2017年のニュース

ポリオウイルスの国際的拡大に関する国際保健規則(IHR)緊急委員会第12回会議でのWHO声明

2017年2月13日 WHO (原文[英語]へのリンク

 国際保健規則[IHR(2005)]に基づき、ポリオの国際的感染拡大に関する第12回緊急委員会が、事務局長の要請により招集され、2017年2月7日にテレビ会議によって開かれました。

 緊急委員会では、野生型ポリオウイルス1型(WPV1)とワクチン由来ポリオウイルス(cVDPV)の感染伝播についてデータが検討されました。事務局は、IHRに加盟する全ての感染発生国での一時勧告の進展状況について報告書を提出しました。また、アフガニスタン、パキスタン、ナイジェリア、中央アフリカ共和国のIHR各加盟国からは、前回2016年11月11日に開かれた委員会以降の一時勧告の実施状況についての情報が更新され、提出されました。さらに、委員会には、ワクチン由来ポリオウイルスについての状況を説明するためにロシア連邦が招かれました。

野生型ポリオ

 全体の状況として、委員会は、パキスタンとアフガニスタンでの着実な進展を前向きに捉え、ナイジェリアでのポリオ根絶計画への迅速な対応に強く印象づけられ、安堵の意を示しました。

 委員会は、調査活動をさらに強化するために、特に、検出力を向上させるための環境調査を拡大させることに、パキスタンが積極的に取り組んでいることを歓迎しました。環境調査の(検出力の)高さは、これまでにないレベルにあり、患者でのウイルス伝播が低下しても検出数は増加する可能性があります。(そのため)この状況でのデータは慎重に解釈する必要がありました。委員会は、これには国境を越えた(ウイルス)伝播に関するデータが解釈に含まれることも認識しました。また、委員会は、2017年になって、十分に支援できていない子どもはいないという情報を讃えました。それでも、最近発生したパキスタンからアフガニスタン・カンダハール州への野生型ポリオウイルス1型(WPV1)の感染輸出は、両国間での国際的な拡大の阻止が困難であることを示しています。

 委員会は、アフガニスタンが観察できていない子どもたちへの支援の努力を讃えるとともに、全体として、これらの子どもの数が減少していることを議題に挙げました。(それでも)アフガニスタンの一部では不安定な政情が続いており、支援を差し伸べることのできない相当数の子どもが存在し、(このことが、ポリオの)根絶を完了させることへの不安を高めています。

 委員会は、この地域が疫学的にひとつのブロックを構成していると考え、両国が長い国境に沿った協力に引き続き重点を置いていることを歓迎しました。委員会は、この国境は、(協力がなければ)見逃してしまった可能性のある子どもに対し予防接種を受けさせる重要な場所であると確信しており、国境での予防接種チームの数が増えていることを歓迎しました。(今後は)さらに、公式に国境の定まっていない場所にも、チームを配置する機会を作っていく必要があります。

 委員会は、ナイジェリアが野生型ポリオウイルス1型(WPV1)患者に迅速に対応したことを賞賛し、前回の会議以降、さらなる患者が発見されていないことを歓迎しました。しかし、ナイジェリア北部には、完全にまたは部分的に立ち入ることのできない地域に、依然として多くの住民がいるため、委員会は、ポリオウイルスがこの地域で、いまも伝播している可能性が高いと結論づけました。これらの住民地域に入り込むことはポリオ根絶の活動にとって非常に重要ではありますが、ポリオ根絶のために働く人々やボランティアに危険をもたらす可能性があり、そこには治安上の大きな危険があることが認識されています。委員会は、この脅威のある状況での活動は、質の高い介入に悪影響を与える可能性があることを指摘しました。ナイジェリアは、既にこの問題に対して革新的かつ多面的な(解決への)アプローチを行っており、委員会は、この革新的な気概が続くことを促しました。

