2018年のニュース

予防接種について (ファクトシート)

2018年1月 WHO (原文[英語]へのリンク

要点

予防接種は、ワクチンで防ぐことのできる子宮頸がん、ジフテリア、B型肝炎、麻しん、流行性耳下腺炎、百日咳、肺炎、急性灰白髄炎(ポリオ)、ロタウイルスによる下痢症、風しん、破傷風などの疾病を予防し、障害や死亡を防ぎます。
世界全体でのワクチンの接種率は86%で停滞しており、この1年間に大きな変化はみられません。
これまでに使われていなかった新しいタイプのワクチンの組み入れが増えてきています。
現在、予防接種は推定で毎年200万人から300万人の死亡を防いでいます。もし、世界の予防接種率が改善されれば、さらに150万人の死亡を防ぐことができます。
世界では、現在も推定で1,950万人の幼児が最低限のワクチンを接種できずにいます。

概要

 予防接種は、推定で毎年200万人から300万人のジフテリア、破傷風、百日咳、麻しんによる死亡を防いでいます。しかし、もし、世界の予防接種率が改善されれば、さらに150万人の死亡を防ぐことができます。世界におけるワクチンの接種率(世界の子どものうち、推奨されるワクチンを接種した子どもの割合)は、この数年間、停滞しています。

 2016年には、世界の約86%(1億1,650万人)の幼児がジフテリア-破傷風-百日咳(DTP3: 3種混合ワクチン)の予防接種3回を受け、重篤な病態、障害、死亡を起こし得る感染症から保護されました。2016年までに、DTP 3種混合ワクチンの接種率は130か国で少なくとも90%に到達しています。

2016年における世界の予防接種率

 2016年における世界の予防接種率は、次のようにまとめられています。

ヘモフィリスインフルエンザ菌b型(Hib)
 インフルエンザ菌b型(Hib)は、髄膜炎や肺炎を起こします。Hibワクチンは2016年末までに191か国で導入されました。世界におけるHibワクチンの3回接種率は推定で70%です。しかし、地域間で大きな差があります。アメリカ大陸のWHO管轄地域では、接種率が推定で90%ですが、西太平洋のWHO管轄地域ではでは、たったの28%しかありません。(しかし)東南アジアのWHO管轄地域では2015年の56%から2016年には80%に上昇しました。

B型肝炎
 B型肝炎は肝臓に障害を起こすウイルス感染症です。幼児に対するB型肝炎ワクチンは、2016年末までに186か国に全国規模で導入されました。世界におけるB型肝炎ワクチン3回の接種率は推定で84%とされ、西太平洋では92%です。また、101か国で、生後24時間以内にB型肝炎ワクチン1回が新生児に接種されており、その接種率は39%となっています。

ヒト・パピローマウイルス(HPV)
 ヒト・パピローマウイルスは生殖器で最もよくみられるウイルス感染症です。子宮頸がんなどの腫瘍や男女ともに生殖器疣贅を引き起こします。ヒト・パピローマウイルス ワクチンは、国の一部地域で導入されている4か国を含めて、2016年末までに74か国で導入されました。

麻しん
 麻しんは非常に感染力が強いウイルス性疾患で、通常、高熱と発疹が現われ、失明や脳炎を引き起こします。死に至らせることもあります。2016年末時点で、85%の子どもが2歳の誕生日までに最初の麻しん予防接種を受けました。164か国では定期予防接種に組み入れられ、64%の子どもが国の接種計画に従って2回目の接種を受けました。

髄膜炎菌A
 髄膜炎菌A型は、重篤な脳の障害を起こし得る感染症で、しばしば死に至ります。2016年末月(ワクチン導入後6年)までに、髄膜炎が発生しているアフリカの国で2億6,000万人がWHOとPATH(Program for Appropriate Technology in Health;保健分野における適切な技術を導入することを目的に設立された非政府組織)によって開発されたワクチン(MenAfriVac)の接種を受けました。ガーナとスーダンは、2016年に定期予防接種スケジュールにMenAfriVacを組み入れた最初の2か国となりました。

流行性耳下腺炎
 流行性耳下腺炎は非常に感染力が強いウイルスで、有痛性の耳下腺腫脹、発熱、頭痛、筋肉痛を起こします。ウイルス性髄膜炎を起こすこともあります。流行性耳下腺炎のワクチンは、2016年末までに121か国に全国規模で導入されました。

肺炎球菌
 肺炎球菌性疾患は、肺炎、髄膜炎、発熱性菌血症のほか、中耳炎、副鼻腔炎、気管支炎を起こします。肺炎球菌ワクチンは、国の一部地域で導入されている3か国を含めて、2016年末までに134か国に導入されました。世界全体で接種率が推定で42%となりました。

ポリオ
 ポリオは感染力の強いウイルス性疾患で、不可逆的な麻痺を起こすことがあります。2016年には、世界中で85%の幼児が3回のポリオ予防接種を受けました。ポリオは世界全体での根絶を目標としており、アフガニスタン、パキスタン、ナイジェリアの3か国を除くすべての国で発生が阻止されています。ポリオの清浄国でも輸入感染が起こりうるため、ポリオが完全に根絶されるまでは、すべての国、特に紛争や政情不安がある国に、リスクが残されています。

