世界のインフルエンザの流行状況(更新6)

2018年4月2日 WHO(原文[英語]へのリンク[PDF形式:753KB]

WHOから発表された2018年3月18日までのデータに基づくインフルエンザ流行の状況です。報告の詳細は各地域事務局のサイト情報に掲載されています。参考に示された各サイトの原文をご参照ください。

要約

●北半球温帯地域では、インフルエンザの活動がほとんどの国で鎮まってきたようでした。しかし、例外的に、ヨーロッパ東部では活動の増加が続いていました。(一方)南半球温帯地域では、活動が非流行期のレベルに留まっていました。世界全体では、インフルエンザAとインフルエンザBが同じ割合で検出されるようになっていました。
●2018年3月5日から3月18日までのデータが、FluNet(協定世界時間2018年3月30日 04:46:41まで)に基づき、107の国と地域にある国立インフルエンザ・センター(NICs)とその他の国立インフルエンザ研究施設から集められました。WHO世界インフルエンザ・サーベイランス及び対応システム(GISRS)の検査施設では、この間に206,175本を超える検体が検査されました。インフルエンザ・ウイルスが陽性となった検体は50,579本で、このうち23,651検体(46.8%)がインフルエンザA型、26,928検体(53.2%)がインフルエンザB型でした。インフルエンザAウイルスのサブタイプ(亜型)では、6,313検体(64%)がインフルエンザA(H1N1)pdm09、3,552検体(36%)がインフルエンザA(H3N2)でした。解析されたインフルエンザBウイルスのうち、3,184検体(91%)がB-山形系統、316検体(9%)がB-ビクトリア系統でした。

北半球の温帯地域

北米

北米では、全体的にインフルエンザ・ウイルスの活動の低下が報告されました。カナダでは、インフルエンザの指標が、前週と同様か、それより低下していました。インフルエンザBが最も頻繁に検出される状態が続いていました。アメリカ合衆国では、インフルエンザの活動とインフルエンザの指標が下がり続けていました。しかし、インフルエンザで入院する割合は高い状態のままでした。特に65歳を超える成人では高い状態でした。また、これまでのインフルエンザの流行8期よりも、高い割合が報告されました。インフルエンザの亜型は、すべての型が検出されました。メキシコでは、すべての季節性インフルエンザの亜型が検出されました。しかし、ウイルスの活動は低下してきていることが報告されました。

ヨーロッパ

ヨーロッパ地域では、インフルエンザ・ウイルスの伝播が広く続いていました。この地域では、全てのインフルエンザの亜型が流行していましたが、インフルエンザBが優勢なウイルスでした。ヨーロッパ東部では、インフルエンザAウイルスの検出がもっとも多く、次いで、インフルエンザBウイルスが検出され、増加が続いていました。特にロシアでは、全てのインフルエンザの亜型の流行を伴いながら、インフルエンザの活動の高まりが続いていました。ヨーロッパ北部と南西部では、インフルエンザAとインフルエンザBのウイルスの検出数が減ってきました。例外的に、デンマークとドイツでは、インフルエンザの活動が高い状態のまま留まっていました。オランダでは、季節性のリアソータント(結合変異)ウイルスA(H1N2)が検出されました。

北アフリカ

北アフリカでは、ほとんどの国で、インフルエンザの活動が低下してきました。エジプトでは例外的に、インフルエンザA(H1N1)pdm09とインフルエンザBの検出数が多い状態で留まっていました。

西アジア

西アジアでは、全域にわたりインフルエンザ活動は弱まってきたようでした。この地域では、すべてのインフルエンザの亜型がみられました。インフルエンザは、アルメニアではインフルエンザA (H1N1)pdm09とインフルエンザB-山形系統に対して、キプロスではインフルエンザAとインフルエンザBに対して、インフルエンザ・ウイルスの検出が引き続き報告されました。イスラエルでは、(まだ)すべてのインフルエンザの亜型が伝播していますが、インフルエンザ活動は弱まってきました。レバノンでは、すべてのインフルエンザの亜型の検出数が増えていました。

中央アジア

中央アジアでは、地域全体にわたり、インフルエンザの活動が弱まってきました。

東アジア

東アジアでは、地域全体にわたり、インフルエンザの活動が弱まってきました。中国の北部と南部では、インフルエンザA (H1N1)pdm09ウイルスとインフルエンザBウイルスが伝播していますが、インフルエンザの検出数は低下してきました。香港では、インフルエンザの活動が弱まってきました。しかし、まだ、インフルエンザBがかなり頻繁に検出され、次いでインフルエンザA (H1N1)pdm09ウイルスも検出されており、流行基準レベルを上回っています。日本と韓国では、インフルエンザの活動が弱まったことが報告されました。モンゴルでは、インフルエンザ様疾患(ILI)の活動とインフルエンザA (H1N1)pdm09の検出数が、この数週間で再び増加してきました。

熱帯地域

アメリカ大陸の熱帯地域/中米、カリブ海諸国、南米

カリブ海地域では、引き続き季節性インフルエンザのすべての亜型が検出されていますが、インフルエンザの活動が少しずつ弱まってきました。ドミニカ共和国では、インフルエンザの活動が弱まってきたようでした。しかし、インフルエンザA (H1N1)pdm09の検出数は、まだ少し増え続けています。一方、ジャマイカでは、インフルエンザの活動が低下を続けていました。中央アメリカの国々では、全体的に、インフルエンザの活動は低調な状態でした。グアテマラとホンジュラスでは、インフルエンザの検出数が僅かながら増えてきていることが報告されました。

南米の熱帯諸国では、インフルエンザの活動が、国によってさまざまでした。コロンビア、エクアドル、ペルーでは、インフルエンザの活動が弱まってきました。(一方)ベネズエラでは、インフルエンザA (H1N1)pdm09ウイルスの検出数の増加が報告されました。

アフリカ

西アフリカでは、地域全体にわたり、インフルエンザの活動は低調な状態でした。アフリカ中央部では、報告の期間に入手できた更新データはありませんでした。東アフリカのマダガスカルでは、インフルエンザの活動が弱まってきました。(一方)モザンビークでは、インフルエンザA(H1N1)pdm09の検出が報告されました。

熱帯アジア

南アジアでは、この間の各国の報告に基づけば、インフルエンザの活動が全体的に低い状態でした。

東南アジアでは、全域にわたり、インフルエンザの活動が低調な状態にあるようでした。

南半球の温帯地域諸国

南半球温帯地域では、全体的にほとんどの国で、インフルエンザの活動が非流行期のレベルに留まっていました。チリとパラグアイでは、インフルエンザ様疾患(ILI)の活動レベルが流行基準レベルを上回って増加していました。アルゼンチンでは、インフルエンザ検査の陽性の割合が流行基準レベルを上回っていることが報告されました。

出典

参考サイト

アメリカ大陸[北米、中米、カリブ海、南米の熱帯地域、南米温帯地域]
AMRO:www.paho.org/influenzareports

ヨーロッパ事務局
EURO:http://www.flunewseurope.org/

東地中海地域事務局
EMRO:http://www.emro.who.int/health-topics/influenza/regional-situation-update.html

西太平洋地域事務局
WPRO:http://www.wpro.who.int/emerging_diseases/Influenza