2016年08月01日更新 黄熱の発生状況(更新13)

 2016年7月28日付けで、WHOより黄熱の発生状況が公表されています。ここでは、概要、リスク・アセスメント、感染対策を取り上げます。アンゴラ、コンゴ民主共和国、ウガンダ、その他の国での個別の発生状況も掲載されていますので、詳細は原文でお確かめください。

概要

アンゴラでは、7月21日現在、疑い患者3,748人が報告されました。そのうち、確定患者が879人でした。死亡者数は364人で、そのうち119人が確定患者から報告されました。疑い患者は18ある全ての州から報告されました。確定患者は18州のうち16州で125地域のうちの80地域から報告されました。
集団予防接種キャンペーンは、ルアンダ州から始まり、現在では、感染が発生している他のほとんどの地域に拡げられています。最近は、このキャンペーンの焦点が国境地域に当てられています。全ての地域で、1軒々々訪ねて歩き予防接種活動および定期予防接種することを続けています。
最近、コンゴ民主共和国(DRC)の国立研究所における技術的な問題が解決し、この国での黄熱患者の検査確認が再開されました。滞っていた検体に予備検査を行ったところ、新たに7人で黄熱に対する陽性反応がでました。これらの患者を診断基準により診断確定するための追加調査が続けられています。これらの調査が完了するまでは、この国の公式の患者数に変更はありません。
(2016年7月20日までに)入手できた最新の情報によれば、(6月24日までに)確定診断患者68人と死亡者95人を含めて、報告された疑い患者数は1,907人に上っています。患者は国内26州のうちの5州22衛生行政地域から報告されました。確定患者68人のうち、59人はアンゴラからの感染輸入患者で、2人は(流行とは関係のない)森林型黄熱患者、7人は国内感染患者でした。
コンゴ民主共和国(DRC)では、調査活動への取り組みが強化され、ワクチン接種キャンペーンが感染の発生しているキンシャサとコンゴ中部州を中心に行われています。感染対策としての予防接種キャンペーンが、キンシャサ州Kisenso衛生行政地域、Kwango(クワンゴ)州Kahemba、Kajiji、Kisandji衛生行政地域で7月20日に開始されました。
現在、7か国(ブラジル、チャド、コロンビア、ガーナ、ギニア、ペルー、ウガンダ)では、アンゴラの流行と関係のない黄熱の流行や散発例が報告されています。
2016年5月19日に招集された緊急委員会(EC)からの助言に基づき、事務局長は、アンゴラとコンゴ民主共和国における都市型黄熱の流行が国を挙げて活動を結集し国際支援の強化を確保すべき公衆衛生上の深刻な事態であると判断しました。しかし、この事態は、現時点で国際的に脅威となる公衆衛生上の緊急事態(PHEIC)には該当していません。
WHOの予防接種に関する専門家の戦略的諮問委員会(SAGE)が、標準用量の1/5の使用量でも12か月間以上にわたり感染から保護できることが示されていることのこれまでの科学的根拠について検討を始めました。分割投与として知られるこの投与方法が、キンシャサで流行の先手を取って集団予防接種キャンペーンで実施されています。

図1. 黄熱の確定診断患者の分布図[アンゴラ、コンゴ民主共和国
※アンゴラが7月21日現在、DRCが6月28日現在

リスク・アセスメント

アンゴラでの流行は終息してきました。7月に入り(7月21日までに)この国で新たな確定患者は報告されていません。最も新しく確定患者が報告されたのは6月23日で、Cunene(クネネ)州Cuanhama地区からでした。しかし、全国規模で高度な警戒体制は維持される必要があります。
コンゴ民主共和国(DRC)では、流行が既に3州に拡がっています。媒介するシマカ属の蚊が生息し活動していることを考えると、流行が他州に、特に、カサイ、カサイ中央、ルアラバなどの州に波及する可能性があります。
アンゴラやコンゴ民主共和国でのウイルスは大半が主要都市に集中しています。しかし、両国ではその他の地方への感染伝播と地域内での感染伝播に対するリスクがあります。また、このリスクは、国境を接する国々、特に、黄熱に対するリスクが低いと分類されている国々(ナミビア、ザンビア)においても、そこには黄熱ワクチンを接種していない住民、旅行者や外国人労働者がいるために、拡大の可能性が高くなっています。

感染への対策

・黄熱に関する緊急委員会(EC)が、WHO事務局長によって招集され、国際保健規則(IHR 2005)に則り2016年5月19日に開催されました。緊急委員会(EC)からの助言に基づき、事務局長は、アンゴラとコンゴ民主共和国における都市型黄熱の流行が国を挙げて活動を結集し国際支援の強化を確保すべき公衆衛生上の深刻な事態であると判断しました。しかし、この事態は、現時点では国際的に脅威となる公衆衛生上の緊急事態(PHEIC)には該当していません。
・現在の黄熱の流行に関する情報がWHOのウェブサイトで更新され続けています(http://www.who.int/features/qa/yellow-fever/en/)。
・WHOの予防接種に関する専門家の戦略的諮問委員会(Strategic Advisory Group of Experts: SAGE)は、標準用量の1/5の使用量でも12か月間以上にわたり感染から保護できることのこれまでの科学的根拠について検討を始めました。キンシャサで流行の先手を取って行われる集団予防接種キャンペーンで実施されることになっています。
・WHOはICG(黄熱ワクチン 供給国際調整グループ)の世界備蓄を通して、アンゴラ、コンゴ民主共和国、ウガンダに1,900万回分以上のワクチンを送付しました。これは、通常、流行に対して使用される1年間に必要な3倍の量であり、前例がありません。過去には、世界備蓄は黄熱の流行を制御するために、400万回分以上の量を使用したことはありません。
・2016年7月27日の時点で、ワクチンがアンゴラでは1,800万人に、コンゴ民主共和国では580万人に、ウガンダでは約100万人に接種されました。
・ICG(黄熱ワクチン供給 国際調整グループ)を通じて緊急に対応できるワクチンの数は1,140万本となっています。すでに流行への対策に割り当てられたワクチンの本数は含まれていません。
・WHOは、流行の先手を取って、アンゴラとDRCの国境地域でのワクチン接種キャンペーン、並びにキンシャサでの分割投与法を用いた予防接種キャンペーンを計画しています。
・コンゴ民主共和国(DRC)では、感染対策としての予防接種キャンペーンが、キンシャサのKisenso衛生行政地域、Kwango(クワンゴ)州Kahemba、Kajiji、Kisandji衛生行政地域で7月20日に開始されました。

出典

WHO. Situation Report, Emergencies. 28 July 2016
Situation Report; Yellow fever
http://apps.who.int/iris/bitstream/10665/246262/1/yellowfeversitrep-28Jul2016-eng.pdf?ua=1