2013年10月11日更新 パキスタンでクリミア・コンゴ出血熱の患者が発生しています (更新1)

クリミア・コンゴ出血熱は、南アジア、中央アジア、中近東、アフリカの広い地域でみられます。この病気は、ウイルスを持ったマダニに刺されることで人に感染することがあります。また、血液などの体液を介して人から人へ感染することも知られています。

感染してから1日から13日後に、突然の高熱、頭痛、寒気、筋肉痛、関節痛、腹痛、嘔吐がみられ、重症化すると全身の出血をきたすことがあり、致死率は最大で10%から40%です。

10月6日付けで、世界保健機関(WHO)東地中海地域事務所(EMRO)から公表された情報によりますと、パキスタンでは、今年1月から9月29日までにクリミア・コンゴ出血熱が疑われる患者が77人報告されており、このうち15人が死亡しました(致死率は19.4%です)。これまでに、報告された77人のうち48人がクリミア・コンゴ出血熱の患者と確定診断されました。検査はパキスタンのイスラマバードにある国立衛生研究所(National Institute of Health)で実施されました。

今年、イスラマバード首都圏を含むパキスタンの全州でクリミア・コンゴ出血熱の患者が報告されています。WHOの疾患サーベイランスの担当官と地域の保健当局が患者発生地域で行った調査によりますと、患者の大部分は動物や動物の皮との接触歴がありました。患者の家族が感染した事例もありました。これまでに、医療に関連したと考えられる病院内での感染は報告されていません。

<パキスタンにおけるクリミア・コンゴ出血熱患者の発生状況 (2012年~2013年) >

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WHOは、州の保健当局と連携し、実地調査の実施、サーベイランスや患者管理の強化、感染リスクのある集団に対する普及啓発活動の向上に取り組んでいます。制御方法の実施監督するために、保健部門以外の部門を含む調整機能が確立されました。

海外では家畜を含む動物に近づかないようにしましょう。また、動物の血液にも触らないようにしましょう。

マダニに咬まれないように注意しましょう

  • 袖口が狭くて、色の薄い長袖の服を着てください。マダニが付くことや咬まれることを予防できるだけではなく、付いたマダニを見つけやすくなります。
  • 露出した皮膚と服にDEET(ディート)などの虫よけ剤を使ってください。マダニの付着しやすい場所は、頭皮、腰部、わきの下、腹部と足指などの部位です。
  • マダニに咬まれていることを発見したら、マダニの体内や傷ついた皮膚からでる液体に病原体がいる可能性があるので、手で直接マダニを取ったり、つぶしたりしないでください。皮膚科などでマダニの頭部が残らないように除去してもらいましょう。
  • マダニは家畜やペットの体に寄生します。動物の体にマダニがいることを発見したら、マダニに咬まれないように、その動物との接触を避けるようにしてください。
  • マダニに咬まれたことのある方、野外活動をしたことのある方で、症状が出た場合には、直ちに医療機関を受診してください。
  • 現地で医療機関へ行く場合には、なるべく他の患者や入院病棟、血液がついている可能性のある廃棄物などには近づかないようにしてください。

海外滞在中や帰国後に、感染が疑われるような気がかりな症状がみられた場合、すぐに医療機関を受診し、渡航した地域と環境について医師に伝えてください。また、ご帰国の際に熱や心配な症状がある方は検疫所の担当者にご相談ください。

FORTH 感染症別情報 :クリミア・コンゴ出血熱

出典

WHO EMRO Crimean-Congo haemorrhagic fever in Pakistan: update
http://www.emro.who.int/surveillance-forecasting-response/surveillance-news/
crimean-congo-haemorrhagic-fever-in-pakistan-update.html

参考

FORTH 医療関係者向け情報最新ニュース
クリミア・コンゴ出血熱について (ファクトシート)
https://www.forth.go.jp/moreinfo/topics/2013/01251502.html