西太平洋地域における症状・疾患サーベイランス報告(更新2)

2017年13-15週および17-18週に報告されたWHO西太平洋地域事務局(WPRO)のサーベイランス情報をまとめて掲載いたします。

  1. 註1:発生時期に時間差がありますので、詳細は原文でお確かめください。
  2. 註2:[ ]の数字は報告週です。

太平洋地域での症状・疾患サーベイランス報告システム(PSSS)では、伝染性感染症の発生を示唆する情報の報告をしています。データは、急性発熱と発疹、下痢、インフルエンザ様疾患、遷延性の発熱の4つの症状群について、太平洋地域の23か国200か所以上の医療施設から収集されています。PSSSは、伝染性感染症に対する極めて貴重な早期警報ツールとしての、また、太平洋諸島の地域と国々、WHO、太平洋共同体のようなその他の国際機関との間で定期的に連絡をとる機構制度としての役目を果たしています。

概要

  • 下痢:トンガ[13]、ミクロネシア連邦[13-15,17,18]
  • インフルエンザ様疾患:バヌアツ[13-15]
  • 遷延性発熱:フィジー[13-15]

疾患別の発生状況

デング熱

ソロモン諸島、フィジー、ナウル

デング熱2型によるデング熱の流行が続いています[14,15]。

ソロモン諸島

2016年8月15日より、2017年3月19日までに、患者11,875人が報告されました。患者のほとんどは、Honiara(首都ホニアラ:患者9,082人、77%)とGuadalcanal(ガダルカナル州:患者2,263人、19%)から報告されました。24歳以下の患者が、患者のおよそ60%を占めていました。第11週[3月13日-19日]に、合計15人のデング熱疑い患者が国立中央病院に入院しました。2016年8月15日以降、入院した患者の合計は809人となりました。全体でのデング熱の患者数は、1月中旬以降、大きく減ってきています[ここまで第13週より]。

フィジー

2017年1月1日から4月22日までに、患者913人が報告されました。このうち、80%を超える患者が西部と中央部の保健衛生地区からでした。105人を超える患者が入院し、1人が死亡しました[ここまで第17週より]。

バヌアツ

デング熱2型の流行が続いており、(2016年11月以降)2017年5月4日までに、患者が2,838人、入院が147件(5%)報告されました。週毎の患者数は減ってきています[ここまで第18週より]。2017年4月20日(2016年11月以降)の時点では、患者2,701人、入院113件(4%)が、4月13日の時点では、患者2,656人、入院104件(4%)が、4月6日の時点では、患者2,591人、入院104件(4%)が、それぞれに報告されました。既に、(第13週の時点で)週毎の患者数は減ってきていました[ここまで第13、14、15週より]。

ニューカレドニア

2016年9月1日から2017年5月3日までに、デング熱患者は3,429人となりました。デング熱1型、2型、3型が流行しています[ここまで、第18週より]。 2017年4月20日の時点では、デング熱患者が2,821人、死亡者が7人(デング熱1型が6人、デング熱3型が1人)、4月12日の時点では、患者が2,556人、死亡者が3人、4月6日の時点では、患者が2,404人、死亡者が3人でした[ここまで第13、14、15週より]。

麻しん

オーストラリア

シドニー西部での患者16人を含め、ニュー・サウス・ウェールズ州で麻しん患者22人が、発生しました[15]。

流行性耳下腺炎(ムンプス)

マーシャル諸島

2016年10月以降、2017年4月7日までに、329人の患者の発生がありました。うち、29人が確定診断されました。週毎の患者数は増加しています。ほとんどの患者は10-14歳の年齢層で占められています[ここまで第14週より]。2017年3月31日の時点では、感染の可能性の高い患者223人が報告されました。学校には、定期予防接種ワクチンである3種(麻しん、ムンプス、風しん)混合ワクチンを2回確実に接種していることを確認するために、学童の予防接種記録を点検することが指示されました。ラジオでの放送と携帯電話での大量のメッセージを使って、国民に予防対策へのアドバイスが始められました [ここまで第13週より] 。

A型肝炎

マーシャル諸島

2016年9月以降、2017年3月31日までに、154人の患者が確認されました。ほとんどの患者は、就学前の児童でした。予防接種の活動により、全体としては、新たな患者の割合は減ってきていました[ここまで第13週より]。

出典