2015年12月22日更新 ミャンマーでワクチン由来のポリオが発生しています

 2015年12月21日付で公表されたWHOの情報によりますと、ミャンマーからワクチン由来のポリオウイルス2型(VDPV2)患者2人が報告されました。

症例の詳細情報
 ミャンマーで伝播したVDPV 2型の検査確認は、2015年11月7日に受け取られました。伝播しているVDPV 2は、10月5日に急性弛緩性麻痺を発症した16か月の小児から分離されました。この小児は、これまでにポリオワクチンの接種歴がありませんでした。この遺伝子配列は、今年初めの4月16日に発症した患者(28か月の小児)から分離されたVDPV 2型の遺伝子と同じ配列でした。この2人の患者は、同じRakhine (ラカイン)州の居住地区から発生しています。4月と10月に発見された分離株の遺伝子変異は、このVDPV 2が1年以上伝播していた可能性を示唆しています。

 詳しい調査がこの地域一帯で行われ、急性弛緩性麻痺を発症した患者の家族と近隣の接触者28人から糞便が採取され、調査のために検査施設に送られました。この調査の実施中に、さらに3人の急性弛緩性麻痺患者が発見されました。現在、調査が行われています。

 この国のワクチン接種率は76%と推定されています(WHO/UNICEFの推定、2014)。特別なリスク集団の間では、さらにワクチンの接種率が低くなっています。ミャンマーでは国の調査活動での指標の割合は良好でした(2015年、非ポリオ性急性弛緩性麻痺の割合:1.8;糞便採取率の十分性93%)。しかし、地方との間には依然として開きがあります。

公衆衛生上の取り組み
 ミャンマーの保健省は、WHOと世界ポリオ根絶イニシアティブ(the Global Polio Eradication Initiative)の支援を得て、緊急の感染対策の計画実施に取り掛かっています。12月5日から7日にかけて、最初の対策となる補完的な予防接種活動(SIA)が、三価のOPVワクチンを使って、15行政区域において5歳未満の36万人を対象に行われました。保健省は、今から2016年2月までの間に、ラカイン州と全国でハイリスクとみなされている他の近隣の州において、少なくとも3回のSIAを行うことを計画しています。SIAの正確な日程と規模はこれから確定されます。4月に最初の分離株が確認された後、地域では予防接種が実施されていました。

 世界中から2016年4月に経口ポリオワクチン(OPV)の2型を同時に撤退させること(3価OPVから2価OPVへの切り替え)を考えて、その時までには如何なるVDPV2の伝播も阻止されることが確実となっているように、努力が進められています。ミャンマー政府は、保健省から推奨された国の切り替え計画を作成しました。計画では、4月29日に3価OPVからス2価OPVへ移行させることになっています。12月3日には、不活化ポリオワクチン(IPV)が全国で開始されました。

 この分離株の伝播の規模を明確に確認するために、さらなる急性弛緩性麻痺への積極的な調査やポリオウイルスの調査活動を強化するためのその他の活動が強化されています。

 調査と予防接種活動は、近隣諸国でも強化されています。

WHOからのアドバイス
 すべての国、特に、頻繁にポリオ発生の影響を受けた国や地域を旅行したり接触を持ったりする人のいる国では、新たないかなるウイルスの感染輸入をも速やかに検出し、迅速に対策しやすくするために、急性弛緩性麻痺(AFP)患者のサーベイランスを強化することが重要です。加えて、国、領土および地域はいかなるウイルスの新たな侵入の影響も最小限にとどめるために、地域レベルで一様に定期予防接種の高い接種率を維持することが必要です。

 WHO海外旅行および健康情報では、ポリオ発生の影響を受けた地域に旅行するすべての者に対して十分にポリオの予防接種を受けることを勧めています。感染地域からの住民および4週間以上の滞在者は、その出発に先立つこと4週から12か月の間に、経口ポリオワクチンまたは不活化ポリオワクチンの追加接種を受けることが必要です。

 2015年11月に国際保健規則(2005)の下で招集された緊急委員会の進言基づき、WHO事務局長が、(以前は、野生ポリオウイルスによる感染の影響に限られていた)国際的な懸念(PHEIC)の公衆衛生緊急事態下での勧告を、ワクチン由来のポリオウイルスの伝播によって影響を受けた国からのポリオウイルスの国際的な拡大阻止へも拡張しました。PHEICに基づき発行された一時的な勧告事項に遵守するために、ワクチン由来のポリオウイルスの伝播によって影響を受けたすべての国は、国の公衆衛生上の緊急事態として感染発生を宣言し、すべての国際渡航者へのワクチン接種を検討する必要があります。

感染症情報:ポリオ(急性灰白髄炎)

出典

WHO. Disease outbreak news. 21 December 2015.
Circulating vaccine-derived poliovirus - Myanmar
http://www.who.int/csr/don/21-december-2015-polio-myanmar/en/