世界におけるインフルエンザの流行状況 (更新18)

2015年9月21日 WHO (原文[英語]へのリンク[PDF形式:675KB]

要約

地球全体で見ると、南半球ではインフルエンザの活動が続いています。活動は、オセアニアでは全体的にやや低下し、南米温帯地域ではさらに下がり、南アフリカでは活動が低い状態でした。

  • 北半球の国々では、全体的に呼吸器系ウイルスの活動が低い状態にとどまり、インフルエンザの活動はオフシーズンの低いレベルが続いています。インフルエンザA型が散発的に検出されています。多くの国がオフシーズンの間は調査活動を休止するか、数を減らす体制をとっています。
  • アフリカからは、インフルエンザの活動がほとんど報告されていません。アフリカ東部でインフルエンザの活動が報告された国では、主にインフルエンザA型が流行していました。アフリカ西部では、全体的にインフルエンザの活動が低下しています。
  • アメリカ大陸の熱帯地域、中米、カリブ地域では、インフルエンザの活動は低いレベルにあります。キューバでは、インフルエンザ様疾患(ILI)や重症急性呼吸器感染症(SARI)の活動が低下してきたものの、依然として高いレベルにあり、インフルエンザA(H1N1)pdm09とRSウイルスが検出されています。
  • アジア熱帯地域では、インドで主にインフルエンザA(H1N1)pdm09による活動の僅かな増加が報告されているものの、全体的に南アジアと東南アジアの国々ではインフルエンザの活動が低いレベルにあります。中国南部では、インフルエンザの活動が低下を示すものの、インフルエンザA(H3N2)の流行に伴い、まだ中等度のレベルにあります。
  • 南米温帯地域では、インフルエンザの活動は全体的に低い状態です。しかし、インフルエンザの検出数が増加しているチリでは、インフルエンザ様疾患(ILI)の活動が急激に増加しています。この地域で検出されるインフルエンザウイルスのほとんどはインフルエンザAです。一方、RSウイルスの検出数は減ってきています。
  • 南アフリカでは、インフルエンザの活動は低いレベルにあります。この数週間は主にインフルエンザBによるものです。
  • オーストラリアでは、オーストラリア南部を除いてインフルエンザの活動のピークは過ぎたようです。オーストラリア南部では、インフルエンザA(H3N2)の検出に続いてインフルエンザBの検出が増加してきています。ニュージーランドでは、インフルエンザの活動はインフルエンザA(H3N2)とインフルエンザBの流行を伴い8月第2週にピークを迎えたとみられます。インフルエンザ様疾患(ILI)の活動はシーズンの注意レベルを上回っています。しかし、警戒レベルは下回っています。
  • 2015年8月24日から9月6日までのデータが、FluNet(協定世界時間2015年9月17日 12:08:20現在)に基づき、69の国と地域にある国立インフルエンザセンター(NICs)とその他の国立インフルエンザ研究施設から集められています。WHO世界インフルエンザ・サーベイランス及び対応システム(GISRS)の検査施設では、24,771本を超える検体が検査されました。インフルエンザウイルスが陽性となった検体は2,514本で、このうち1,872検体(74.5%)がインフルエンザA型、642検体(25.5%)がインフルエンザB型でした。亜型が解析されたインフルエンザA型ウイルスのうち、354検体(25.8%)がインフルエンザA(H1N1)pdm09、1,016検体(74.2%)がインフルエンザA(H3N2)でした。解析されたインフルエンザB型ウイルスのうち、60検体(85.7)がB-山形系統で、10検体(14.3%)がB-ビクトリア系統でした。

北半球の温帯地域

北半球の国々では、インフルエンザの活動はオフシーズンの低いレベルにあります。多くの国がオフシーズンの間は調査活動を休止するか、調査活動の数を減らす体制をとっています。

熱帯地域

中米、カリブ海、南米の熱帯地域
カリブ海の国々、中米、アンデスの一部地域では、この期間、インフルエンザとRSウイルスの活動が下がるか下がりつつあることを報告しています。キューバでは例外的に、活動が下がりつつあると報告されていますが、インフルエンザA(H1N1)pdm09の活動とRSウイルスのためにインフルエンザ様疾患(ILI)と重症急性呼吸器感染症(SARI)がレベルの高い状態にあります。南米の熱帯地域では、インフルエンザA(H3N2)が流行し、一部ではインフルエンザBも流行しています。