 内政の混乱が発生し、結果として(医療)サービスが不足しているすべての国があり、国内避難民(IDP)や難民が集まるチャド湖周辺地域では(感染発生への)懸念が続いていました。ナイジェリアから、チャド湖盆地の周辺地域、さらには遠く離れたアフリカ・サハラ以南の地域にかけて、(感染が)国際的に広がる危険性は依然として高い状態です。委員会は、ナイジェリア、カメルーン、チャド、ニジェール、中央アフリカ共和国(CAR)を含めたチャド湖盆地の周辺諸国が、引き続き、地域間の協力体制に関わることを促しました。CARでは、AFP(急性弛緩性麻痺)調査活動の更なる改善や、現時点で開始可能であれば計画されている環境調査活動を行うなど、現在の(取り組み)状況が維持される必要があります。

 赤道ギニアでは、調査体制が貧弱で、定期予防接種の接種率も低下し、この脆弱な基盤に対する国を挙げた取り組みも鈍いなど、あまり適正なポリオ根絶への活動に基づいているとはいえず、脆弱な状態のままになっています。

ワクチン由来ポリオウイルス

 委員会は、ナイジェリア北部Sokoto(ソコト)とパキスタンのQuetta(クエッタ)の2か所で、新たにワクチン由来ポリオウイルス(cVDPV)の感染発生が確認されたことを深刻に捉えました。ソコトのウイルスは、Borno(ボルノ)のウイルスとは関係がありませんでした。これら両地域での感染発生は、感染が常在する国でワクチンが接種された人々の間でも脆弱性が存在することを強く示しています。委員会は、野生型ポリオウイルス1型(WPV1)を根絶するために継続的に取り組む中で、これらの患者の存在が(取り組みを)複雑なものにしていることを認識し、これらの感染発生への対策(の必要性)を指摘しました。

 委員会は、最近、ロシア連邦から、チェチェン共和国の子ども2人でワクチン由来ポリオウイルス(VDPV)が確認されたことと、対策としてこれまでに実施された調査活動および予防接種活動の情報が提供されたことを歓迎しました。委員会は、ロシア連邦の調査で、子ども1人が免疫の抑制された状態であったと示されたことを重視しました。委員会は、WHO本部および欧州地域事務所がロシア連邦と協力しながら、ウイルスの型分類を確認することを要求しました。委員会は、国際的な拡大へのリスクは評価の途中段階にあることから、この発生状況への勧告はまだ行われていません。

 ギニアでは、直近のワクチン由来ポリオウイルス(cVDPV)患者は2015年12月に発症し、最新の評価と委員会の判断基準に基づけば、もはや感染が発生した(国)とはみなされない状況となりました。しかし、依然として(感染に)脆弱な状態にあります。

 また、委員会は、他にもいくつかの国で、伝播のないワクチン由来ポリオウイルスVDPVを検出したことに注目しました。

国際的な懸念に関する公衆衛生緊急事態(PHEIC)に対する結論

 委員会は、ポリオの国際的な感染拡大が、現在も国際的な懸念に関する公衆衛生上の緊急事態(PHEIC)にあることに全会一致で合意し、さらに3か月間一時勧告を延長することを助言しました。委員会は、この結論に達する中で以下の点について議論しています。

