となった検体は27,176で、このうち17,711検体(65.2%)がインフルエンザA型、9,464検体(34.8%)がインフルエンザB型でした。亜型が解析されたインフルエンザA型ウイルスのうち、3,383検体(33.9%)がインフルエンザA(H1N1)pdm09、6,594検体(66.1%)がインフルエンザA(H3N2)でした。解析されたインフルエンザB型ウイルスのうち、1,903検体(97.1%)がB-山形系統で、57検体(2.9%)がB-ビクトリア系統でした。

北半球の温帯地域

北米
 北米では、インフルエンザの活動は高い状態ですが、ほとんどの国で検出されるインフルエンザは減少しています。主体はインフルエンザA(H3N2)ですが、インフルエンザBが増加してきました。

 カナダでは、インフルエンザ様疾患(ILI)を除いて、全てのインフルエンザの指標が前週と同じか下がっています。インフルエンザ様疾患(ILI)は2014年末のピークから全体として減少パターンを示していますが、現在も警戒レベルを上回っています。インフルエンザBの検出数が少しずつ増加しており、特に、西部のプレーリー地帯とケベック州で主に64歳未満の人々の間で流行しています。インフルエンザ活動の拡大は報告されていません。

 アメリカ合衆国では、インフルエンザの活動は2014年末のピーク後に減少が続いています。しかし、インフルエンザBの検出数が少しずつ増加しており、122都市からの報告体制における肺炎およびインフルエンザによる死亡率は7.6%の状態です。これは週毎の死亡率の疫学警戒レベル7.2%を上回っています。2014年末に30.4%でピークを示したインフルエンザ陽性の検出割合は11.4%まで下がり続けています。インフルエンザ様疾患(ILI)で受診する外来患者も2.4%で下がる傾向にあります。しかし、国の警戒レベル2.0%は上回っています。

 メキシコでは、2014年末に約50%であったインフルエンザ陽性の検出割合が20.5%に減ってきています。急性呼吸器感染症(ARI)の活動は予想範囲内ですが高い状態です。肺炎の活動が人口10万人あたり4人と高くなっています。(これも)予想の範囲内です。

ヨーロッパ
 ヨーロッパでは、インフルエンザの活動は多くの国でピークに達していたことを示しています。インフルエンザの活動は流行し続けていますが、40か国中39か国で減少(27か国)または横ばい(12か国)と報告されています。インフルエンザ陽性の検出割合は1月末に50%を超えていましたが、3月初めには41%まで下がっています。この地域ではインフルエンザA(H1N1)pdm09、A(H3N2)およびBウイルスが入り交じって流行が続いていますが、少しずつBウイルスの検出割合が増加しています。主体がインフルエンザA(H3N2)であることは変わりありません。

 公衆衛生活動の一環であるヨーロッパ超過死亡・モニタリングプロジェクト(EUROMOMO)によれば、65歳以上の高齢者の全ての原因による死亡率の超過が、ベルギー、デンマーク、フランス、オランダ、ポルトガル、スペイン、スイス、イギリス本土で見られます。死亡率の超過はインフルエンザの流行、寒波、急性呼吸器感染症の増加が関係しています。RSウイルスの流行はヨーロッパの全域で低い状態に下がっています。

 東ヨーロッパでは、インフルエンザ様疾患(ILI)がセルビアとトルコを除くほとんどの国で減少しました。インフルエンザ様疾患(ILI)の活動は、チェコ、ロシア、スロバキアでピークに達し、減少に転じています。東ヨーロッパ、特にロシアでは、インフルエンザA(H3N2)が主体ですが、一方で、ギリシア、モルドバ、ルーマニア、セルビアおよびトルコといったいくつかの国ではインフルエンザA(H3N2)よりもA(H1N1)pdm09とインフルエンザBの検出割合が高くなっています。

北アフリカ
 北アフリカでは、インフルエンザの活動はアルジェリア、エジプト、モロッコで低下が続いています。エジプトでは、A(H1N1)pdm09が主体ですが、インフルエンザA(H3N2)とインフルエンザBも混じり合って流行しています。

