世界のインフルエンザの流行状況(更新4)

2018年3月5日 WHO(原文[英語]へのリンク[PDF形式:561KB]

WHOから発表された2018年2月18日までのデータに基づくインフルエンザ流行の状況です。報告の詳細は各地域事務局のサイト情報に掲載されています。参考に示された各サイトの原文をご参照ください。

要約

  • 北半球温帯地域では、インフルエンザの活動が高まった状態を維持していました。一方、南半球温帯地域では、活動が非流行期のレベルにありました。世界全体では、検出されるインフルエンザ・ウイルスの割合が、インフルエンザAとインフルエンザBとで同じ割合になってきました。
  • これまでのところ、インフルエンザ流行期にある大半の国では、この数年間と比べて、インフルエンザ様疾患(ILI)が中等度レベルであると報告されており、この数年間を超えるレベルに達した国は僅かでした。しかし、いくつかの国では、これまでのインフルエンザ(流行)シーズンの最大レベルや(それを)超えるレベルに達した入院やICU入院が報告されました。WHOは、現在インフルエンザが流行している国や、そのシーズンに入った国に対して、適正な患者の管理、感染制御への対策の遵守、リスクの高い人々への季節性インフルエンザ・ワクチンの接種など、必要な対策を確実に講じることを勧告しています。
  • 2018年2月5日から2月18日までのデータが、FluNet(協定世界時間2018年3月2日03:41:07まで)に基づき、99の国と地域にある国立インフルエンザ・センター(NICs)とその他の国立インフルエンザ研究施設から集められました。WHO世界インフルエンザ・サーベイランス及び対応システム(GISRS)の検査施設では、この間に281,243本を超える検体が検査されました。インフルエンザ・ウイルスが陽性となった検体は90,570本で、このうち44,502検体(49.1%)がインフルエンザA型、46,068検体(50.9%)がインフルエンザB型でした。インフルエンザAウイルスのサブタイプ(亜型)では、7,773検体(58.2%)がインフルエンザA(H1N1)pdm09、5,574検体(41.8%)がインフルエンザA(H3N2)でした。解析されたインフルエンザBウイルスのうち、5、835検体(94.4%)がB-山形系統、346検体(5.6%)がB-ビクトリア系統でした。
  • 2018年2月19-21日に、スイス・ジュネーブで、2018-2019年の北半球でのインフルエンザ・シーズンに使用するインフルエンザ・ウイルスのワクチン組成に関するWHO諮問・情報会議が開催されました。2018-2019年の北半球インフルエンザ・シーズンに使用する4価ワクチンは、A/ミシガン/45/2015(H1N1)pdm09からのウイルス、A/Singapore / INFIMH-16-0019/ 2016(H3N2)からのウイルス、B/Colorado / 06/2017からのウイルス(B / Victoria / 2/87系統)、B/ Phuket / 3073/2013からのウイルス(B / Yamagata / 16/88系統)から成ります。2018-2019年の北半球インフルエンザ・シーズンに使用する3価ワクチンのインフルエンザBウイルス成分は、B/ Colorado / 06/2017(B / Victoria / 2/87系統)からのウイルスの方が推奨されました。

(http://www.who.int/influenza/vaccines/virus/recommendations/2018_19_north/en/)

北半球の温帯地域

北米

この地域では、全体的にインフルエンザ・ウイルスの活動は高く、しかし、ピークを迎えたようでした。カナダでは、インフルエンザ陽性を示す検体の割合は減ってきましたが、インフルエンザの活動が高いレベルに留まっていました。また、インフルエンザ様疾患(ILI)の活動は高まりを続け、過去5年のこの時期の平均値を上回りました。この数週間は、インフルエンザBの検出数が増加し、インフルエンザAの検出数を超えました。65歳を超える成人が、感染する年齢層で最も多く、次いで、20歳から64歳の年齢層でした。アメリカ合衆国では、インフルエンザの活動が高まりを維持していました。しかし、最も多く検出されていたインフルエンザA(H3N2)ウイルスが減ってきました。インフルエンザでの入院が、特に65歳を超える成人で引き続き増加しており、これまでの7シーズンの同じ時期に観測されたレベルを上回ったことが報告されました。メキシコでは、インフルエンザA(H3N2)ウイルスが検出されていましたが、この間に報告されるインフルエンザの活動は下がってきました。

ヨーロッパ

ヨーロッパでは、ほとんどの国で、インフルエンザの活動が高い状態でした。全域にわたり全てのインフルエンザの亜型が流行していましたが、ほとんどの国でインフルエンザBウイルスが優勢になりました。ヨーロッパ東部と北部のほとんどの国では、インフルエンザ様疾患(ILI)とインフルエンザの検出数が増加を続け、ヨーロッパ南西部の一部の国ではピークに達したようでした。インフルエンザBウイルスの検出数の増加が、デンマーク、エストニア、ノルウェー、スウェーデンで続いていました。インフルエンザ病態の指標は、アイルランドと英国ではピークに達したようでした。しかし、英国では、インフルエンザに関連する入院が高いレベルで留まっていました。