ナイジェリアでの野生型ポリオウイルス1型とワクチン由来ポリオウイルスの感染発生は、何年間も発見されることなく野生型ポリオウイルス1型が存在し続けていたことから、調査に入れずに断念してきたハイリスクの地域のあることが強く示されていること。チャド湖周辺での感染伝播のリスクは高いとみられること。
パキスタンとアフガニスタンでは野生型ポリオウイルス1型の国際的な感染拡大が続いていること。
パキスタンでは、環境採取の検体とAFP(急性弛緩性麻痺)患者でのWPV1の陽性が地理的に広範囲にわたって持続していること。一方で、環境調査が強化さることで必然的に検出率が上昇することも認識していること。
2016年に記録されたWPV1患者は最も少なく、これまでの歴史の中で、現在の特別な、いままでにない状況は、ポリオ根絶にさらに近づいていること。
世界で、最も深刻ではあるが、ワクチンでの予防が可能な疾患の一つを地球上から根絶することに失敗したときに発生するリスクと、結果としての費用は莫大なものになること。世界規模での感染伝播は劇的に減少し、国際的に拡大する可能性が低下しているものの、国際的な拡大が起これば、その結果と衝撃は深刻なものとなること。
ポリオ患者の数が減り続け、根絶の可能性が見えてくることで(現状に対し)世界が自己満足する可能性があること。
紛争や複雑な緊急事態によって予防接種体制の弱体化や崩壊が生じた国が増えることで、さらに国際的な感染の拡大が深刻な社会的影響をもたらすこと。これらの政情不安定な地域の人々はポリオに集団感染しやすくなっています。感染しやすい状態での患者の発生は感染の制御を極めて難しくさせ、最終局面で世界からポリオを根絶することの完結を脅かします。
野生型ポリオウイルス1型に対して予防接種と調査活動を向上させ、国際的な感染拡大の阻止および新たな感染リスクを軽減させるために国際協調の下での対策を続けることが必要とされること。
ポリオの国際的な感染拡大は国境を越えて発生することが多いため、地域での感染対策の推進と国境での協力体制の強化が重要であること。一方で、ポリオの感染伝播が活発な地帯から遠隔地に感染が国際的に拡大するリスクがあることの認識が必要であること。
さらに、ワクチン由来のポリオウイルスに関して以下の点について議論しています。
 ・cVDPVsは国際的な拡大に対するリスクを有しており、適切な措置と緊急の対策を講じ
  なければ、特に、既に述べられたような感染しやすい人々では脅威となること。
 ・ナイジェリアとパキスタンにおいてワクチン由来のポリオウイルス2型(cVDPV2)の伝
  播が続いていることは、ポリオの終局における重要な時期にも、人々の免疫力に大きな
  解離があることを示していること。
 ・2016年4月に2型の経口ポリオワクチンを世界同時に撤退させたことで、ワクチン由来
  のポリオウイルス2型(cVDPV2)への予防には引き続き緊急性があること
 ・エボラを含めて、環境の不安定な状態やその他の緊急事態によって感染が発生(し
  得る)地域では、定期予防接種を向上させる取り組みを継続させること
 ・世界中での不活化ポリオワクチンの不足は、ワクチン由来ポリオの新たな脅威となること

リスクの分類

 委員会は、リスク分類に基づいて、野生型ポリオウイルス1型とワクチン由来のポリオウイルスの国際的拡大のリスクを軽減することを目的とした以下の助言を事務局長に提出しました。

野生型ポリオウイルス
・現在、野生型ポリオウイルス1型を感染輸出している国
・野生型ポリオウイルス1型の感染はあるが、現在は感染輸出していない国
・もはや野生型ポリオウイルス1型の感染はいないが、国際的な拡大に対し脆弱な国

ワクチン由来のポリオウイルス
・現在、ワクチン由来のポリオウイルスを感染輸出している国
・ワクチン由来のポリオウイルスの感染はあるが、現在は感染輸出していない国
・もはやワクチン由来のポリオウイルスの感染はいないが、国際的な拡大に対し脆弱な国

 委員会は、新たな感染輸出の検出に対する期間と野生型ポリオウイルス1型またはワクチン由来のポリオウイルスの新たな患者または環境分離株の検出に対する期間を以下の基準で更新し、評価の際に適用しました。

もはや感染輸出のない(新たな野生型ポリオウイルス1型もしくはワクチン由来ウイルスの感染輸出の検出がない)国の評価に対する判断基準
ポリオウイルス感染者:最新の感染輸出による最初の症例が発症した日に加えて、患者発見、調査、検査確認と報告期間を考慮した1か月を加えた日から12か月、もしくは、最新の感染輸入により発生した直近の患者から12か月以内に発症し報告された急性弛緩性麻痺の全患者がポリオに対し検査され、新たに感染輸入された野生株1型とワクチン由来のポリオウイルスが除外され、かつ、最初の患者から12か月以内に集められた環境サンプルも陰性となり、何れもが続いているとき。
感染輸出された野生型ポリオウイルス1型の環境下からの分離:新たに感染輸出を受けた国の環境下での最初の陽性検体の採取に加えて、検査確認と報告期間を考慮した1か月を加えた日から12か月。

