2015年12月25日更新 アメリカ大陸でのコレラの流行状況 (更新5)

コレラは、コレラ菌によって、下痢や嘔吐が生じる病気です。症状が軽いこともありますが、重い下痢症状が起こると、大量の水分が失われ、脱水から死亡することがあります。

2015年12月23日付で汎米保健機関(PAHO)より、アメリカ大陸でのコレラに関する情報が発表されました。

アメリカ大陸でのコレラ発生状況

2015年の初めから第48週までに、アメリカ大陸3か国(キューバ、ハイチ、ドミニカ共和国)から30,654人の患者が記録されています。内訳は、キューバで65人、ハイチで30,080人、ドミニカ共和国で509人です。ハイチだけで、アメリカ大陸の総患者数の98%が報告されました。

キューバでは、国の保健行政当局から2015年11月19日までに、コレラ菌O1型(小川型)患者65人が確認されたことが報告されました。これに対して、行政当局は感染の予防と制御の強化に取り組んでいます。

ドミニカ共和国では、2015年第1週から48週までに、死亡者13人を含むコレラ疑似患者509人が報告されました。

ハイチでは、コレラ流行の始まり(2010年10月)から2015年11月12日までに、コレラ患者が死亡者9,068人を含む754,735人となりました。2015年第45週までに登録された患者数は、2014年の総登録患者数を上回っています。登録された患者の増加の多くは2015年の第一3半期によるものです。この発生状況に対し、迅速かつ適宜に対策を講じた結果、2015年10月と11月の患者数は減少してきました。対策は、地域介入活動への即時対策チーム(フランス語の頭文字からEMIRA)の活動再開と全国民に向けた感染への注意喚起に基づいて行われました。

これらの流行地へ渡航、滞在される方は、今後の情報に注意していただくとともに、以下の対策を行ってください。

  • 飲料水や歯みがき、うがいの水にはミネラルウォーターを使うか、十分に沸騰させた水を使うこと。氷は生水から作られている可能性があるので食べないこと。
  • 食事は加熱されたものを、冷めないうちに食べること。
  • 食事の前、トイレの後には石けんと水で十分に手洗いすること。
  • 下痢になった場合、以下の作り方で作った水を十分にとり、できるだけ早く医療機関で診療を受けること。

図.吸収のよい水の作り方

感染症情報

出典

PAHO. Epidemiological Update. Cholera. 23 December 2015
http://www.paho.org/hq/index.php?option=com_docman&task=doc_view&gid=32623+&Itemid=999999&lang=en[PDF形式:195KB]