2013年10月21日更新 中米でのコレラの流行状況について (更新7)

コレラは、コレラ菌によって、下痢や嘔吐が生じる病気です。症状が軽いことも多いですが、重い下痢が起こることがあり、大量の水分が失われ、脱水から死亡することもあります。

10 月19日付で公表された汎米保健機関(PAHO)の情報によりますと、キューバ、ドミニカ共和国、ハイチ、メキシコにおけるコレラの発生状況は下記の通りです。

キューバの状況
キューバでは、今年8月23日以降、新たな患者発生の報告はありません。2012年第27週から今年第34週までに合計678人の患者が発生し、このうち3人が死亡しました。患者のうち12人は、他の国からキューバに渡航した患者です。患者が発生した地域は、カマグエイ(Camaguey)、グランマ(Granma)、グアンタナモ(Guantanamo)、ハバナ(Havana)、サンティアゴ・デ・クーバ(Santiago de Cuba)とこれらの州に関連する町です。

ドミニカ共和国の状況
ドミニカ共和国では、コレラの流行が始まり(2010年11月)から、今年第40週までに、31,070人の疑い患者が報告され、このうち458人が死亡しました。今年第1週から第9週までの期間と第32週から第40週までの期間に、患者数が増加しました。過去4週間における疑い患者の64%は、プエルト・プラタ(Puerto Plata)、サン・フアン(San Juan)、サンティアゴ(Santiago)、サント・ ドミンゴ(Santo Domingo)で発生しました。今年の致死率は2.1%で、2011年の致死率(1.7%)と2012年の致死率(0.8%)に比べ、高くなっています。保健当局は調査を行い、対応策を実施しています。

ハイチの状況
ハイチでは、コレラの流行が始まり(2010年10月)から、今年10月10日までに報告されたコレラの患者は合計682,573人に達しており、そのうち379,870人(55.6%)が入院し、8,330人が死亡しました。2011年11月以降、全国の致死率は1.2%ですが、地域によって異なり、南東(Sud Est)県では4.3%であり、ポルトープランス(Port-au-Prince)では0.6%です。

10月12日付の更新情報以降、新たに2,936人の患者が発生し、83人が死亡しました。新たな患者はハイチの全10県から報告されました。

メキシコの状況
メキシコの国際保健規則の担当は、今年9月9日から10月18日までに、国内でコレラ菌(Viblio cholerae)O1、血清型Ogawaに感染した確定患者が171人発生したと報告しました。このうち1人が死亡しました。10月12日の更新情報以降、イダルゴ(Hidalgo)州で新たに12人の患者が発生しました。

メキシコでは、今年9月第2週にハリケーンと熱帯低気圧の影響を同時に受け、大雨、洪水、地滑り、住民の国内移動が起こり、この結果、下痢性疾患のリスクが高まりました。

171人の確定患者のうち、2人(1.2%)は連邦区、157人(91.8%)はイダルゴ州、9人(5.3%)はメヒコ(Mexico)州、1人(0.6%)はサン・ルイス・ポトシ(San Luis Potosi)州、2人(1.2%)はベラクルス(Veracruz)で発生しました。

患者のうち86人(50.2%)が女性で、85人(49.8%)は男性でした。患者の年齢は3か月から88歳でした。また、患者のうち39人(23%)が入院しました。

イダルゴ州では、調査の結果、河川の水が感染源とされています。

メキシコの保健当局は、国レベルで疫学的な活動の強化、データの有効利用と医療の質の確保、地域レベルでの飲用水の確保と基本的な衛生対策の実施、塩素濃度の監視を継続しています。

様々なレベルの医療システムで保健の専門家がコレラの予防・治療・制御に関するトレーニングを受けています。下痢性疾患の予防についての国営ラジオ放送での注意喚起を含む、水と食品の安全に関する市民への啓発活動は、スペイン語のほか、ナワトル語やオトミ語でも行われています。メヒコ州の当局は市民へ注意喚起をするため、ちらしを配付しています。

メキシコにおけるコレラの地域内感染は、1991年から2001年の間に発生したコレラの流行以来、初めてのことです。メキシコの患者から分離された系統の遺伝子学的な特徴は、カリブ海の3か国(ハイチ、ドミニカ共和国、キューバ)で流行している系統と95%を超える高い相同性がみられ、10年以上前にメキシコで流行した系統とは異なっています。

PAHOと世界保健機関(WHO)は、メキシコのこの事例に関して渡航や貿易を制限することを推奨していません。

中米へ渡航、滞在される方は、今後の情報に注意していただくとともに、以下の対策を行ってください。

  • 飲料水や歯みがき、うがいの水にはミネラルウォーターを使うか、十分に沸騰させた水を使うこと。氷は生水から作られている可能性があるので食べないこと。
  • 食事は加熱されたものを、冷めないうちに食べること。
  • 食事の前、トイレの後には石けんと水で十分に手洗いすること。
  • 下痢になった場合、以下の作り方で作った水を十分にとり、できるだけ早く医療機関で診療を受けること。

図.吸収のよい水の作り方

感染症情報食べ物・水にご注意を!コレラ

出典

PAHOEpidemiological UpdateCholera 19 October 2013
http://www.paho.org/hq/index.php?option=com_docman&task=doc_view&gid=23406&Itemid=

WHOGlobal Alert and Response(GAR) :Cholera in Mexico- 19 October 2013
http://www.who.int/csr/don/don_updates/en/index.html

参考

FORTH 新着情報
中米でのコレラの流行状況について (更新6) (2013年10月15日)
https://www.forth.go.jp/topics/2013/10150949.html