2015年のニュース

世界におけるインフルエンザの流行状況 (更新7)

2015年4月21日 WHO (原文[英語]へのリンク

要約

 北半球でのインフルエンザの活動は世界中のほとんどの地域で低い状態です。北半球での今シーズンの流行はインフルエンザA(H3N2)が優勢でしたが、この数週間はインフルエンザA(H1N1)pdm09とインフルエンザBの割合が増えてきました。

北米では、インフルエンザの活動は弱まってきています。今シーズンの流行はインフルエンザA(H3N2)が優勢でしたが、この数週間はインフルエンザBが優勢となっています。
ヨーロッパでは、ほとんどの国でインフルエンザの活動が弱まってきています。今シーズンはインフルエンザA(H3N2)が優勢でしたが、先週、インフルエンザBの割合が多くなりました。
北部アフリカと中東では、インフルエンザの活動はほとんどの地域で弱まってきています。この地域では今もインフルエンザAが優勢です。
西アジアでは、インフルエンザの活動はこの地域のほとんどの国で弱まってきているか、低い状態にとどまっています。インフルエンザAが優勢です。しかし、トルコとヨルダンでは、インフルエンザの検出が高い、もしくは増加している兆候がみられます。
アジア温帯地域では、韓国で活動が高い状態にあることを除けば、インフルエンザの活動は弱まってきています。韓国では、インフルエンザA(H3N2)が優勢ですが、インフルエンザBの検出が増加しています。中国北部では、現在インフルエンザBウイルスが蔓延していますが、検出数は減っています。
アメリカ熱帯地域では、ほとんどの国でインフルエンザの活動は低い状態です。
アジア熱帯地域では、インドでインフルエンザA(H1N1)pdm09ウイルスが起こしていたインフルエンザの活動に低下の傾向がみられました。インフルエンザBが優勢であった中国南部とインフルエンザA(H3N2)が検出されるウイルス亜型のほとんどであった香港では、ともにインフルエンザの活動がピークを過ぎて弱まってきています。
アフリカ熱帯地域では、アフリカ西部からインフルエンザA(H1N1)pdm09、インフルエンザA(H3N2)、インフルエンザBが同時に流行していることによるインフルエンザの活動の高まりが報告されています。マダガスカルでは、インフルエンザA(H3N2)とインフルエンザBによるインフルエンザの活動が2月から高まり、3月初めのピークを越した後に弱まってきたことが報告されています。
南半球では、インフルエンザの活動はオフ・シーズンの状態にあります。
2015-2016年の北半球冬期におけるワクチンの推奨型が2015年2月に作成されました。下記のリンクで閲覧できます。
(http://www.who.int/influenza/vaccines/virus/recommendations/2015_16_north/en/)
2015年3月22日から4月4日に対するデータが、FluNet(協定世界時間2015年4月14日12:15)に基づき84の国と地域にある国立インフルエンザセンター(NICs)とその他の国立インフルエンザ研究施設から、集められています。WHO世界インフルエンザ・サーベイランス及び対応システム(GISRS)の検査施設では、72,871本を越える検体が検査されました。インフルエンザ・ウイルスが陽性となった検体は12,009で、このうち4,187検体(34.9%)がインフルエンザA型、7,822検体(65.1%)がインフルエンザB型でした。亜型が解析されたインフルエンザA型ウイルスのうち、1,281検体(48.5%)がインフルエンザA(H1N1)pdm09、1,359検体(51.5%)がインフルエンザA(H3N2)でした。解析されたインフルエンザB型ウイルスのうち、1,441検体(97%)がB-山形系統で、44検体(3%)がB-ビクトリア系統でした。

北半球の温帯地域

北米
 北米では、インフルエンザの活動は、ほとんどの国で流行シーズンの警戒レベルに対するいくつものインフルエンザ指標で低下傾向を示しています。今シーズンのほとんどはインフルエンザA(H3N2)が優勢でしたが、このところの数週間はインフルエンザBが優勢となりました。しかし、そのインフルエンザBの患者数もこの数週間でゆっくりと減り始めました。

 カナダでは、全体的にインフルエンザの検出数はゆっくりと減る傾向です。しかし、インフルエンザBの割合が今も増加しています。インフルエンザBウイルスの検出は主に65歳以下の感染者によるものです。シーズン開始以降で、65歳以下の感染者はインフルエンザBが60%を数えました。一方、インフルエンザA(H3N2)は41%になりました。インフルエンザ様疾患(ILI)の活動は予測範囲内にあります。アメリカ合衆国では、インフルエンザの活動の低下が続いており、1.8%はシーズン開始以降、初めて国で定めた警戒レベル2%を下回りました。インフルエンザAの検出数は減少し、インフルエンザBの検出数もピークに達した模様で、こちらも減少に転じています。インフルエンザの検出率は前回報告時が10.6%、今回が10.7%で安定した状態です。122都市からの死亡報告体制を通しての肺炎およびインフルエンザによる死亡率(6.5%)は、週別の流行警戒レベル(7.1%)を下回りました。

 メキシコでは、前回の報告では24.3%、2014年末にはピークで約50%あったインフルエンザ陽性の検出率が、16.7%に減りました。急性呼吸器感染症(ARI)の活動は前回の報告で人口10万人あたり509人、1月末には700人でしたが、人口10万人あたり397人に減ってきています。肺炎の活動も減ってきていますが、まだ予測レベルを越えています。

