2014年07月08日更新 太平洋地域での症状・疾患サーベイランス報告について (更新3)
公表されたWHO西太平洋地域事務局(WPRO)のサーベイランス情報によりますと6月29日第26週までに太平洋地域で以下のような症状の発生が報告されています。
●下痢:フィジー、マーシャル諸島、パラオ、ツバル、パプアニューギニア(PNG)
●長引く発熱:トンガ
●急性発熱と発疹:ミクロネシア連邦(FSM)
<その他の更新>
- 麻しん
・太平洋地域では、パプアニューギニア、ミクロネシア連邦のコスラエ州、ポンペイ州で麻しんが流行しています。コスラエ州、ポンペイ州の更新はそれぞれの疫学者から報告される予定です。
・フィリピン、オーストラリア、ヨーロッパ、イギリス、アフリカ、アジア、インド、北米を含む世界中の国々で麻しんが流行しています。2013年12月からニュージーランドでも患者が報告されています。
・2013年12月から2014年7月2日までに、ニュージーランドでは234人の患者が報告されました。113人がオークランド、96人がワイカト、15人がベイオブプレンティ、5人がホークスベイ、4人がウェリントン、1人がタラナキから報告されました。(出典:NZ MoH web site:http://www.health.govt.nz/our-work/diseases-and-conditions/2014-measles-outbreaks)
- 下痢
・ソロモン諸島:多地域で発生した下痢流行の患者数は減少してきています。患者数は正確ではありませんが5,000人以上が通常サーベイランス又は流行報告で報告されました。正確には数万人に達する模様です。わずかな症例の検体について迅速検査がされましたが流行の原因はロタウイルスによるものと示唆されました。遡及的調査では、(洪水の後)4月初めから24人が死亡したことが判明しました。
- 腸チフス
フィジーの首都スバから遠く離れた開拓地で腸チフスの流行発生が報告されました。
http://www.fijisun.com.fj/2014/06/28/typhoid-hits-wailoku/
- デング熱
・現在ニューカレドニア、フランス領ポリネシア、ツバル、フィジーを含む太平洋州でデング熱の発生がいくつか報告されています。
・ソロモン諸島でのデング熱3型流行は続いています。2014年1月から2014年6月27日までに、総計で1,872人のデング熱疑い患者が報告されました。このうち迅速検査で306人が陽性でした(NS1またはIgM ELISA)。症例数は減少を続けています。
・ナウルでは2014年6月30日までに241人の疑い患者が発生しました。IgMのELISA法またはNS1/IgM迅速試験が実施され86人が陽性でした。疫学第26週に新たに1人の疑い患者と迅速試験陽性患者が報告されました。症例数は減少し続けています。検体は血清型を確定するためにフランス領ポリネシアのLouis Malarde研究所に送付されました。
- ジカウイルス
・ニューカレドニアでは2013年12月からジカウイルスの発生が続いています。患者数は減少を続けています。詳細については以下を参照してください。
http://www.dass.gouv.nc/portal/page/portal/dass/observatoire_sante/veille_sanitaire/Zika
- チクングニア熱
太平洋州でのチクングニア熱は2011年にニューカレドニアで初めて確認されました。PNGでの流行は2012年、FSMのヤップ州では2013年、トンガでは2014年3月に始まりました。詳細については以下を参照してください。
http://www.paho.org/hq/index.php?option=com_content&view=article&id=9722&Itemid=41027&lang=en
関連地域へ渡航、滞在される方は、今後の情報に注意していただくとともに、蚊に刺されないよう対策をとってください。
蚊に刺されないための対策
●可能な限り、しっかりと網戸がとりつけられているか、エアコンが備わっている、または、蚊をしっかりと駆除しているホテルやリゾートに滞在してください。蚊取り線香も有効です。
●長袖のシャツ、ズボンを着て、できるだけ皮膚の露出部を少なくするようにしてください。
●流行地域では屋外にでかける場合や網戸が備わっていない建物にいる場合には、ディート(DEET)などの有効成分が含まれている虫よけ剤を、皮膚の露出部につけてください。使用する場合には、必ず添付文書に記載されている使用法を守ってください。日焼け止めを使う場合は、先に日焼け止めをつけてから、虫よけ剤を使用してください。
●子ども、とくに乳児への虫よけ剤の使用については、小児科医にご相談ください。虫よけ剤が使用できない場合、ベビーカーにぴったりと合う蚊帳でベビーカーをおおってください。
心配な場合には早めの受診を
●海外で発熱などの症状が出たら、できる限り早く医療機関を受診してください。
●また、ご帰国の際に、発熱や心配な症状のある方は検疫所の担当者にご相談ください。帰国後に発症した場合や、症状が改善しない場合は、お近くの医療機関または検疫所にご相談ください。
●医療機関を受診する時には、医師に、渡航先や渡航期間、渡航先での活動などについて、詳しく伝えてください。
出典
WPRO
Pacific sydromic surveillance report, Week24, ending 15 June,2014
http://www.wpro.who.int/southpacific/programmes/communicable_diseases/disease_surveillance_response/PSS-15-June-2014/en/#