2013年07月22日更新 台湾で鳥インフルエンザA(H6N1)に感染した患者が発生しました

台北疾病管理センターは、20歳の女性がインフルエンザA(H6N1)ウイルスに感染したと報告しました。患者は5月5日に、発熱、咳、頭痛、筋肉痛がみられ、5月8日に軽症の肺炎で入院しました。患者はオセルタミビルの投与を受け、回復し、5月11日に退院しました。

インフルエンザA(H6N1)ウイルスは、5月7日に採取された呼吸器検体から検出されました。5月24日と6月8日に採取された血清のインフルエンザA(H6N1)ウイルスに対する抗体価は、それぞれ1:20と1:40でした。患者は家きんや鳥との接触はなく、台湾外への渡航歴はありませんでした。患者の居住地の周囲1km以内にある2か所の農場の家きんの検体が検査されましたが、インフルエンザA(H6N1)ウイルスは陰性でした。

鳥インフルエンザA(H6N1)ウイルスは低病原性鳥インフルエンザウイルスで、この地域のみならず、世界中の家きんで流行しています。これまでに、人でインフルエンザA(H6)に対する抗体を持っていた人の報告はありましたが、インフルエンザA(H6N1)ウイルスに感染して発症した患者は初めての報告です。台北疾病予防管理センターは、この患者から検出されたウイルスの遺伝子配列は、台湾の家きんで流行している鳥インフルエンザA(H6N1)ウイルスの遺伝子配列に非常に類似していたと報告しました。また、遺伝子解析の結果、このウイルスはオセルタミビルとザナミビルを含む抗インフルエンザ薬に感受性がある(薬が効く)と報告されています。

現在の疫学情報によれば、この患者は、散発的に発生した鳥インフルエンザA(H6N1)ウイルスの感染者と考えられます。保健当局と農業当局は、特にインフルエンザA(H7N9)ウイルスに関連した事例に対応するため、人と家きんにおけるインフルエンザのサーベイランスを強化し続けています。他の鳥インフルエンザウイルスも人に感染し、家きんで鳥インフルエンザA(H6N1)ウイルスが広く常在しているため、今後も散発的な患者が発生することが予想されます。

現地に滞在する方は、鳥がたくさんいる場所で鳥に直接触ったり、病気の鳥や死んだ鳥に近寄ったりしないようにしましょう。

出典

WHO
Influenza at the human-animal interface
Summary and assessment as of04 July 2013
http://www.who.int/entity/influenza/human_animal_interface/Influenza_Summary_IRA_HA_interface_
03July13.pdf[PDF形式:389KB]