太平洋における症状・疾患サーベイランス報告(更新)

2016年5-7週および9週に報告されたWHO西太平洋地域事務局(WPRO)のサーベイランス情報をまとめて掲載いたします。

  1. 註1発生時期に時間差がありますので、詳細は原文でお確かめください。
  2. 註2[ ]の数字は報告週です。

太平洋地域での症状・疾患サーベイランス報告システム(PSSS)では、伝染性感染症の発生を示唆する情報の報告をしています。データは、急性発熱と発疹、下痢、インフルエンザ様疾患、遷延性の発熱の4つの症状群について、太平洋地域の23か国200以上の医療施設から収集されています。PSSSは、伝染性感染症に対する極めて貴重な早期警報ツールとしての、また、太平洋諸島の地域と国々、WHO、太平洋共同体のようなその他の国際機関との間で定期的に連絡をとる機構制度としての役目を果たしています。

概要

  • 急性発熱と発疹:フランス領ポリネシア[6,7,9]、パラオ[7]、トケラウ[7]
  • 下痢:ミクロネシア連邦[5,6,7]、フィジー[5,6]、サモア[5,6,7]、ニウエ[7]、ソロモン諸島[7]
  • インフルエンザ様疾患:ミクロネシア連邦[5,7]、ソロモン諸島[6,7,9]、ウォリス・フツナ[9]
  • 遷延性発熱:ソロモン諸島[6,9]、ツバル[7]、キリバス[9]

疾患別の発生状況

ジカウイルス感染症

【フィジー】フィジーの西部衛生区域でジカウイルス感染症の確定患者が報告されました[9]。ジカウイルス感染症の疑い患者も西部衛生区域から報告されています[9]。第6週に、最近になってジカウイルス感染症が発生している国を渡航した疑い患者4人が報告され、検査結果が待たれていました[6]。
【アメリカ領サモア】2016年3月7日時点で、5人の妊娠女性を含む13人でジカウイルス感染症の診断が確定され、279人の疑い患者がいました[9]。第7週の確定患者は8人でした[7]。第6週には、205人の疑い患者がいました[6]。この週に、25人の検体のうち4人からRT-PCR法検査で確定診断されたとの報告を受けて、流行の発生が宣言されました[6]。確認されたうちの1人は妊娠女性でした[6]。
【マーシャル諸島】2016年3月9日時点で、9人の疑い患者があり、このうち7人は2月28日から2016年3月9日までの間に報告されました[9]。確定患者は2人のままです[9]。第6週に、ハワイ州の衛生研究所に送付された6検体のうちから初めての患者が確認されました[6]。患者は妊娠12週の25歳女性で、渡航歴はありません[6]。また、3人の疑い患者のため、検体が2月22日に診断を確定するためにハワイに向けて送られました[6]。
【トンガ】第6週には、800人を超える集団発生が報告されました[6]。第5週に、549人の疑い患者と、2人の確定患者がでていました[5]。政府によって蚊の繁殖地を取り除く努力を増強するための注意喚起のキャンペーンが開始されました[5]。

デング熱

【フランス領ポリネシア】2016年2月28日迄の週に、49人の確定患者と1人の死亡者がでました[9]。デング熱1型が流行しています[6-9]。2016年2月14日迄の週には、88人の確定患者と1人の死亡者がでて、4人が入院しました[7]。2016年2月7日迄の週には、55人の確定患者が[6]、2016年1月31日迄の週には、53人の確定患者でました[5]。
【フィジー】2016年2月14日の週に、デング様疾患患者の増加が報告されました[6]。2016年2月7日の週にも、デング様疾患患者の増加が報告されていました[5]。

インフルエンザ様疾患

【ソロモン諸島】インフルエンザ様疾患の患者数増加が報告されました[7,6]。採取された検体が確定診断のために送られています[7.6]。

急性発熱と発疹

【アメリカ領サモア】昨年12月末から2016年2月7日まで、報告される患者数の増加が続いています[5]。診断を確定するために検体が送付され、結果を待つ状態した[5]。

出典