もはや感染のない(新たな野生型ポリオウイルス1型もしくはワクチン由来ウイルスの検出のない)国の評価に対する判断基準
ポリオウイルス感染者:最新の患者が発症した日に加えて、患者発見、調査、検査確認と報告期間を考慮した1か月を加えた日から12か月。もしくは、直近の患者から12か月以内に発症した急性弛緩性麻痺の全患者がポリオに対して検査され、野生株1型とワクチン由来のポリオウイルスが除外され、かつ、直近の患者から12か月以内に集められた環境サンプルが陰性となり、何れもが続いているとき。
野生型ポリオウイルス1型もしくはワクチン由来ポリオウイルス(ポリオウイルス感染者がいないこと)の環境下からの分離:最新の環境下で陽性検体が採取された日に加えて、検査確認と報告期間を考慮した1か月を加えた日から12か月。

一時勧告について

現在も野生型ポリオウイルス1型もしくはワクチン由来ウイルスを感染輸出している国
 現在の対象は、野生株ポリオウイルス1型の感染輸出が続くパキスタンです(2017年1月13日にアフガニスタンへ)。これまでの直近の患者は2016年12月22日でした。

 感染輸出している国には、以下の行動の実行が求められます。
もし、宣言がなされていないならば、国又は政府のトップレベルが公式に、ポリオウイルス伝播の阻止が国家の公衆衛生上の緊急課題であることを宣言すべきです。その旨の宣言が既に行われている国では、この緊急課題が継続された状態にあることを宣言すべきです。
全ての年齢での、全ての住民と4週間以上の長期滞在者は国際渡航の12か月前から4週間前までに1回のポリオ生ワクチン(OPV)又は不活化ワクチン(IPV)の接種を受けていることを確認すべきです
4週間以内に急な旅行を行う人々で、12か月前から4週間前までにポリオ生ワクチンもしくは不活化ワクチンを接種していない人は、出発までに1度はポリオワクチンを接種していることを確認すべきです。これでも、有益性があります。特に、これは頻繁に旅行する人に当てはまります。
そのような渡航者には、IHR(2005)別添6で明記された国際予防接種証明書がポリオワクチンの接種記録としてまた接種の証明書として発行されていることを確認すべきです。
適切なポリオ予防接種の書類を欠いたままでは、いかなる住民にも出発の時点で海外渡航を制限すべきです。これらの勧告は、渡航の手段(例えば、陸、空、海)に関係なく、すべての出発地から海外渡航する者に適用されるべきです。
パキスタンとアフガニスタンとの国境を越える人々の移動は野生型ポリオウイルス1型の感染輸出を助長し続けていることを認識しておくべきです。両国は、実質的には、国境を越える渡航者とハイリスクの国境に住む人々に対してワクチン接種率を高めるために、国、地域、地方レベルで協力体制を確実に向上させる国境での努力をさらに強化させる必要があります。両国は長年にわたり主要な国境検問において永続的な予防接種チームを維持してきました。国境での努力の協調体制の改善には、より密接な管理、国境通過点での接種ワクチンの品質の監視とともに、国境を越えた後にワクチンを接種していないと識別される渡航者の割合を追跡することを組み入れる必要があります。
これらの対策は以下の基準が達成されるまで継続されるべきです。(i)新たな感染輸出がなく、少なくとも6か月を経過すること、(ii)すべての感染地域やハイリスク地域で質の高い根絶活動が完全に実施されたことの証拠となる書類を提出すること、そのような書類が提出できない場合には、その国が "もはや感染輸出のない国"の上記の基準を満たすまでこれらの対策は継続されること。
渡航が制限された住民の数とワクチンを接種し出発の地点で適切な予防接種の書類を提供した渡航者の数を含め、海外渡航での毎月の実施件数に関する一時勧告の報告書を事務局長に提供する必要があります。

