西太平洋地域における症状・疾患サーベイランス報告

2017年1-4週に報告されたWHO西太平洋地域事務局(WPRO)のサーベイランス情報をまとめて掲載いたします。

  1. 註1:発生時期に時間差がありますので、詳細は原文でお確かめください。
  2. 註2:[ ]の数字は報告週です。

太平洋地域での症状・疾患サーベイランス報告システム(PSSS)では、伝染性感染症の発生を示唆する情報の報告をしています。データは、急性発熱と発疹、下痢、インフルエンザ様疾患、遷延性の発熱の4つの症状群について、太平洋地域の23か国200か所以上の医療施設から収集されています。PSSSは、伝染性感染症に対する極めて貴重な早期警報ツールとしての、また、太平洋諸島の地域と国々、WHO、太平洋共同体のようなその他の国際機関との間で定期的に連絡をとる機構制度としての役目を果たしています。

概要

  • 下痢:サモア[1]、キリバス[2]、トンガ[2]、ミクロネシア連邦[3,4]
  • インフルエンザ様疾患:バヌアツ[1]、キリバス[1,2]、ソロモン諸島[3,4]

疾患別の発生状況

  • デング熱
    バヌアツ
    デング熱2型の流行が続き、2016年11月より2017年1月26日までに、1,061人の患者が出ました。この4週間、毎週の平均で200人の新たな患者が報告されてきました。[ここまで第3,4週より]。2017年1月19日までには、822人の患者が出ました。患者の増加が報告されたのは、Santo(サント)島にある州立北部病院からでした[2]。2017年1月12日では、疑い患者は607人でした。このうち、323人がデング熱の標準診断法であるデュアル迅速検査(NS1またはIgM)によって検査され、うち91人で陽性となりました[ここまで第1,2週より]。
    ニューカレドニア
    2016年9月1日から2017年1月26日までに、431人のデング熱患者が出ました。報告された患者数は増えており、患者のうちの62%が1月に発生しました。デング熱1型が確認されています[3,4]。2017年1月13日の時点では、デング熱患者は231人でした[2]。
    ソロモン諸島
    2017年1月8日までに、デング熱患者8,536人が出ました。デング熱2型でした。数少ない定点観測された報告によれば、12月に入り毎週の患者数は減ってきました。2017年1月8日までの1週間(第1週)には、国立中央病院に入院した子ども19人(40%)を含め、患者48人が入院しました[2]。2017年1月1日時点では、デング熱疑い患者8,007人でした。2017年1月1日までの1週間(第52週)には、子ども15人を含め、国立中央病院に患者50人が入院しました[1]。
    パラオ
    2016年10月10日以降、2017年1月17日までに、51人の患者がでて、デング熱2型が確認されました。患者のうち41%が入院となりました[2]
  • ジカウイルス感染症
    マーシャル諸島
    2017年1月20日に、マーシャル諸島の大統領は、国の健康管理においてジカウイルス感染症の流行発生に対する緊急事態を宣言しました。2016年12月28日に報告された直近の患者2人から、IgM陽性の結果が報告されました。
  • A型肝炎
    マーシャル諸島
    集団感染の発生が続いています。すべての患者は首都マジュロからの発生で、ほとんどの患者が学童前か小学生の子どもでした[ここまで第2,3,4週より]。2017年1月20日に、マーシャル諸島の大統領は、国の健康管理においてA型肝炎の流行発生に対する緊急事態を宣言しました。濃厚接触者に対し、WHOから提供された1,250人分のワクチンが準備されました[ここまで第3週より]。

出典