アフリカ熱帯地域
アフリカ東部では、インフルエンザの活動を報告している国は僅かしかありません。主にインフルエンザA(H1N1)pdm09が流行しています。マダガスカルでは、主にインフルエンザA(H1N1)pdm09によって、2か月以上にわたりインフルエンザの活動が高まり続けているようです。

アフリカ西部では、ガーナで、インフルエンザA(H1N1)pdm09、インフルエンザA(H3N2)およびインフルエンザBのウイルス検出が報告されました。

アフリカ中央部でデータが報告された国では、カメルーンで、この数週間、僅かながらインフルエンザA(H1N1)pdm09、インフルエンザA(H3N2) およびインフルエンザBウイルス検出が報告されつづけています。

アジア熱帯地域
アジア南部では、この間は全体的にインフルエンザの活動レベルが低いか低下傾向にあることが報告されました。

インドでは、主にインフルエンザA(H1N1)pdm09による、この数週間はインフルエンザBも加わった僅かな活動の増加が報告されました。

香港では、インフルエンザの活動は低い状態にあります。

中国南部では、活動は下がる傾向にありますが、まだ中等度で、主にインフルエンザA(H3N2)が検出されています。

東南アジアでは、カンボジア、ラオス、フィリピン、タイ、シンガポールで、全体的にインフルエンザの活動の低下が報告されています。主にインフルエンザA(H3N2)によるものです。

南半球の温帯地域

南米温帯地域
南米温帯地域では、インフルエンザ様疾患(ILI)と重症急性呼吸器感染症(SARI)の活動にバラツキがありますが、総じて低い状態です。全体として、今シーズンのこれまでのインフルエンザの活動は、チリとパラグアイでは昨シーズンと同程度でしたが、その他は昨シーズンと比べて穏やかでした。優勢なのはインフルエンザA型で、インフルエンザA(H1N1)pdm09とインフルエンザA(H3N2)が同時に流行しており、僅かにインフルエンザBも検出されました。

アルゼンチンでは、インフルエンザ様疾患(ILI)の活動は予想レベル内で低い状態ですが、重症急性呼吸器感染症(SARI)の活動は低下してきているものの予想を上回っていました。インフルエンザの活動は低い状態にとどまり、主にインフルエンザAが検出されていました。

チリでは、インフルエンザ様疾患(ILI)の活動がこの数週間で急激に高まってきました。これは昨シーズンよりも遅れていますが、2014年よりもレベルが高くなっています。重症急性呼吸器感染症(SARI)の活動も、この数週間で僅かに増加しました。ただし、こちらは昨シーズンと同等のレベルです。インフルエンザA(H1N1)pdm09、インフルエンザA(H3N2)およびインフルエンザBが同時に流行し、インフルエンザの活動は上昇しています。RSウイルスの活動は中等度の増加にとどまっています。

アフリカ南部
南アフリカでは、この数週間、インフルエンザの活動が低い状態にあると報告されています。最近は、インフルエンザBが流行していました。一方、シーズン前半はインフルエンザA(H1N1)pdm09とインフルエンザA(H3N2)が流行していました。

オセアニア、メラネシア、ポリネシア
南部を除くオーストラリアのほとんどでは、インフルエンザの活動のピークは過ぎたとみられます。インフルエンザB(山形系統)が流行し、全国的にインフルエンザA(H3N2)も流行を続けていました。オーストラリアの首都特別地域とオーストラリア西部では、インフルエンザAがインフルエンザBに置き換わりつつあります。今シーズンのインフルエンザワクチンは流行していた遺伝子株の83%の検体と3価のインフルエンザワクチンとが一致しており、よく当たったようでした。

ニュージーランドでは、インフルエンザA(H3N2)とインフルエンザBウイルスが流行し、インフルエンザの活動は8月第2週にピークを迎えたようです。インフルエンザ様疾患(ILI)の活動はシーズンの注意レベルを上回っています。しかし、警戒レベルは下回っています。

フランス領ポリネシアと太平洋の島々では、この数週間はインフルエンザ様疾患(ILI)の活動にバラツキがあります。クック諸島、ミクロネシア連邦、フランス領ポリネシア、グアム、北マリアナ諸島では、活動が高まってきています。

出典

WHO.Influenza Update number246. 21September2015
http://www.who.int/influenza/surveillance_monitoring/updates/2015_09_21_surveillance_update_246.pdf?ua=1[PDF形式:675KB]