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公式情報トピックス(2007年)

公式情報 平成19年5月24日

ポルトガルでのインフルエンザワクチン接種率と高齢者でのインフルエンザ様疾患:関連が認められるか?

Euroserveillance, Volume 12, Issue 5, 2007年5月17日

高齢者(65歳以上)でのインフルエンザワクチン接種は全てのヨーロッパ諸国で勧告され、インフルエンザ関連の発病率と致死率を有意に低下させていると考えられている。しかし、ワクチン接種率とインフルエンザ様疾患(ILI)発病率の関係に関する研究は比較的少数存在するものの、その結果はそれぞれ異なっている。この論文で記述する研究は、1998年/1999年〜2006年/2007年までのインフルエンザシーズン中に、65歳以上のポルトガル人でのワクチン接種率とILI発病率間の関連を確定することを目的とした。

○方法:
○インフルエンザワクチン接種率:

インフルエンザワクチン接種率は、コンピュター支援電話聞き取り調査によって実施された約1000戸の調査であるECOS (Em Casa Observamos Saude - At Home We Watch Health)から入手された。これらの家庭は無作為に全国電話帳から選択され、ポルトガル本土に居住する家族代表として電話で募集された。
各インフルエンザシーズンでのインフルエンザワクチン接種調査は、1999年以来春季毎に実施されている。各家庭で、ワクチン接種に関する情報が、18歳以上の回答者から自身および同居者について収集された。ワクチン接種率推測値は、1998年/1999年〜2006年/2007年のインフルエンザシーズンについて、ポルトガル全国および各地域で年齢群毎に入手された。本研究では、ポルトガル本土住民である65歳以上の回答者でのインフルエンザワクチン接種率に関するデータを使用した。

○ILI発病率:

ILI発病率は、ポルトガル定点観測ネットワークMedicos-Sentinela (MS)から入手した。ポルトガルでは、総合医general practitioners (GPs)が1990年以来インフルエンザサーベイランスに関して継続的に協力しており、週毎に臨床データを国立健康監視機関に提供している。GPリストにある患者で新たな発生したインフルエンザ症例数データは、年齢別、性別での全国のILI発生率(人口10万人当たり)についての週毎の推測値と同様に、過去18年間に渡り利用可能である。
本研究の目的のために発病率は、疫学第40週(10月初日)から翌年の第14週(3月末日)までの期間中、全ての週毎ILI発生率を合計して求められた(累積発生率)。
GP定点観察ネットワークを通じて計算された発生率は、患者はILIに罹患しても医療機関を必ずしも受診しなかったり、他の医師や医療機関を受診するといった複数の理由から、過少評価されていると考えられる。したがって、季節性発生率の補正が、65歳以上のILI患者の30%が自身のGPを受診するという以前の研究で判明したデータを用いて、実施された。以上のように定義された期間(40週から14週)での補正発生率とワクチン接種率間の関連が、ピアソンおよびスピアマン相関係数によって査定された。補正率(correction factor)は本研究において全てのシーズンで一定であるから、得られた相関係数は影響されない。相関係数から対象期間中(1998年/1999年〜2006年/2007年)のワクチン接種率および発生率の値(value)に対して、時間トレンドlinear time trendが評価された。全ての結果は統計プログラムパックSPSS 14.0を使用して得られた。

○結果:

1998年/1999年〜2006年/2007年の期間では、ワクチン接種率または発生率について有意な時間トレンドlinear time trendは確認されなかった。この結果は、研究対象期間中に、これらのパラメーター間にはevolution patternは発生しなかったことを示唆している。下記の表および図(原文参照)は、研究対象期間中の65歳以上のポルトガル人について、ワクチン接種率と発生率間の関連を示している。これらの解析から、優勢なウイルス亜型を考慮しない場合、ワクチン接種率と発生率の関連は非常に弱く、統計的に有意ではなかった - (ピアソンr=-0.534, p=0.173; スピアマン rs=-0.359, p=0.382) (8シーズンについて)。他方、A(H3)インフルエンザ亜型株の解析に限定すれば(6シーズン)、負の線形相関がワクチン接種と優勢なインフルエンザ亜型株発生率との間に認められた - ピアソン r=-0.911, p=0.011; スピアマン rs=-0.899, p=0.015。この事実はワクチン接種率と発生率に付随する変動を示唆している。

○結論:

65歳以上のポルトガル市民で実施されたこの研究では、負の線形相関がA(H3)インフルエンザ亜型株の優勢なシーズン中のワクチン接種率とILI発生率間に確認された。
全てのシーズンを一緒に考慮すると、ワクチン接種率とILI発生率間には有意な相関は認められなかった。これは多分A(H3)亜型株優勢のシーズン中のILI発生率が、他の亜型株が優勢なシーズン中の発生率よりも通常はより高く、そのためデータの分散が増すためと考えられる。他方、非A(H3)亜型株優勢シーズンは2期のみであったため、相関係数は計算されなかった。
シーズンの発生率は、一部でウイルス学的確定診断が行われない臨床診断例を使って算出された週毎のILI発生率を全て加算して得られた。こうした事実は相関係数の過小評価につながる可能性があるが、著者らは、得られた係数が非常に高値でありいかなる過小評価も無関係となるから、そういう可能性は低いと考えている。この制限は、検査による診断確定患者で発生率を考慮することで解決できと思われる。(しかし)検査による診断確定患者が少数なこと(絶対数も含め)が原因となる発生率推計値の不安定性を考えて、そうした計算は実施されていない。
本研究は、複数の制限(データが個人ベースでないなど)を持つ生態学的研究であるが、その結果から、少なくともA(H3)亜型株優勢のシーズンにおいて、ILI発生率へのワクチン接種率の影響が示唆された。それゆえ、著者らは 上記の結果を報告し、ヨーロッパ全域でのコミュニティレベルでのインフルエンザ負荷を減じる上での、インフルエンザワクチン接種の影響についての議論に加えることは有用であると考えた。


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