ヨーロッパ
 ヨーロッパでは、インフルエンザの活動は報告のあるほとんどの国で弱まってきています。しかし、検体の陽性率は警戒レベル10%を越える36%と高い状態です。今シーズンはインフルエンザA(H3N2)が優勢でした。しかし、この地域では、インフルエンザA(H1N1)pdm09が流行り続けており、インフルエンザBウイルスの割合も増えてきました。インフルエンザBは直近の週での定点観測の77%を占めています。公衆衛生活動の一環として行われているヨーロッパ超過死亡・モニタリングプロジェクト(EUROMOMO)によれば、報告している国では全ての死因による死亡率の超過が減ってきています。週別のインフルエンザによる入院患者数も第7週をピークに減り続けています。

 東ヨーロッパでは、インフルエンザの活動は全体的に弱まるか、弱い状態です。インフルエンザA(H3N2)が優勢ですが、インフルエンザBの流行も起きています。

北アフリカ及び中東
 北アフリカと中東では、インフルエンザの活動はほとんどの地域で弱まりました。インフルエンザA(H1N1)pdm09が優勢です。

西アジア
 西アジアでは、この地域のほとんどの国でインフルエンザの活動は弱まってきました。インフルエンザBが優勢であったトルコでは、インフルエンザ様疾患(ILI)の検出率とインフルエンザの検出数が高いままですが、3月末にはピークを迎えた模様です。ヨルダンでは3月以降インフルエンザA(H1N1)pdm09の検出数の増加が報告されています。イランでは、インフルエンザA(H1N1)pdm09、インフルエンザA(H3N2)、インフルエンザBが同時に流行し2月の終わりにピークを迎えて以降、インフルエンザの活動は弱まってきていることが報告されています。

中央アジア
 中央アジアでは、インフルエンザA(H3N2)とインフルエンザBが流行していますが、インフルエンザの活動は低い状態にあることがいくつかの国で報告されています。

東アジア
 東アジアでは、インフルエンザの活動はほとんどの地域で弱まってきています。しかし、韓国ではインフルエンザ様疾患(ILI)で受診する患者の割合が警戒レベル12.2%をはるかに超える31.7%を示しており、インフルエンザの活動は高いままです。ここでは、インフルエンザの活動は、インフルエンザBの割合の増加とインフルエンザA(H3N2)の割合の減少が影響しています。中国北部では、全インフルエンザの検出数の93.2%を占めるインフルエンザBの検出数の上昇により、陽性検出率が僅かながら上昇しています。モンゴルでは、インフルエンザ様疾患(ILI)の割合と肺炎による入院数がさらに減り、インフルエンザ検出の報告がほとんどなくなりました。

熱帯地域

アメリカ大陸の熱帯地域/中米とカリブ海諸国
 全体として、カリブ地域、中央アメリカ、南米熱帯地域では、インフルエンザの活動は低いままです。その中で最も頻繁に検出されるウイルスはインフルエンザA(H3N2)とインフルエンザBです。

 南米熱帯地域の中で、2015年1月から2月にかけてインフルエンザA(H1N1)pdm09、インフルエンザA(H3N2)、インフルエンザBが同時に流行していたコロンビアでは、数週間の活動増加の後、インフルエンザの活動は減少していることが報告されています。ペルーでは、インフルエンザA(H3N2)の僅かな増加が報告されています。エクアドルとコロンビアでは、RSウイルスの活動が高い状態か、増加傾向にあります。

中央アフリカ熱帯地域
 アフリカでは、西アフリカからここ数週間でインフルエンザ検出数が増加していることが報告されています。コートジボアールとガーナでは、インフルエンザA(H1N1)pdm09、インフルエンザA(H3N2)、インフルエンザBが同時に流行しています。一方、セネガルでは、インフルエンザA(H1N1)pdm09ウイルスの検出が優勢です。

 マダガスカルでは、2015年2月以降インフルエンザ様疾患(ILI)による受診者の割合が第10週あたりでピークを迎え、高まったインフルエンザの活動の状態が報告されています。この期間におけるインフルエンザ陽性率は44.9%でした。検出においては、インフルエンザBが64.6%(144/223)、インフルエンザAが35.4%(79/223)を占めました。急性呼吸器感染症(SARI)の検体のうち、呼吸器系ウイルスの陽性率が35.8%(44/123)を占め、そのうち、RSウイルスが65.9%(29/44)と最も多く、次いでインフルエンザBが38.6%(17/44)、インフルエンザAが18.2%(8/44)を占めました。

アジア熱帯地域
 アジア熱帯地域では、インフルエンザA(H1N1)pdm09が流行していたインドでインフルエンザの活動が弱まってきたようです。ブータンでは、インフルエンザ様疾患(ILI)と重症急性呼吸器感染症(SARI)の患者の増加が報告されています。インフルエンザ様疾患(ILI)の間では、インフルエンザA(H1N1)pdm09の患者数は減っていますが、インフルエンザA(H3N2)は増加しています。一方、重症急性呼吸器感染症(SARI)の検体からインフルエンザは検出されていません。スリランカでは、インフルエンザA(H1N1)pdm09の増加が報告されています。

 インフルエンザBが優勢であった中国南部では、インフルエンザの活動がピークを過ぎ、弱まってきました。香港では、インフルエンザの活動が弱まってきて、いまでは基準線に近いことが報告されています。現在はインフルエンザA(H3N2)が優勢です。インフルエンザ様疾患(ILI)による受診率は受診者1000人中5.7人から4.8人に減りました。ベトナムでは、インフルエンザA(H1N1)pdm09とインフルエンザBウイルスの同時流行による一時的なインフルエンザの活動が報告されています。

南半球の温帯地域諸国

 南半球では、報告のあるほとんどの国でインフルエンザの活動はオフ・シーズンのレベルにとどまっています。

出典

WHO. Influenza Update number 235. 21 April 2015
http://www.who.int/influenza/surveillance_monitoring/updates/2015_04_21_surveillance_update_235_copyc.pdf?ua=1