世界のインフルエンザ流行の状況(更新20)

2017年10月16日 WHO(原文[英語]へのリンク[PDF形式:592KB]

WHOから発表された2017年10月1日までのデータに基づくインフルエンザ流行の状況です。詳細の報告は各地域事務局のサイト情報でも掲載されています。詳細は、参考に示された各サイトを基に原文をご参照ください。

要約

  • 北半球温帯地域では、インフルエンザの活動は低調なレベルにとどまっていました。(一方)南半球温帯地域と南アジア並びに東南アジアの一部の国では、インフルエンザの活動の低下が報告されました。中米、カリブ海沿岸諸国の数か国でも、僅かながらインフルエンザの活動が報告されました。世界全体では、インフルエンザA(H3N2)ウイルスとインフルエンザBウイルスが優勢となっていました。
  • 2017年9月18日から10月1日までのデータが、FluNet(協定世界時間2017年10月13日 03:40:32まで)に基づき、85の国と地域にある国立インフルエンザ・センター(NICs)とその他の国立インフルエンザ研究施設から集められました。WHO世界インフルエンザ・サーベイランス及び対応システム(GISRS)の検査施設では、この間に56,528本を超える検体が検査されました。インフルエンザ・ウイルスが陽性となった検体は3,496本で、このうち2,566検体(73.4%)がインフルエンザA型、930検体(26.6%)がインフルエンザB型でした。インフルエンザAウイルスのサブタイプ(亜型)では、260検体(15.1%)がインフルエンザA(H1N1)pdm09、1,460検体(84.9%)がインフルエンザA(H3N2)でした。解析されたインフルエンザBウイルスのうち、192検体(81%)がB-山形系統、45検体(19%)がB-ビクトリア系統でした。

南半球の温帯地域諸国

南半球温帯地域では、全体的にインフルエンザの活動が低下してきたようでした。

南米温帯地域では、インフルエンザとRSウイルスの活動が、ほとんどの地域で鎮まる傾向が続いていました。チリでは、インフルエンザの活動が警戒レベルよりもやや上回った状態でした。インフルエンザBウイルスの検出が続いていました。全体として、重症急性呼吸器感染症(SARI)とインフルエンザ様疾患(ILI)の指標が下がってきました。例外的に、ウルグアイでは、この数週間、重症急性呼吸器感染症(SARI)による集中治療室(ICU)への入院が増えてきていました。

太平洋地域では、インフルエンザA(H3N2) ウイルスが優勢で、これにインフルエンザBウイルスが続いていましたが、季節性インフルエンザの活動は低下し始めました。オーストラリアでは、地域毎にばらついていますが、インフルエンザ様疾患(ILI)の活動とインフルエンザの活動が鎮まってきたことが報告されました。全体として、活動は過去の流行期と比べて規模がやや大きくなっていますが、同様の傾向でした。ニュー・サウス・ウェールズ州では、インフルエンザに関連する肺炎による死亡者が高い割合で届けられ続けていました。ニュージーランドでは、インフルエンザA(H3N2)ウイルスとインフルエンザB-山形系統ウイルスが検出されていますが、インフルエンザの活動は警戒レベルを下回りました。全体として、流行の規模は過去の流行期を下回っていました。ニューカレドニアでは、インフルエンザA(H3N2)ウイルスの検出が優勢で、インフルエンザの活動が高く留まっていました。

アフリカ南部では、南アフリカ共和国でインフルエンザの活動の低下が続いていました。最もよく検出されるのはインフルエンザBウイルスでした。

熱帯地域

アメリカ大陸の熱帯地域/中米とカリブ海諸国

カリブ海地域と中米の国々では、全般的に、呼吸器系疾患の指標が下がり、インフルエンザの活動は低調でした。しかし、いくつかの国ではRSウイルスの活動が高いままでした。ニカラグアでは、インフルエンザの活動がピークを迎えたようでした。コスタリカでは、インフルエンザA(H3N2)ウイルスとインフルエンザBウイルスが同時に伝播しており、インフルエンザの活動が高まっていました。エルサルバドルでは、重症急性呼吸器感染症(SARI)の指標と肺炎の患者数が、9月にピークを迎えた後に減ってきました。しかし、昨年の同じ時期と比べると、まだ高い状態に留まっています。

南米熱帯地域では、全体としては、インフルエンザとRSウイルスの活動は低調な状態にとどまっていました。コロンビアでは、インフルエンザA(H3N2)の検出が続いていましたが、流行期のレベルを下回っていました。ブラジルでは、インフルエンザBウイルスの検出が引き続き報告されました。ベネズエラでは、散発的に、インフルエンザA(H3N2)ウイルスとインフルエンザBウイルスの検出が報告されました。

アフリカ

西アフリカでは、コートジボワール、ガーナ、シエラレオネで、インフルエンザの検出が報告されました。この地域では、すべての季節性インフルエンザの亜型が伝播していました。アフリカ中央部では、カメルーンでインフルエンザ様疾患(ILI)の活動の高まりが報告されました。東アフリカでは、ユレニオン島(フランス海外県)でインフルエンザの検出数の急激な増加とインフルエンザ様疾患(ILI)の活動の高まりが報告されました。優勢なウイルスは、インフルエンザBでした。

熱帯アジア

南アジアのインドとブータンでは、インフルエンザの活動レベルの低下が報告されました。最もよく検出されたのはインフルエンザA(H1N1) pdm09ウイルスでした。バングラデシュでは、僅かながらインフルエンザの活動が続いていました。最もよく報告されたのはインフルエンザBウイルスでした。

東南アジアでは、いくつかの例外を除いて、インフルエンザの活動が下がってきたようでした。カンボジアでは、インフルエンザの活動が高まりを続けていました。また、ラオスでも、インフルエンザA(H3N2)ウイルスが頻繁に検出され、高い状態に留まっていました。中国南部とタイでは、インフルエンザの活動が下がってきたようでした。インフルエンザA(H3N2)とすべてのインフルエンザの亜型が、それぞれに報告されました。

北半球の温帯地域

北米

全体として、インフルエンザ・ウイルスの活動は低い状態でしたが、この数週間は、僅かにインフルエンザA(H3N2)ウイルスとインフルエンザBウイルスが検出されました。呼吸器疾患の指標は、流行期のレベルを下回っていました。しかし、メキシコでは急性呼吸器感染症(ARI)が増えてきており、僅かに警戒レベルを上回りました。

ヨーロッパ

ヨーロッパでは、僅かなインフルエンザの活動の報告、または活動がないことが報告されました。

北アフリカ

北アフリカでは、インフルエンザの検出は報告されませんでした。

西アジア

西アジアのオマーンでは、インフルエンザA(H1N1) pdm09ウイルスとインフルエンザA(H3N2)ウイルスの伝播を伴いながら、インフルエンザの活動が高まりを続けていました。ここ数週間、バーレーンでもインフルエンザAウイルスの検出が報告されました。

中央アジア

中央アジアでは、ウイルスの検出についても呼吸器系疾患の指数についても情報更新はありませんでした。

東アジア

東アジアでは、インフルエンザの活動は低調でした。

出典

WHO.Influenza Update number300. 16 October 2017
http://www.who.int/entity/influenza/surveillance_monitoring/updates/2017_10_16_surveillance_update_300.pdf?ua=1[PDF形式:592KB]

参考サイト