疾患サーベイランス報告-WHO西太平洋地域

2018年9-12週に報告されたWHO西太平洋地域事務局(WPRO)のサーベイランス情報をまとめて掲載いたします。
註1:発生時期に時間差がありますので、詳細は原文でお確かめください。
註2:[ ]の数字は報告週です。

太平洋地域での症状・疾患サーベイランス報告システム(PSSS)では、伝染性感染症の発生を示唆する情報の報告をしています。データは、急性発熱と発疹、下痢、インフルエンザ様疾患、遷延性の発熱の4つの症状群について、太平洋地域の23か国200か所以上の医療施設から収集されています。PSSSは、伝染性感染症に対する極めて貴重な早期警報ツールとしての、また、太平洋諸島の地域と国々、WHO、太平洋共同体のようなその他の国際機関との間で定期的に連絡をとる機構制度としての役目を果たしています。

概要

●急性発熱と発疹:北マリアナ諸島[9,10,11]、トケラウ[9]、バヌアツ[9,10,12]、ミクロネシア連邦[10、12]、フランス領ポリネシア[10,12]、フィジー[11,12]、トンガ[11,12]
●遷延性発熱:ミクロネシア連邦[9] 、フランス領ポリネシア[10,11]、フィジー[11,12]、キリバス[11]
●デング様疾患:パラオ[9]、フランス領ポリネシア[9]、バヌアツ[10,11]

疾患別の発生状況

●流行性耳下腺炎[ムンプス]
【ミクロネシア連邦、バヌアツ】FSMのChuuk(チューク)州とバヌアツで、流行が続いています。今週は、Yap(ヤップ)州からも、疑い患者が報告されました[ここまで第12週、第11週より]。

【バヌアツ】2018年3月13日までに、患者が合計で338人報告されました。前回2月23日に発表された状況報告から、新たに患者37人が確認されています[第10週より]。

【ミクロネシア連邦】】2018年3月9日までに、疑い患者20人が報告されました。前回2月27日に発表された状況報告から、新たに患者9人が確認されています[第10週より]。

●髄膜炎菌性髄膜炎
【フィジー】現在、流行が発生しています。中央地域にある全寮制の学校で集団感染が確認されました。患者たちは3次対応の病院(Colonial War記念病院)で治療を受けました。一方、患者たちとの接触者には、適正な予防投与の抗生物質が配られました[ここまで第12週より]。

健康・医療サービス省(MOHMS)は、髄膜炎菌性髄膜炎C型の流行を宣言しました。2018年2月21日までに、死亡者4人を含む患者18人がでました。死亡したうちの3人は、5歳に満たない子どもたち、もう一人は10歳代の子どもでした。髄膜炎菌性髄膜炎は、髄膜炎菌により発症し、生命に危機を起こす疾患です。もし、早いうちに受診し治療しなければ、発症した人のうちの半数は死亡します。髄膜炎菌性髄膜炎は稀にしか発生しませんが、誰にでも発症します。特に、乳幼児、子ども、青年は(感染)リスクが高くなります[ここまで第11週より]。

●デング熱
【フィジー、ニューカレドニア、サモア、バヌアツ】デング熱2型の流行が続いています[12,11]。バヌアツのデング熱流行に関する更新情報では、3月12日までに、疑い患者が246人となりました[10]。ニューカレドニアにあるパスツール研究所によって、デング熱2型と確認されました[10]。

【トンガ】トンガでは、毎週報告される患者の数が減ってきました[12]。2018年3月1日までに、212人の検体に対するデング熱・迅速検査機器によって、患者69人が確定診断されました。流行の原因は、デング熱2型と確認されています[ここまで第9週より]。

出典