野生型ポリオウイルス1型またはワクチン由来ポリオウイルスの発生があるが現在は感染輸出のない国
 野生型ポリオウイルス1型の感染が発生している国
 
現在の対象は、ナイジェリア、アフガニスタンです。
・ナイジェリア(最後の感染発生は2016年8月21日)
・アフガニスタン(最後の感染発生は2017年1月13日)

 ワクチン由来ポリオウイルスの感染が発生している国
 
現在の対象は、ナイジェリア、パキスタン、ラオスです。
・ナイジェリア(最後の感染発生は2016年10月28日)
・パキスタン(最後の感染発生は2016年12月17日)
・ラオス(最後の感染発生は2016年1月11日)

 これらの国には、以下の行動の実行が求められます。
もしまだならば、国又は政府のトップレベルが公式に、ポリオウイルス伝染の阻止が国家の公衆衛生上の緊急課題であることを宣言すべきです。その旨の宣言が既に行われているならば、この緊急課題が継続されていることを宣言することが必要です。
全ての住民と4週間以上の長期滞在者は海外渡航の12か月前から4週間前までに1度ポリオ生ワクチン(OPV)又は不活化ワクチン(IPV)の接種を受けることを推奨すべきです。4週間以内に急な旅行を行う人々には、出発までに1度はポリオワクチンを接種することを推奨すべきです。
そのようなワクチン接種を受けた渡航者はポリオワクチン接種状況の記録を適切な文書で所有していることを確認すべきです。ポリオウイルスの早期発見のための調査活動を強化するために、地域の協力体制と国境を越えた協力体制を強化し、実質的に難民、渡航者、国境を越える集団でのワクチン接種率を高めることが必要です。
これらの対策は以下のような基準が達成されるまで継続されるべきです:(i)少なくとも6か月間、国内のどのような検査検体からも野生型ポリオウイルス1型の感染伝播が検出さずに経過すること、(ii)すべての発生地域とハイリスク地域で質の高い根絶活動が完全に実施された証拠文書を提出すること。これらの対応の証拠文書が提出できない場合には、その国が "もはや感染輸出のない国"の上記の基準を満たすまでこれらの対策は継続されること。
感染伝播の証拠なく12か月間を終えたときには、一時勧告を実行するために取られた対策の報告書を事務局長に提供する必要があります。

もはや野生型ポリオウイルス1型もしくはワクチン由来ポリオウイルスの感染のない、しかし国際的な感染拡大を受けやすく、ワクチン由来ポリオウイルスの出現と伝播が起こりやすい国
 
現在の野生型ポリオウイルス1型における対象国は、カメルーン、ニジェール、チャド、赤道ギニア、中央アフリカ共和国です。
・カメルーン(最後の感染発生は2014年7月9日)
・ニジェール(最後の感染発生は2012年11月15日)
・チャド(最後の感染発生は2012年6月14日)
・赤道ギニア (最後の感染発生は2014年5月13日)
・中央アフリカ共和国(最後の感染発生は2011年12月8日)

 現在のワクチン由来ポリオウイルスにおける対象国は、ウクライナ、マダガスカル、ミャンマー、ギニアです。
・ウクライナ (最後の感染発生は2015年7月7日)
・マダガスカル(最後の感染発生は2015年8月22日)
・ミャンマー (最後の感染発生は2015年10月5日)
・ギニア (最後の感染発生は2015年12月14日)

