2013年08月15日更新 中米でのコレラの流行状況について (更新4)

コレラは、コレラ菌によって、下痢や嘔吐が生じる病気です。軽くすむことも多いですが、重い下痢が起こることがあり、大量の水分が失われ、脱水から死亡することもあります。

8月14日付で公表された汎米保健機関(PAHO)の情報によりますと、ハイチとドミニカ共和国、キューバでコレラが流行しています。

ハイチの状況

ハイチでは2010年10月にコレラの流行が始まってから、今年第32週までに報告されたコレラの患者は合計669,645人に達しており、そのうち371,099人が入院し、8,224人が死亡しました。昨年11月以降、全国の致死率は1.2%ですが、地域によって異なり、南東県(Sud Est)では4.5%であり、ポルトープランス(Port-au-Prince)では0.6%です。

昨年10月以降、全国の患者数と死亡者数は減少傾向にあります。しかし、今年第1週から第13週では、全国の患者数と死亡者数は昨年の同時期に比べて高い水準でした。この増加は、アルティボニット県(Artibonite)、中央県(Centre)、北県(Nord)の集団発生に関連しています。死亡率は、今年の第1週から第5週に最も高い水準でした。今年第12週から第32週に報告された患者数と死亡者数は昨年の同時期に比べて減少しました。

ドミニカ共和国の状況

ドミニカ共和国でも、2010年11月にコレラの流行が始まってから、今年第30週までに、30,671人の疑い患者が報告され、このうち454人が死亡しました。流行の始まった年の流行状況は雨期に増加し、年末までの致死率は1.7%で、発病率は0.2%でした。2012年は、特定で発生した集団感染に関連したピークがありましたが、減少傾向が続きました。2012年末までの致死率は0.8%で、累積発病率は0.3%でした。

今年第1週から第9週までに、全国で報告されたコレラの疑い患者数と死亡者数は昨年の同時期に比べて高い水準でした。この増加は、特定の県とアルタグラシアの刑務所で発生した集団発生に関連しています。今年第10週から第30週までのコレラの疑い患者数は73%減少しました。今年第1週から第30週の致死率は2.6%でした。

キューバの状況

キューバでは、保健当局が急性下痢症の積極的かつ厳密な臨床的・疫学的サーベイランスを継続しており、疑われる患者ごとに調査が行われています。

今年の初め、キューバの国際保健規則の担当は、ハバナ(Havana)で食品に関連したコレラの集団発生が起こり、1月14日までに51人の確定患者が発生したと報告しました。その前には、ハリケーン「サンディ」が通過した後に、カマグエイ(Camaguey)、グアンタナモ(Guantanamo)、サンティアゴ・デ・クーバ(Santiago de Cuba)で合計47人の患者が報告されました。患者から検出された菌は、すべてコレラ菌(Viblio cholerae)O1、バイオタイプEl Tor 、血清型Ogawaでした。

今年7月下旬から8月上旬までに、キューバへの渡航に関連し、5人の患者が報告されました。イタリアでは、6月23日から7月13日にハバナに渡航した47歳の男性がコレラと確定されました。また、ベネズエラでもハバナに渡航歴のある51歳の男性と55歳の女性がコレラと確定されました。さらに、チリでもキューバからの帰国者1人がコレラと確定され、その患者と疫学的に関連のある患者1人が報告されました。

中米へ渡航、滞在される方は、今後の情報に注意していただくとともに、以下の対策を行ってください。

  • 飲料水や歯みがき、うがいの水にはミネラルウォーターを使うか、十分に沸騰させた水を使うこと。氷は生水から作られている可能性があるので食べないこと。
  • 食事は加熱されたものを、冷めないうちに食べること。
  • 食事の前、トイレの後には石けんと水で十分に手洗いすること。
  • 下痢になった場合、以下の作り方で作った水を十分にとり、できるだけ早く医療機関で診療を受けること。図.吸収のよい水の作り方

FORTH 感染症情報

出典

PAHO:Epidemiological UpdateCholera 14 August 2013
http://www.paho.org/hq/index.php?option=com_content&view=article&id=8945%3A14-august-2013
-cholera-situation-update&catid=2103%3A-hsd0104d-most-recent-ea&lang=en