世界のインフルエンザ流行の状況 (更新10)

2017年5月29日 WHO(原文[英語]へのリンク[PDF形式:635KB]

WHOから発表された2017年5月14日までのデータに基づくインフルエンザ流行の状況です。詳細の報告は各地域事務局のサイト情報でも掲載されています。詳細は、参考に示された各サイトを基に原文をご参照ください。

要約

  • 南半球温帯地域では、ゆっくりとインフルエンザの活動が高まり始めました。それでも、全体的には低調な状態です。(一方)北半球温帯地域では、インフルエンザの活動は低下を続けています。世界全体では、インフルエンザBウイルスが優勢でした。
  • 2017年5月1日から5月14日までのデータが、FluNet(協定世界時間2017年5月26日 04:23:12まで)に基づき、85の国と地域にある国立インフルエンザ・センター(NICs)とその他の国立インフルエンザ研究施設から集められました。WHO世界インフルエンザ・サーベイランス及び対応システム(GISRS)の検査施設では、この間に63,766本を超える検体が検査されました。インフルエンザ・ウイルスが陽性となった検体は5,518本で、このうち2,655検体(48.1%)がインフルエンザA型、2,863検体(51.9%)がインフルエンザB型でした。インフルエンザAウイルスのサブタイプ(亜型)では、1,038検体(51.2%)がインフルエンザA(H1N1)pdm09、990検体(48.8%)がインフルエンザA(H3N2)でした。解析されたインフルエンザBウイルスのうち、190検体(30.1%)がB-山形系統で、442検体(69.9%)がB-ビクトリア系統でした。

南半球の温帯地域諸国

南半球温帯地域では、この数週間で、インフルエンザの活動が少しずつ高まってきました。
南米温帯地域では、インフルエンザA(H3N2)ウイルスとインフルエンザBウイルスが伝播していますが、活動は低調であることが報告されました。チリでは、インフルエンザ様疾患(ILI)と急性呼吸器感染症(SARI)の活動が高まりを続けていました。RSウイルスの活動も高まってきていました。パラグアイでは、インフルエンザA(H3N2)ウイルスの検出数増加に伴い、急性呼吸器感染症(SARI)による入院が増え、インフルエンザの活動が高まってきていました。
アフリカ南部では、インフルエンザの活動は、まだ流行シーズンの警戒レベルを下回っていました。
太平洋地域のオーストラリア(ビクトリア州では流行シーズンの警戒レベルに到達しました)とニュージーランドでは、まだ低調な状態です。僅かですが、インフルエンザA(H3N2)とインフルエンザA(H1N1)pdm09の検出が報告されました。

熱帯地域

アメリカ大陸の熱帯地域/中米とカリブ海諸国

カリブ海地域と中米の国々では、呼吸器系ウイルスの活動は低調でした。
南米熱帯地域では、ほとんどの地域でインフルエンザの活動が低い状態でした。インフルエンザA(H3N2)とインフルエンザBウイルスが見られました。ボリビアでも、全ての季節性インフルエンザのサブタイプ(亜型)が検出されてはいますが、インフルエンザの活動が下がって来ました。

アフリカ

西アフリカでは、ブルキナファソ、コートジボワール、マリ、トーゴで僅かにインフルエンザの検出が報告されました。これらの地域では、全ての季節性インフルエンザのサブタイプ(亜型)が伝播していました。東アフリカでは、ケニア、マダガスカル、モーリシャス、タンザニアから、インフルエンザの活動が報告されました。この地域では、インフルエンザA(H3N2)ウイルスが優勢でした。

熱帯アジア

南アジアでは、インフルエンザの活動が低下してきました。ブータンでは、インフルエンザA(H3N2)ウイルスが頻繁に検出され、インフルエンザ様疾患(ILI)の活動の報告が続いていました。インドでは、インフルエンザA(H1N1)pdm09の検出が減ってきたことが報告されました。イランとスリランカでは、インフルエンザBが検出されていますが、インフルエンザの活動レベルは低い状態でした。
東南アジアでは、総じて、インフルエンザの活動は低い状態でした。この地域では全ての季節性インフルエンザのサブタイプ(亜型)がみられました。中国、香港、台湾およびシンガポールでは、この数週間、インフルエンザ様疾患(ILI)とインフルエンザの活動(レベル)の上昇傾向が報告されました。

北半球の温帯地域

北米

北米では、全体的にインフルエンザの活動が低下してきました。

ヨーロッパ

ヨーロッパでは、総じて、インフルエンザの活動が低い状態でした。ヨーロッパ北部と東部では、僅かなレベルでインフルエンザBウイルスの検出が報告されました。ヨーロッパ南西部では、インフルエンザの活動がほとんどないか全くないことが報告されました。

北アフリカ

北アフリカのチュニジアでは、この数週間、散発的に全ての季節性インフルエンザのサブタイプ(亜型)の検出が報告されました。

西アジア

西アジアでは、総じて、インフルエンザの活動は低調でした。オマーンとカタールでは、インフルエンザの活動の僅かな増加が報告されました。検出されるサブタイプ(亜型)は、ほとんどがインフルエンザA(H1N1)pdm09ウイルスとインフルエンザB型ウイルスでした。ジョージアでは、急性呼吸器感染症(SARI)のレベルが低下を続けています。しかし、アルメニアでは、平衡状態に留まっていました。

中央アジア

中央アジアでは、ウイルスの検出に関する情報更新はありませんでした。入手できた報告では、呼吸器系疾患の指数が低いことが示されていました。

東アジア

東アジアでは、全ての季節性インフルエンザのサブタイプ(亜型)が検出されましたが、この地域ではインフルエンザの活動が低下傾向であることが報告されました。中国南部では、インフルエンザA(H1N1)pdm09ウイルスとインフルエンザBビクトリア系統が検出されましたが、インフルエンザの活動は下がってきました。中国北部では、僅かに、インフルエンザA(H1N1)pdm09ウイルスの検出数が報告されました。韓国では、インフルエンザBウイルス検出の報告が続いていましたが、インフルエンザの活動レベルは下がってきました。

出典

WHO.Influenza Update number290. 29 May 2017

http://www.who.int/influenza/surveillance_monitoring/updates/2017_05_29_surveillance_update_290.pdf?ua=1[PDF形式:635KB]

参考サイト

アメリカ大陸[北米、中米、カリブ海、南米の熱帯地域、南米温帯地域]

AMRO:www.paho.org/influenzareports

ヨーロッパ事務局

EURO:http://www.flunewseurope.org/

東地中海地域事務局

EMRO:http://www.emro.who.int/surveillance-forecasting-response/surveillance-news/influenza-monthly-update-april-2017.html

西太平洋地域事務局

WPRO:http://www.wpro.who.int/emerging_diseases/Influenza