2012年03月16日更新 ウクライナで麻しん(はしか)の流行が続いています。

麻しんは恐ろしい病気です。

麻しんは非常に感染力の高い感染症です。特に小児においては、先進国でさえ、一定の割合で死亡者のでる恐ろしい疾患です。成人がかかった場合も、症状は非常に重くなる傾向があります。
麻しんにかかると、症状のない期間を経たのちに、38度程度の発熱が2~4日続き、咳、鼻かぜ様の症状、目やにや結膜の充血が次第に強くなります。その後、一旦熱が下がりかけますが、再び39度以上の高熱となり、特徴的な赤い発疹が頭部から体の下へと出現します。
合併症として恐ろしいのは、ウイルスによる肺炎と脳炎で、死に至ることもまれではありません。

2012年3月14日に公表されたECDCからの情報によりますと、ウクライナ国内の西部を中心に麻しんの流行が継続しています。ヨーロッパでは2月から6月にはしかの流行がピークになると予想されており、ウクライナとポーランドでは6月~7月にUEFA欧州選手権(EURO 2012)の開催も予定されていることから、旅行者の感染リスクがさらに増加する懸念があります。

ウクライナでは2001年から2006年には95%を超えるワクチン接種率があったにもかかわらず、2006年に麻しんの大流行があり44,534例の症例が報告されました。

ウクライナ保健省の報告では、2012年の初めから3月3日までに5,127例の麻しん症例の報告がありました。現在、流行は主に国内西部のハンガリー、ポーランド、スロバキアと国境を接する地域で起こっており、最も多いのはリヴィウ(Lviv(Lvo))地区(2012年1,416症例)で、遺伝子型はD4で、ヨーロッパのほとんどの国々で循環している型の一つです。
  また、同国では2010年から定期予防接種のワクチン不足が続いているとみられ、同時に国民の間で反ワクチン接種活動が活発で、ワクチンに対する懐疑論がワクチン接種率の低下を招いています1)

他のヨーロッパ各国の流行状況2)、3)

ヨーロッパでは2012年3月9日までに29カ国中14カ国から麻しんの報告がありました。最も報告数の多い国はルーマニア、フランス、スペイン、イタリア、イギリスです2)
イギリスでは48例(ほとんどが小児)の確定診断されています。(さらに37例の疑い例と108例の可能性例があります)。ノースウェールズでも中学校で36例の報告がありました。

スペインでは2012年2月6日までに107例が国内すべてから報告され、最初の2ヶ月で315例に上昇しています。

ルーマニアでは2012年最初の2ヶ月で110例(57例は確定診断)が報告されています。

ロシアではサンクトペテルブルクやモスクワの主要都市、ボルゴグラード、チェチェンと北オセチアなど47地域で継続的な麻しんの流行があります。2012年2月中旬までに約1,000例が報告されています。対策には18歳~35歳までの人々へ麻しんの無料ワクチンも含まれています。

ベラルーシでは8人を含む集団発生が、ポーランドとウクライナと国境を接するブレスト地区で報告されています。予防接種キャンペーンが2月と3月に実施される予定です。

海外旅行では、あらゆる地域で麻しんの患者に接する可能性があります。十分な予防接種を受けておらず、麻しんにかかったことがなければ、麻しんの患者に接した場合にうつってしまう可能性がきわめて高くなります。
一旦感染すると、海外旅行中に、また日本に戻ってきてから、他の人へ感染を広げてしまいます。

麻しん予防には、予防接種が大きな効果を発揮します。

・海外旅行前に、麻しんに対する免疫があるかどうか確認してください。
・10代や成人の方で、麻しんに対する免疫状態が分からない場合は、海外旅行前に少なくとも1回麻しん予防接種を受けましょう(WHO推奨事項)。

麻しんおよび麻しん予防接種については、以下のリンクもご参照ください。

参考

FORTH:最新ニュース 2012年3月16日 
ウクライナでの麻疹流行と2012年EUへの拡大の可能性について

ECDC:
1)http://www.ecdc.europa.eu/en/publications/Publications/20120314_RA_Measles_Ukraine.pdf
2)http://www.ecdc.europa.eu/en/publications/Publications/120309_SUR_CDTR.pdf
3)http://ecdc.europa.eu/en/publications/Publications/SUR_EMMO_European-monthly-measles-monitoring-February-2012.pdf