 これらの国には、以下の行動の実行が求められます。
人々の免疫機能を押し上げるために、定期予防接種を早急に強化すること。
検出されていない野生型ポリオウイルス1型ウイルスおよびワクチン由来ポリオウイルスが伝播するリスク、特にハイリスクの移動民と感染しやすい人々の間でのリスクを下げるために、調査活動の質を向上させること。
移動民、国境を越える人々、国内避難民、難民やその他の感染しやすい人々へのワクチン接種を確実に実施する取り組みを強化すること。
野生型ポリオウイルス1型とワクチン由来ポリオウイルスの速やかな発見とハイリスクの集団へのワクチン接種を確実に実施するために、地域協力と国境を越えた連携を強化すること。
質の高い調査活動とワクチン接種活動へ十分な手順書を作成し、これらの対策を維持すること。
野生型ポリオウイルス1型または新たに出現し伝播するワクチン由来ポリオウイルスの再侵入の痕跡なく12か月を経過させたときには、一時勧告を実施するために講じた対策について事務局長に報告書を提出すること。

全ての感染国に対する追加の検討事項

 委員会は、IHRの下での一時勧告の実施に向けたポリオ根絶計画の重要な時期であり、すべての感染国および感染に脆弱な国、並びに、これまで一時勧告の対象とされていたすべての国(ソマリア、エチオピア、シリア、イラク、イスラエル)に対し、最適な支援を行うことを、強く世界の加盟国に求めました。

 委員会は、事務局に対し、一時勧告の対象国で行われている定期予防接種に関するデータの提供を要請しました。また、委員会は、ワクチン由来ポリオウイルス(cVDPV)は、ポリオの発生のない国々でも定期予防接種のプログラムに深刻な解離があること認め、GAVI( ワクチンと予防接種のための世界同盟)などの定期予防接種の国際支援組織が感染の発生国に対し予防接種の計画を向上させるように支援するべきであると勧めました。

 委員会は、いくつかの国で環境採取された検体からSabin 2型ウイルスが検出されたこと、おそらく、このうちのいくつかは民間で3価の経口ポリオワクチンが継続して使用されていることによる事例であろうという事務局からの報告について議論しました。委員会は、次の会議で、このことに関する十分な報告書を求めました。

 委員会は、一時勧告を実施することに対する公衆衛生上のコストとベネフィットのより詳細な分析を完成させ、さらに議論を重ねたことを議題に上げました。

 委員会は、すべての国に対し、安易にポリオの再興に繋がるような自己満足が起こらないように促しました。特に、調査活動では、あらゆる再興による感染伝播を素早く発見するために細心の注意を払うことと必要されます。

 野生型ポリオウイルス1型およびワクチン由来ポリオウイルスの伝播に関する助言と、アフガニスタン、パキスタン、ナイジェリア、中央アフリカ共和国によって作成された報告書に基づき、事務局長は、委員会の評価を受け入れ、2017年2月13日に、ポリオウイルスに関する状況が、野生型ポリオウイルス1型とワクチン由来ポリオウイルスの両方に対して、国際的な懸念に関する公衆衛生緊急事態(PHEIC)に該当すると決定しました。事務局長は、「現在も野生型ポリオウイルス1型もしくはワクチン由来ウイルスを感染輸出している国」、「野生型ポリオウイルス1型またはワクチン由来ポリオウイルスの発生があるが現在は感染輸出のない国」、そして「もはや野生型ポリオウイルス1型もしくはワクチン由来ポリオウイルスの感染のない、しかし国際的な感染拡大を受けやすく、ワクチン由来ポリオウイルスの出現と伝播が起こりやすい国」に対する委員会の一時勧告に署名しました。そして、事務局長はIHRの下で委員会によって検討されたものとして、2017年2月13日から有効となるポリオウイルスの国際的な拡大のリスクを低下させるための一時勧告を延長しました。

 事務局長は、委員会委員とアドバイザーの助言に対して感謝を述べ、3か月後に現在の状況の再評価を行うことを要請しました。

出典

WHO. Media center news. WHO Statements. 13 February 2017
Statement on the 12th IHR Emergency Committee meeting regarding the international spread of poliovirus.
http://www.who.int/mediacentre/news/statements/2017/poliovirus-twelfth-ec/en/