西アジア
 西アジアでは、A(H1N1)pdm09とインフルエンザBが、これらよりも活動の低い状態のインフルエンザA(H3N2)とともに流行しています。グルジアでは、インフルエンザBが主体です。一方、バーレーンとヨルダンで検出されるウイルスはインフルエンザA(H1N1)pdm09が主体です。

中央アジア
 中央アジアでは、いくつかの国でインフルエンザの活動が報告されています。カザフスタンとタジキスタンではインフルエンザの検出割合が高まっています。一方、ウズベキスタンでは落ち着いた状態であることが報告されています。

東アジア
 東アジア地域では、全体としてインフルエンザの活動が下がってきています。一方、この数週間でインフルエンザBウイルスが検出される割合が少しずつ増えてきました。韓国では、インフルエンザA(H3N2)とインフルエンザBが重なりあって流行し、インフルエンザBの割合が増えてきています。一方、モンゴルと日本ではインフルエンザA(H3N2)が主体のままで、中国ではインフルエンザBが主体となっています。それでも、中国北部ではインフルエンザA(H3N2)とインフルエンザBが重なりあって流行しています。日本では、インフルエンザの活動は今年流行していたインフルエンザA(H3N2)が減少してきました。中国、モンゴル、韓国では、インフルエンザ様疾患(ILI)が減少してきています。

熱帯地域

アメリカ大陸の熱帯地域/中米とカリブ海諸国
 全体として、インフルエンザの活動はカリブ地域、中央アメリカ、南米熱帯地域で低い状態となっています。主体はインフルエンザA(H3N2)です。キューバでは、重症急性呼吸器感染(SARI)が、特に1歳から4歳の幼児で増加しています。しかし、これはインフルエンザ以外の呼吸器系ウイルスを原因としているようです。ジャマイカでは、インフルエンザの検出が少しずつ増加しています。インフルエンザA(H3N2)に加えて、インフルエンザBも検出されています。エクアドルでは、重症急性呼吸器感染(SARI)の活動が続いています。これはインフルエンザよりも他の呼吸器系ウイルス、特にRSウイルスによる感染症のようです。コロンビアでは、インフルエンザの活動は低い状態です。しかし、インフルエンザA(H1N1)pdm09、インフルエンザA(H3N2)およびインフルエンザBが混じり合って流行しています。

中央アフリカ熱帯地域
 アフリカでは、インフルエンザの活動が変化してきています。西アフリカでは、セネガルで主にインフルエンザA(H1N1)pdm09の検出高いことが報告されています。コートジボアールとガーナでは、インフルエンザBの検出の増加が報告されています。東アフリカでは、インフルエンザAとBともに検出の減少が報告されています。

アジア熱帯地域
 南アジアでは、インフルエンザA(H1N1)pdm09を主体とするインフルエンザの活動が高まっています。特に、インドとブータンで顕著です。インフルエンザA(H1N1)pdm09と確認された患者と死者の数がインドでピークを迎えていましたが、3月初めに減少し始めました。イランでは、インフルエンザA(H1N1)pdm09、インフルエンザA(H3N2)およびインフルエンザBが混じり合って流行しています。

 主にインフルエンザA(H3N2)よりもインフルエンザBの検出が多かった中国南部では、インフルエンザ様疾患(ILI)は減少してきています。香港では、インフルエンザ様疾患(ILI)の活動は減少してきましたが、まだ高い状態です。インフルエンザA(H3N2)が主体で、インフルエンザBの検出が少しずつ増えています。

 カンボジア、フィリピン、ベトナムでは、インフルエンザの活動は低い状態です。一方、ラオスとシンガポールでは、インフルエンザの活動がインフルエンザ様疾患(ILI)患者の間で続いています。インフルエンザA(H1N1)pdm09、インフルエンザA(H3N2)およびインフルエンザBが混じり合って流行しています。

南半球の温帯地域諸国

 南半球では、インフルエンザの活動はオフ・シーズンのレベルにあります。

出典

WHO. Influenza Update number 233. 23 March 2015
http://www.who.int/influenza/surveillance_monitoring/updates/2015_03_23_surveillance_update_233.pdf?ua=1