世界のインフルエンザ流行の状況 (更新13)

2017年7月10日 WHO(原文[英語]へのリンク[PDF形式:670KB]

WHOから発表された2017年6月25日までのデータに基づくインフルエンザ流行の状況です。詳細の報告は各地域事務局のサイト情報でも掲載されています。詳細は、参考に示された各サイトを基に原文をご参照ください。

要約

  • 南半球温帯地域では、インフルエンザの活動が高まりを続けて、特に、南米では活動が高まっています。中米のいくつかの国々、カリブ海諸国、東南アジアでも、インフルエンザの活動の高まりが報告されました。(一方)北半球温帯地域では、インフルエンザの活動は低調なレベルにあることが報告されました。世界全体では、インフルエンザA(H3N2)ウイルスとインフルエンザBウイルスが伝播していました。
  • 2017年6月12日から6月25日までのデータが、FluNet(協定世界時間2017年7月7日 03:57:22まで)に基づき、83の国と地域にある国立インフルエンザ・センター(NICs)とその他の国立インフルエンザ研究施設から集められました。WHO世界インフルエンザ・サーベイランス及び対応システム(GISRS)の検査施設では、この間に56,574本を超える検体が検査されました。インフルエンザ・ウイルスが陽性となった検体は5,109本で、このうち4,101検体(80.3%)がインフルエンザA型、1,008検体(19.7%)がインフルエンザB型でした。インフルエンザAウイルスのサブタイプ(亜型)では、447検体(14.3%)がインフルエンザA(H1N1)pdm09、2,688検体(85.7%)がインフルエンザA(H3N2)でした。解析されたインフルエンザBウイルスのうち、165検体(49.4%)がB-山形系統、169検体(50.6%)がB-ビクトリア系統でした。

南半球の温帯地域諸国

南半球温帯地域では、ほとんどの国がこの数週間で、インフルエンザの活動の高まりをみせてきました。

南米温帯地域のチリでは、インフルエンザ様疾患(ILI)と重症急性呼吸器感染症(SARI)の活動が高まりを続け、インフルエンザ様疾患(ILI)が流行シーズンの警戒レベルを超えたことが報告されました。パラグアイとウルグアイは、季節変動のパターンに沿っていました。アルゼンチンでは、インフルエンザの活動がやや治まってきました。(それでも)アルゼンチン、チリ、パラグアイ、ウルグアイでは、インフルエンザの活動の高い状態が続いていました。ブラジルでは、重症急性呼吸器感染症(SARI)の活動とインフルエンザの検出数がピークを迎えたようでした。この地域では、インフルエンザA(H3N2)ウイルスが優勢でした。また、いくつかの国では、インフルエンザBウイルスの活動も報告されました。

太平洋地域のオーストラリアとニュージーランドでは、季節性インフルエンザの活動が基底レベルから平均レベルに高まってきました。インフルエンザA型とB型が伝播していました。ニュージーランドでは、ウイルスのサブタイプはインフルエンザA(H3N2)ウイルスが優勢で、インフルエンザBウイルスでは山形系統のウイルスで特徴づけられました。それでも、インフルエンザの検出率はまだ低く、どの地域も非流行期のレベルにありました。

アフリカ南部では、季節性の活動が高まりを続けていました。検出されるサブタイプ(亜型)はほとんどがインフルエンザA(H3N2)、次いでインフルエンザA(H1N1)pdm09でした。

熱帯地域

アメリカ大陸の熱帯地域/中米とカリブ海諸国
カリブ海地域と中米の国々では、わずかな国の例外を除いて、呼吸器系ウイルスの活動は低調でした。この数週間にわたり、キューバとエクアドルでは主にインフルエンザA(H3N2) ウイルスの検出が、コスタリカとニカラグアでは主にインフルエンザBウイルスの検出が、それぞれに増加傾向を示していました。エルサルバドルでは、急性呼吸器感染症の増加に伴い、重症急性呼吸器感染症(SARI)と肺炎の患者も報告されました。

南米熱帯地域では、ほとんどの地域でインフルエンザの活動が低い状態でした。

アフリカ
西アフリカでは、コートジボワールとガーナで、僅かですがインフルエンザの検出が報告されました。東アフリカでは、モーリシャスで、インフルエンザの活動が第23週にピークを迎えた後に下がってきました。双方のインフルエンザが検出されている地域では、インフルエンザA(H1N1)pdm09ウイルスとA(H3N2)ウイルスが、重なって伝播していました。

熱帯アジア
南アジアでは、インフルエンザの活動レベルが低い状態にあると報告されました。バングラデシュでは、インフルエンザA(H1N1)pdm09に伴う活動の増加が第21週に報告されました。しかし、その後は情報が更新されていません。スリランカでは、この数週間は、インフルエンザA(H3N2) ウイルスとインフルエンザBウイルスの検出が報告されました。

東南アジアでは、この数週間、インフルエンザの活動がいくつかの国では高まり、いくつかの国では下がってきました。シンガポールでは、インフルエンザA(H3N2) ウイルスとインフルエンザBウイルスを伴って、インフルエンザ様疾患(ILI)とインフルエンザの活動についての報告が続いていました。タイでも、インフルエンザの活動の高まりが報告されました。インフルエンザA(H1N1)pdm09ウイルスとA(H3N2)ウイルスが検出されていました。フィリピンでは、主にインフルエンザA(H1N1)pdm09ウイルスが報告されました。中国南部では、この数週間にわたり、インフルエンザ様疾患(ILI)とインフルエンザの活動が少しずつ高まっていました。ここでは、すべてのサブタイプが検出されました。香港では、インフルエンザA(H3N2)ウイルスが検出され、インフルエンザの活動が少しずつ高まっていました。

北半球の温帯地域

北米
北米では、ほんのわずかなインフルエンザの活動の報告、または活動がないことが報告されました。

ヨーロッパ
ヨーロッパでは、ほんのわずかなインフルエンザの活動の報告、または活動がないことが報告されました。

北アフリカ
北アフリカでは、インフルエンザの検出は報告されませんでした。

西アジア
西アジアでは、第24週に1件、インフルエンザの検出が報告されただけでした。アルメニアとジョージアでは、重症急性呼吸器感染症(SARI)活動の低下傾向が報告されました。

中央アジア
中央アジアでは、ウイルスの検出についても呼吸器系疾患の指数についても情報更新はありませんでした。

東アジア
東アジアでは、日本、モンゴル、韓国で、それぞれに、わずかにインフルエンザBウイルスの検出が報告されました。日本では、稀に、インフルエンザA(H3N2)ウイルスの検出も報告されました。中国北部では、ほんの僅かな、活動が報告されました。

出典

WHO.Influenza Update number293. 10 July 2017
http://www.who.int/influenza/surveillance_monitoring/updates/2017_07_10_surveillance_update_293.pdf?ua=1[PDF形式:670KB]

参考サイト

アメリカ大陸[北米、中米、カリブ海、南米の熱帯地域、南米温帯地域]
AMRO:www.paho.org/influenzareports

ヨーロッパ事務局
EURO:http://www.flunewseurope.org/

東地中海地域事務局
EMRO:http://www.emro.who.int/surveillance-forecasting-response/surveillance-news/influenza-monthly-update-june-2017.html

西太平洋地域事務局
WPRO:http://www.wpro.who.int/emerging_diseases/Influenza