世界のインフルエンザの流行状況(更新7)

2018年4月16日 WHO(原文[英語]へのリンク[PDF形式:471KB]

 WHOから発表された2018年4月1日までのデータに基づくインフルエンザ流行の状況です。報告の詳細は各地域事務局のサイト情報に掲載されています。参考に示された各サイトの原文をご参照ください。

要約

  • 北半球温帯地域では、インフルエンザの活動がほとんどの国で低下してきました。しかし、例外的に、ヨーロッパ東部では活動が増加を続けていました。(一方)南半球温帯地域では、活動が非流行期のレベルに留まっていました。世界全体では、インフルエンザAとインフルエンザBが同じ割合を占めていました。
  • 2018年3月19日から4月1日までのデータが、FluNet(協定世界時間2018年4月13日 03:50:07まで)に基づき、107の国と地域にある国立インフルエンザ・センター(NICs)とその他の国立インフルエンザ研究施設から集められました。WHO世界インフルエンザ・サーベイランス及び対応システム(GISRS)の検査施設では、この間に171,054本を超える検体が検査されました。インフルエンザ・ウイルスが陽性となった検体は34,751本で、このうち18,186検体(52.3%)がインフルエンザA型、16,565検体(47.7%)がインフルエンザB型でした。インフルエンザAウイルスのサブタイプ(亜型)では、4,763検体(62.7%)がインフルエンザA(H1N1)pdm09、2,839検体(37.3%)がインフルエンザA(H3N2)でした。解析されたインフルエンザBウイルスのうち、1,704検体(91%)がB-山形系統、169検体(9%)がB-ビクトリア系統でした。

北半球の温帯地域

北米

 北米では、全体的にインフルエンザ・ウイルスの活動の低下が続いていました。カナダとアメリカ合衆国では、インフルエンザの指標が低下を続けており、その中で、カナダではインフルエンザBウイルスが最も頻繁に検出され、アメリカ合衆国ではインフルエンザA(H3N2)ウイルスとインフルエンザBウイルスとの流行が重なり、検出されました。メキシコでは、すべての季節性インフルエンザの亜型が検出されました。しかし、ウイルスの活動は低下してきていることが報告されました。

ヨーロッパ

 ヨーロッパ地域では、インフルエンザ・ウイルスの伝播が広く続いていました。しかし、ほとんどの国では、低調から中等度と報告されました。(一方)ヨーロッパ東部では、インフルエンザAウイルスとBウイルスの検出数の増加が続いていました。特に、インフルエンザの活動は、ラトビアとロシアで、高い状態でした、ヨーロッパ北部と南西部では、インフルエンザAウイルスとBウイルスの検出数の減少が続いていました。

北アフリカ

 北アフリカでは、この地域のほとんどの国で、インフルエンザの活動が低下してきました。例外的に、エジプトでは依然として検出量が多い状態でした。

西アジア

 西アジアでは、全域にわたりインフルエンザ活動は低下してきたようでした。この地域では、すべてのインフルエンザの亜型がみられました。カタールでは、すべてのインフルエンザの亜型の検出報告が続いていました。アルメニア、イスラエル、レバノン、サウジアラビアでは、インフルエンザ・ウイルスの検出量の減少が報告されました。

中央アジア

 中央アジアでは、地域全体にわたり、インフルエンザの活動が弱まってきました。但し、カザフスタンでは、この数週間、多くの量のインフルエンザの検出が報告されました。

東アジア

 東アジアでは、地域全体にわたり、インフルエンザの活動が低下してきました。中国の北部と南部では、インフルエンザA (H1N1)pdm09ウイルスとインフルエンザBウイルスが伝播していますが、インフルエンザの検出数は減少を続けていました。香港では、インフルエンザの活動が警戒レベル以下まで戻ってきました。しかし、モンゴルでは、インフルエンザ様疾患(ILI)の活動とインフルエンザA (H1N1)pdm09の検出数が、この数週間で再び増加してきました。日本と韓国では、インフルエンザの活動の低調な状態が報告されました。

熱帯地域

アメリカ大陸の熱帯地域/中米、カリブ海諸国、南米

 カリブ海地域では、全体的に、インフルエンザの活動が高まっていました。ドミニカ共和国では、主にインフルエンザA (H1N1)pdm09を検出しながら、インフルエンザの活動が高まっているようでした。インフルエンザの活動は、(カリブ海地域の)フランス領海外県、ジャマイカ、プエルトリコでは、高まった状態に留まっていました。中央アメリカの国々では、全体的に、インフルエンザの活動は低調な状態でした。グアテマラとホンジュラスでは、インフルエンザの検出数が僅かながら増えていました。

 南米の熱帯諸国では、インフルエンザの活動が、国によってさまざまでした。ボリビアでは、この数週間、インフルエンザ・ウイルス陽性の割合が増え、重症急性呼吸器感染症(SARI)のレベルが上昇してきました。ベネズエラでは、インフルエンザの陽性数が流行期の警戒レベルを超えてきました。ブラジルでは、僅かながら増加してきました。

アフリカ

 西アフリカでは、地域全体にわたり、インフルエンザの活動は低調な状態でした。アフリカ中央部では、中央アフリカ共和国で、患者の発生が散発的に報告されました。東アフリカのマダガスカルとタンザニアでは、インフルエンザの活動が弱まってきました。(一方)モザンビークでは、インフルエンザA(H1N1)pdm09の検出が報告されました。

熱帯アジア

 南アジアでは、この間の各国の報告に基づけば、インフルエンザの活動が全体的に低い状態でした。この数週間、ブータンでは、インフルエンザA(H3N2)ウイルスの検出量が増えてきました。

 東南アジアでは、全域にわたり、インフルエンザの活動が低調な状態にあるようでした。

南半球の温帯地域諸国

南半球温帯地域では、全体的にほとんどの国で、インフルエンザの活動が非流行期のレベルに留まっていました。

出典

参考サイト

アメリカ大陸[北米、中米、カリブ海、南米の熱帯地域、南米温帯地域]

AMRO:www.paho.org/influenzareports

ヨーロッパ事務局

EURO:http://www.flunewseurope.org/

東地中海地域事務局

EMRO:http://www.emro.who.int/health-topics/influenza/regional-situation-update.html

西太平洋地域事務局

WPRO:http://www.wpro.who.int/emerging_diseases/Influenza