ロタウイルス
 ロタウイルスは、世界中で、最も多く子どもに重篤な下痢症を起こす原因疾患です。ロタウイルス・ワクチンは、国の一部地域で導入されている6か国を含めて2016年末までに90か国で導入されました。世界での接種率は推定で25%となっています。

風しん
 風しんはウイルス性疾患で、通常、子どもでは軽症です。しかし、妊娠初期に感染すると、胎児死亡や、脳、心臓、眼、耳が障害される先天性風しん症候群を起こすことがあります。風しんワクチンは、2016年末までに152か国において全国規模で導入され、世界での接種率は推定で47%となりました。

破傷風
 破傷風は、不潔な傷口や清潔に保たれていない臍帯のような酸素に触れない状況下で増殖する細菌によって起こされます。破傷風菌の芽胞は地理的な分布に関係なく、(あらゆる)環境中に存在します。破傷風菌は重症の合併症を起こし、死に至らせる毒素を産生します。2016年末までに、母親と新生児の破傷風を予防するためのワクチンが106か国で導入されています。推定で84%の新生児がワクチン接種によって予防されました。母親と新生児の破傷風は、主にアフリカ及びアジアの18か国では、依然として公衆衛生上の問題として残されています。

黄熱
 黄熱はウイルスを保った蚊を介して感染する急性ウイルス性出血熱です。2016年の時点で、黄熱に感染するリスクのあるアフリカ大陸及びアメリカ大陸の42の国と地域のうち35か国と地域において、黄熱ワクチンが幼児の定期接種に組み入れられました。これら42の国と地域における接種率は、推定で45%となっています。

課題に向けた要点

 2016年には、世界で推定1,950万の幼児がDPT 3種混合ワクチンなどの定期予防接種を受けられませんでした。これらの子どもの60%以上は、アンゴラ、ブラジル、コンゴ民主共和国、エチオピア、インド、インドネシア、イラク、ナイジェリア、パキスタン、南アフリカ共和国の10か国に住んでいます。

 予防接種のギャップに取り組み、いのちを救うことのできるワクチンをすべての人に届けるためには、地方レベルでデータを管理することが、それぞれの国が優先順位を付け、ワクチン接種戦略と運用計画を作ることに役立てる上で重要です。

WHOの取り組み

 WHOは、2012年5月の世界保健総会で採択されたこれらの率先すべき取り組み(イニシアチヴ)を含め、世界全体のワクチンの接種率を改善するために国や関係機関と連携して活動しています。

世界ワクチン接種行動計画
 世界ワクチン接種行動計画(The Global Vaccine Action Plan:GVAP)は、2020年までに、ワクチンの接種環境をより公正なものに整備し、何百万もの人々を感染による死から護るためのロードマップ(工程表)です。これまでのところ、GVAPに向けた進捗状況は、計画予定から外れています。

 2017年5月、194か国の保健大臣が、GVAPの目標を達成するために、予防接種の強化に関する新たな決議を採択しました。この決議案は、各国の予防接種プログラムの管理能力と指導力を強化し、最新情報によるデータ・ガイド・ポリシーとプログラムの決定が確実に実行能力と影響力を最適化するように、監視と調査システムを向上させることを各国に要請しています。また、幼児期を超えた(年齢での)予防接種サービスを拡大し、国内の資金を動入し、GVAP目標を達成するための国際協力を強化するように各国に要請しています。

 (GVAPは)WHO事務局に対して、地域および世界での予防接種の目標を達成するために各国を引き続き支援するように要請しています。ワクチンの価値への理解とGVAPの目標達成への緊急性を高めるために、啓発活動を拡大させることを勧めています。WHO事務局は、GVAPの最終目標と目的に対する成果を、2018年、2020年および2022年に保健総会に報告することになっています。

世界予防接種週間
 WHOと支援組織は、毎年4月の最終週を世界予防接種週間として記しています。世界予防接種週間は、すべての年齢の人々を病気から守るために、ワクチン使用の促進を目指しています。予防接種は、何百万人ものいのちを救い、世界で最も成功した医療介入であり、対費用効果の高い医療介入の一つとして、広く認識されています。

 2017年のキャンペーンのテーマ # VaccinesWork(ワクチンがもつ力)に置かれた大目標は、生涯を通じて十分に予防接種を受けることの(保つ)特別な重要性(への認識)と、持続可能な進展目標を達成する中での予防接種の役割に対する関心を高めることです。

 このキャンペーンの一環として、WHOと支援組織は、次のことに取り組んでいます。
・世界トップの健康・医療への投資の優先事項として、予防接種の重要性を強調すること
・GVAPを達成するために必要とされる行動のステップ(歩み)への理解を促進すること
・継続可能な進展と世界の健康への保障における予防接種の役割を示すこと

出典

WHO. Fact sheet, Media Centre. Reviewed January 2018
Immunization coverage.
http://www.who.int/mediacentre/factsheets/fs378/en/