北アフリカ

北アフリカのエジプトでは、インフルエンザの検出数が多い状態でした。一方、アルジェリア、モロッコでは、インフルエンザAウイルスとインフルエンザBウイルスの両方が流行していましたが、検出数は減ってきました。チュニジアでは、インフルエンザA(H1N1)pdm09の検出数の減少が報告されました。アルジェリアとチュニジアでは、インフルエンザA(H1N1)pdm09が優勢でした。一方、エジプトとモロッコでは、インフルエンザA(H1N1)pdm09とインフルエンザBの検出が報告されていました。

西アジア

西アジアでは、全域にわたりインフルエンザ活動の報告が続いていました。キプロスでは、インフルエンザ様疾患(ILI)とインフルエンザの検出数が増加してきました。イスラエルでは、インフルエンザBウイルスが優勢のまま、インフルエンザの活動が高い状態にありました。一方、イラクでは、インフルエンザA (H1N1)pdm09の検出数が減ってきたことが報告されました。アルメニアではインフルエンザB-山形系統とインフルエンザA (H1N1)pdm09の検出が引き続き報告されました。

中央アジア

中央アジアでは、この数週間、地域全体にわたり、インフルエンザA(H3N2)ウイルスとインフルエンザB-山形系統の検出数が増えてきました。

東アジア

東アジアでは、地域全体にわたり、インフルエンザの活動が高まりを維持していました。しかし、第3週にピークを迎えたようでした。中国北部と南部では、インフルエンザ様疾患(ILI)の活動が落ち着いたようでした。しかし、インフルエンザの検出数が減り続けていました。検出されるのは、インフルエンザB-山形系統ウイルスとインフルエンザA (H1N1) pdm09ウイルスでした。香港では、インフルエンザBが頻繁に検出され、インフルエンザの活動は高い状態でした。朝鮮民主主義人民共和国では、インフルエンザA (H1N1)pdm09の検出数の減少が報告されました。日本では、インフルエンザの活動がピークを迎えたようでした。少数のインフルエンザB-山形系統とインフルエンザA(H3N2)の検出が報告されました。低調なインフルエンザの活動は、モンゴルでも報告されました。韓国では、インフルエンザ様疾患(ILI)とインフルエンザの活動が下がってきました。検出されるのは、主にインフルエンザB-山形系統ウイルスとインフルエンザA (H1N1)pdm09ウイルスでした。

熱帯地域

アメリカ大陸の熱帯地域/中米とカリブ海諸国

カリブ海地域では、インフルエンザの活動が国毎にさまざまでした。スリナムでは、インフルエンザBウイルスの検出が引き続き報告されました。この数週間、いくつものフランス海外県、ジャマイカ、プエルトリコ、サンタルチアでは、インフルエンザ様疾患(ILI)の指標とインフルエンザの陽性検出数が増えてきました。この地域では、全ての季節性インフルエンザの亜型が検出されました。中央アメリカの国々では、全体的に、インフルエンザとRSウイルスの活動が低調でした。この地域では、RSウイルスとこの他の呼吸器系ウイルスの活動は低調でした。

南米の熱帯諸国では、いくつかの例外を除き、インフルエンザの活動、呼吸器疾患の指標ともに、全体的に低い状態でした。エクアドルでは、インフルエンザの活動がピークを迎えたようでした。この数週間はインフルエンザA (H1N1)pdm09の検出数が減ってきました。ペルーでは、全ての季節性インフルエンザの亜型が検出されました。

アフリカ

西アフリカでは、地域全体にわたり、インフルエンザの活動は低調でした。アフリカ中央部では、報告の期間に入手できた更新データはありませんでした。東アフリカでは、マダガスカルで、インフルエンザA(H1N1)pdm09とインフルエンザBの検出数の増加が報告されました。

熱帯アジア

南アジアでは、インフルエンザの活動が、全体的に低い状態でした。アフガニスタン、イラン、パキスタンでは、全ての季節性インフルエンザの亜型が検出されましたが、インフルエンザの活動は弱まってきました。

東南アジアでは、ほとんどの国で、インフルエンザの活動が低いレベルにあることが報告されました。シンガポールでは、インフルエンザA(H1N1)pdm09ウイルスとインフルエンザB-山形系統ウイルスの検出数の増加が引き続き報告されました。カンボジアでは、インフルエンザの活動が弱まる傾向にあり、ラオスとタイでは、低い状態に留まっていました。

南半球の温帯地域諸国

南半球温帯地域では、全体的に、インフルエンザの活動が非流行期のレベルに留まっていました。

出典

参考サイト