2015年07月31日更新 ヒトと動物に共通するインフルエンザ感染症の概況 (更新6)

 2015年7月17日付けで、世界保健機関(WHO)からヒトと動物に共通するインフルエンザ感染症の概況が公表されています。

鳥インフルエンザA(H5)ウイルスのヒトへの感染

 2003年から2015年7月17日までに、16か国から鳥インフルエンザA(H5N1)ウイルス感染者844人が検査で確認されたことが公表されました。このうち、449人が死亡しています。

 2015年6月23日の更新以降に、新たに死の転帰をとった鳥インフルエンザA(H5N1)ウイルス感染者2人が検査で確認されたことが、エジプトからWHOに報告されました。1人はSohag(ソハーグ)行政区域からの報告で、6月14日に発症し16日に入院しましたが、2015年6月22日に死亡しました。この症例への考えられる暴露としては、家禽への直接接触によるものか、あるいは周囲の汚染された環境からの間接的な暴露を受けていたかどちらかによるものと考えられました。もう1人は、Aswan(アスワン)行政区域の5歳半の男児で、6月16日に発症し24日に入院しましたが、2015年6月27日に死亡しました。この症例は、家禽への直接接触の既往がありました。二人とも入院の翌日にオセルタミビルを投与されていました。

 これに加えて中国から、検査で確定したインフルエンザA(H5N6)のヒト感染症例が1例WHOに報告されました。この症例は37歳の雲南省在住の女性で、7月6日に発症し7月9日に入院しましたが、7月10日に死亡しました。この症例について、濃厚接触者の中でこのウイルスによるヒト-ヒト感染が起こった証拠はありませんでした。

 OIEからの報告によれば、インフルエンザA(H5N1)、A(H5N2)、A(H5N3)、A(H5N6)、A(H5N8)といったさまざまなサブタイプのインフルエンザA(H5)が、西アフリカ、アジア、ヨーロッパ、北米の鳥から検出されています。これらのインフルエンザA(H5)ウイルスは、ヒトに感染を引き起こす潜在力をもっていますが、これまでのところ、インフルエンザA(H5N1)ウイルスのヒトへの感染と2014年以降に中国で発生した4人の患者へのインフルエンザA(H5N6)ウイルスの感染を除いては、ヒトへの感染は報告されていません。

鳥インフルエンザA(H5)ウイルスに対する全体的な公衆衛生上のリスク評価
 鳥インフルエンザウイルスが家禽の間で流行しているときには、散発的にヒトへの感染または小規模の集団感染が、感染した家禽やウイルスに汚染された環境下、特に家庭で家禽と接触する際に、発生することがあります。そのため、さらなる患者が散発的に発生しても予想外でありません。

 最近、動物の間で鳥インフルエンザA(H5)が発生したことのない地域で、既存のインフルエンザA(H5)ウイルスや新たなA(H5)ウイルスにより家禽の間に鳥インフルエンザの集団発生が急速かつ大規模に拡がりをみせていることにともない、動物部門およびヒトにおける公衆衛生部門でも警戒体制を強化する必要があります。公衆衛生では、潜在的な危険に対して地域社会で警戒を強化することが人々の感染を阻止する重要な要素です。もし人に感染が起こっても発見できるように、ウイルスの伝播性や感染性が変化しても直ぐに検出できるように、サーベイランスは強化される必要があります。

非季節性のインフルエンザウイルスによるヒトへの感染

中国での鳥インフルエンザA(H7N9)ウイルスのヒトへの感染
 WHOへの報告によれば、鳥インフルエンザA(H7N9)ウイルスへの感染が、少なくとも死亡者275人を含む患者677人で検査確認されています。最近報告されている患者の大半は、生きた家禽が売られている市場などの感染した生きた家禽やウイルスに汚染された環境との接触機会と関係しています。インフルエンザA(H7N9)ウイルスは、患者が発生している地域での家禽とそれらが飼われている環境からは継続的に検出されています。過去にヒトから分離されたウイルスと比較して、最近の患者から分離されたウイルスに大きな遺伝子変異は認められていません。これまでの情報は、人と人との間で簡単に伝播するものでないことを示唆しています。

鳥インフルエンザA(H7N9)ウイルスに対する全体的な公衆衛生上のリスク評価
 全体として、鳥インフルエンザA(H7N9)ウイルスに対する公衆衛生上のリスクは2015年2月23日の評価から変わってはいません。

出典

WHO. Influenza at the human-animal interface, Monthly Risk Assessment Summary.
Summary and assessment as of 17 July 2015
http://www.who.int/influenza/human_animal_interface/Influenza_Summary_IRA_HA_interface_17_July_2015.pdf?ua=1