2010年10月26日更新 パキスタンでクリミアコンゴ出血熱が発生しています。

クリミア・コンゴ出血熱は、南アジア、中央アジア、中近東、アフリカの広い地域でみられます。この病気は、ウイルスを持ったマダニに咬まれることで人に感染することがあります。また、人から人へ感染することも知られています。

2~9日間の潜伏期間の後、突然の高熱、頭痛、悪寒、筋肉痛、関節痛、腹痛、嘔吐がみられ、重症化すると全身の出血(鼻出血、気道出血、口腔出血、消化管出血、皮下出血など)をきたすことがあり、死亡率は30%にのぼります。

10月15日、パキスタン保健省は、3人の死亡を含む26人のクリミア・コンゴ出血熱の発生をWHOに報告しました。

クリミア・コンゴ出血熱は、パキスタンでは地域内感染があり、患者の季節的増加がみられますが、近年、患者の発生、感染地域が増加拡大しています。2010年7月末に発生した大規模洪水も患者の発生や感染地域の拡大に影響しているようです。

101026_2.gif

発生地域

パンジャブ州ラーワルピンディ(Rawalpindi, Punjab Province)、イスラーマーバード首都圏イスラマバード(Islamabad, Capital Province)、カイバル・パクトゥンクワ州アボッタバード(Abbotabad, Khyber Pakhtunkhwa Province)、バローチスターン州クエッタ(Quetta, Baluchistan Province

ダニに咬まれないように注意しましょう

・袖口が狭くて、色の薄い長袖の服を着てください。ダニが付着することや咬まれることを予防できるだけではなく、くっついているダニを見つけやすくなります。
・露出した皮膚と服にDEET(ディート)などの虫よけ剤を使ってください。ダニの付着しやすい場所は、頭皮、腰部、わきの下、腹部と足指などの部位です。
・ダニを発見したら、ダニの体内や傷ついた皮膚からでる液体に病原体がいる可能性があるので直接手でダニを取ったりつぶしたりしないようにしてください。皮膚科などでマダニの頭部が残らないように除去してもらいましょう。
・ダニは家畜やペットの体に寄生します。動物の体にダニがいることを発見したら、ダニに咬まれないように、その動物との接触を避けるようにしてください。
・ダニに咬まれたことのある方、野外活動をしたことのある方で同じような症状を発見したら、直ちに医療機関を受診してください。現地で医療機関へ行く場合には、なるべく他の患者や入院病棟、血液の付着している可能性のある廃棄物などには近づかないようにしてください。

この地域へ行かれる方は十分注意してください

海外で症状があったり、感染が疑われるような場合には、ただちに医療機関にご相談ください。また、ご帰国の際に熱や心配な症状がある方は検疫所の担当者にお申し出ください。

日本語仮訳文を見る

感染症別情報

クリミア・コンゴ出血熱