2016年05月30日更新 ラッサ熱の発生について -ナイジェリア(更新)

 2016年5月27日付けで、WHOはナイジェリアから受けたラッサ熱の情報を公表しました。

詳細な流行の発生状況
 WHOは、ナイジェリアで死亡者149人を含むラッサ熱患者273人の報告を受けました。このうち、患者165人と死亡者89人は検査を通して確認されています(致死率53.9%)。患者は、ナイジェリアの23州から報告されました。

 2015年8月以降、死亡者2人を含む医療従事者10人がラッサ熱に感染しました。これら10人のうち、4人は院内感染でした。

 2016年5月17日現在、8州でラッサ熱患者(感染の疑い、可能性の高い患者および確定患者)と死亡者が報告され、接触者に対して最大の潜伏期間である21日間の監視が行われています。現在、国内で接触者248人が健康の観察下にあります。これまでに感染が発生した15の州では、感染の可能性が最後に確認された日から続く42日の監視期間を完了しました。

公衆衛生における取り組み
 
現在、2か所の国立検査施設でポリメラーゼ連鎖反応法(PCR)検査を実施しています。全ての検体は、エボラ出血熱、デング熱、黄熱についても検査が行われており、これまでは陰性でした。実施している検査施設は以下のとおりです。
・ラゴス大学研修病院・ウイルス学研究室
・Irrua専門病院・ラッサ熱研究および感染制御センター

 WHOは、この他にも鍵となる支援者とともに、調査活動および、接触者の追跡、健康監視、並びに地域動員活動などのラッサ熱の流行への対策を支援しています。ラッサ熱の流行が始まって以来の懸念の一つは、患者の死亡者の割合が高いことで、この点については現在も調査が続けられています。

WHOのリスク評価
 
全体的には、ナイジェリアにおけるラッサ熱の流行は減少傾向を示しています。前年の流行期のピークを考えれば、地域社会と医療従事者の意識、(流行への)備え、一般的な感染対策活動は向上しており、いま以上に大規模な流行の危険性は低いです。それでも、綿密な監視活動、積極的な患者の捜索、接触者の追跡、検査施設の支援、病気への注意喚起(地域住民一般と医療従事者に対する具体的訓練の両面)は継続される必要があります。

WHOからのアドバイス
 毎年、この時期は流行期となり、患者数が増加することを考えれば、ラッサ熱が流行している西アフリカの国々にはラッサ熱に対する監視システムの強化が勧められます。

 ラッサ熱の疑いのある患者、又は確定診断された患者の治療に当たる医療従事者は、衣類や寝具などの、患者の血液や体液で汚染されたりウイルスが付着したりした物資の表面との接触を防ぐために、いつも以上の感染制御策を適用する必要があります。ラッサ熱患者と(1メートル以内に)近づくときには、医療従事者は、顔面の保護(フェイスシールドまたは医療用マスクとゴーグル)、清潔で滅菌までは必要としない長袖のガウン、手袋(さまざまな処置のために滅菌したもの)を着用しなければなりません。

 検査施設の技師にもリスクがあります。ラッサウイルス感染症の研究のために人や動物から採取された検体は、訓練を受けた技師が取り扱い、生物学的に最大レベルの封じ込めが行われている条件の施設の適切に装備された検査室で取り扱われる必要があります。

 ラッサ熱が流行している地域から戻ってきた発熱患者には、ラッサ熱の診断が考えられるべきです。ラッサ熱であることが疑われる患者を見つけた医療従事者は、速やかに地元と​​国の専門家に連絡し、検査施設での検査を手配する必要があります。

 WHOは、現在、入手できる情報に基づく限り、ナイジェリアへの旅行や貿易の制限を推奨してはいません。

 げっ歯類は尿や便中にウイルスを排泄しますので、地域感染症としてラッサ熱のある国への旅行者は、げっ歯類に触ったり、近づいたりしないようにしましょう。

 現地を訪れた方で、発熱や頭痛・咽頭痛などの症状がみられる場合には、速やかに現地の医療機関を受診してください。

FORTH 感染症情報:ラッサ熱
 国立感染症研究所感染症情報センター:ラッサ熱

出典

WHO. Disease outbreak news, Emergencies preparedness, response. 27 May 2016
http://www.who.int/csr/don/27-may-2016-lassa-fever-nigeria/en/