世界のインフルエンザ流行の状況 (更新19)

2017年10月2日 WHO(原文[英語]へのリンク[PDF形式:590KB]

WHOから発表された2017年9月17日までのデータに基づくインフルエンザ流行の状況です。詳細の報告は各地域事務局のサイト情報でも掲載されています。詳細は、参考に示された各サイトを基に原文をご参照ください。

要約

  • 北半球温帯地域では、インフルエンザの活動は低調なレベルにとどまっていました。(一方)南半球温帯地域と南アジア並びに東南アジアの一部の国では、高いレベルでインフルエンザの活動の報告が続いていました。中米、カリブ海沿岸諸国の数か国でも、僅かながらインフルエンザの活動が報告されました。世界全体では、インフルエンザA(H3N2)ウイルスが優勢となっていました。
  • 2017年9月4日から9月17日までのデータが、FluNet(協定世界時間2017年9月29日 02:04:07まで)に基づき、62の国と地域にある国立インフルエンザ・センター(NICs)とその他の国立インフルエンザ研究施設から集められました。WHO世界インフルエンザ・サーベイランス及び対応システム(GISRS)の検査施設では、この間に56,011本を超える検体が検査されました。インフルエンザ・ウイルスが陽性となった検体は5,856本で、このうち4,839検体(82.6%)がインフルエンザA型、1,017検体(17.4%)がインフルエンザB型でした。インフルエンザAウイルスのサブタイプ(亜型)では、413検体(11.1%)がインフルエンザA(H1N1)pdm09、3,305検体(88.9%)がインフルエンザA(H3N2)でした。解析されたインフルエンザBウイルスのうち、181検体(65.3%)がB-山形系統、96検体(34.7%)がB-ビクトリア系統でした。
  • 2018年の南半球インフルエンザ流行期に向けて使用されるべきインフルエンザ・ウイルスのワクチン構成に対するWHOの情報協議会が、2017年9月25~28日にメルボルン(オーストラリア)で開催されました。三価ワクチンには、A/Michigan/45/2015(H1N1) pdm09、A/Singapore/INFIMH-16-0019/2016(H3N2)、B/Phuket/3073/2013のワクチン株が含まれことが推奨されました。インフルエンザBウイルス2種類を含む四価ワクチンには、(上記の)3つのウイルス株とともに、B/Brisbane/60/2008のウイルス株が加えられることが推奨されました。

(http://www.who.int/influenza/vaccines/virus/recommendations/2018_south/en/).

南半球の温帯地域諸国

南半球温帯地域では、インフルエンザの活動が、太平洋地域、南米、アフリカ南部でピークを迎えたようでした。

南米温帯地域では、インフルエンザとRSウイルスの活動が、ほとんどの地域で鎮まる傾向にありました。チリでは、インフルエンザの活動が警戒レベルよりもやや上回った状態でした。この数週間はインフルエンザBウイルスの検出が優勢でした。全体として、重症急性呼吸器感染症(SARI)とインフルエンザ様疾患(ILI)の指標が下がってきました。

太平洋地域では、インフルエンザA(H3N2) ウイルスが優勢で、これにインフルエンザBウイルスが続き、季節性インフルエンザの活動が高いレベルを維持していました。オーストラリアでは、インフルエンザ様疾患(ILI)の活動とインフルエンザの活動が、地域毎にばらついていますが、国全体では高いレベルに留まっていることが報告されました。全体として、活動は過去の流行期と比べて規模がやや大きくなっています。この数週間にニュー・サウス・ウェールズ州では、インフルエンザが関連する肺炎による死亡者の急激な増加がみられました。ニュージーランドでは、インフルエンザの活動と呼吸器疾患の指標が下がり続け、警戒レベルを下回りました。A(H3N2)ウイルスとインフルエンザB-山形系統ウイルスが検出されています。全体として、流行の規模は過去の流行期を下回っていました。ニューカレドニアでは、インフルエンザA(H3N2)ウイルスの検出数が急激に増加しました。

アフリカ南部では、南アフリカ共和国でインフルエンザの活動が下がってきたようでした。流行期のほとんどで検出されるのはインフルエンザA(H3N2)ウイルスでしたが、この数週間に観察されるインフルエンザ亜型の割合は、インフルエンザBウイルスの検出が頻繁となり、変化してきました。

熱帯地域

アメリカ大陸の熱帯地域/中米とカリブ海諸国

カリブ海地域と中米の国々では、全般的に、呼吸器系疾患の指標が下がり、インフルエンザの活動は低調でした。しかし、RSウイルスの活動は高まってきました。コスタリカとニカラグアでは、引き続き、インフルエンザの活動が報告されました。

南米熱帯地域では、インフルエンザの活動とその他の呼吸器系疾患の活動ともに、低調な状態にとどまっていました。

アフリカ

西アフリカでは、コートジボワール、ガーナ、シエラレオネで、インフルエンザの検出が報告されました。この地域では、すべての季節性インフルエンザの亜型が伝播していました。アフリカ中央部と東アフリカからは、ほとんどインフルエンザの検出は報告されませんでした。

熱帯アジア

南アジアのインドとブータンでは、インフルエンザA(H1N1) pdm09ウイルス検出の報告が続いていました。しかし、ブータンでは、インフルエンザ様疾患(ILI)と重症急性呼吸器感染症(SARI)の指標が下がってきたようでした。(いくつかの)報告によれば、この数週間に、バングラデシュで僅かにインフルエンザの活動が報告されました。検出されるウイルスはインフルエンザBが主体でした。

東南アジアでは、インフルエンザの活動が高いレベルで報告されました。この地域では、すべてのインフルエンザの亜型が報告されています。ラオスでも、インフルエンザの検出数の増加が続いていました。ここではインフルエンザA(H3N2)が優勢でした。中国南部とタイでは、インフルエンザ様疾患(ILI)とインフルエンザの活動が高い状態でした。インフルエンザA(H3N2)が優勢ですが、ここでは、すべてのインフルエンザの亜型が報告されました。ミャンマーでは、インフルエンザA(H1N1) pdm09ウイルスの検出数が減ってきたようでした。

北半球の温帯地域

北米
全体として、インフルエンザ・ウイルスの活動は低い状態でした。

ヨーロッパ

ヨーロッパでは、僅かなインフルエンザの活動の報告、または活動がないことが報告されました。

北アフリカ
北アフリカでは、インフルエンザの検出は報告されませんでした。

西アジア
西アジアのカタールでは、この数週間、インフルエンザA(H1N1) pdm09ウイルスとインフルエンザA(H3N2)ウイルスの伝播を伴いながら、インフルエンザの活動が高まりを続けていました。

中央アジア
中央アジアでは、ウイルスの検出についても呼吸器系疾患の指数についても情報更新はありませんでした。

東アジア
東アジアでは、インフルエンザの活動は低調でした。

出典

WHO.Influenza Update number299. 2 October 2017
http://www.who.int/entity/influenza/surveillance_monitoring/updates/2017_10_02_surveillance_update_299.pdf?ua=1[PDF形式:590KB]

参考サイト