2016年09月16日更新 ジカウイルス感染症の発生状況 (更新31)

 2016年9月15日付けでWHOより発表されたジカウイルス感染症(いわゆるジカ熱)の発生状況に関する報告です。ジカウイルス感染症の発生状況は以下のとおりです。

情報更新の要点

先週は、新しく蚊の媒介によりジカウイルス感染症が報告された国や地域はありません。
西太平洋地域のシンガポール、フィリピン、マレーシアで、新しい症例がみられたと報告されています。
先週は、新しくジカウイルス感染症と関連する可能性のある小頭症や他の中枢神経系(central nerve system: CNS)の奇形が報告された国や地域はありません。
先週は、新しくジカウイルス感染症と関連するギラン・バレー症候群(GBS: Guillain-Barré syndrome)が報告された国や地域はありません。
2016年夏季パラリンピックは、ブラジルのリオデジャネイロで開催中です。WHOは、すべてのアスリート、ボランティア、観光客、住民のために、2016年夏季パラリンピックをできるだけ安全に行うよう保健省に技術サポートを提供し続けています。この状況において、ジカウイルス伝播の危険性はゼロではありませんが低いです。すべての人が、ジカウイルスの感染伝播を避けるためのガイダンスに従うことを引き続き守っていく必要があります。

分析

2つの主要な系統、「アフリカ」系統と「アジア」系統があります。アフリカでは「アフリカ」系統のみが報告されていますが、「アフリカ」系統は、ギニアビアウで報告された一連の7人の確定症例の分析を通して最近同定されました。「アジア」系統は、アジア、西太平洋地域、アメリカ大陸地域、カーボ・ベルデから報告された株で構成されています。
シンガポールで報告された「アジア」系統のウイルスは、おそらく、以前に東南アジアで循環した株から進化しました。従って、南米から輸入された結果ではないようです。
現在のところ、神経学的合併症は、2007年より後の「アジア」系統の株にのみ関連しています。これらの2007年より後の株は、2013年以来フランス領ポリネシアから、2015年以降アメリカ大陸地域から、そして2016年にカーボ・ベルデから分離されています。以前に東南アジアで、ジカウイルス感染症症例に関連する神経学的合併症は報告されていませんが、ウイルスの進化と神経学的合併症に及ぼす影響の間の正確な関係は明らかにされていないので、継続的な警戒を行う十分な理由となります。立証されていないために、神経学的合併症の証拠が存在しないと想定するべきではありません。;これらの状況で、東南アジアやアフリカのいずれかで、小頭症や他の先天性奇形やギラン・バレー症候群を決定的に除外するための十分なジカ症例の調査数がありません。

発生状況

72の国と地域で、2007年以来(2015年から70の国と地域です)蚊が媒介するジカウイルス感染伝播のエビデンスが報告されています。
  ・55の国と地域で、2015年以降流行発生は報告されました。
  ・5つの国と地域で、2016年に、蚊が媒介するジカの感染の地域感染の可能性やエビデンスが
   あります。
  ・12の国や地域では、2015年までや2015年に地域で蚊が媒介するジカの感染のエビデンスが
   報告されています。しかし、これらの国や地域では2016年に症例の報告されていないか、
   または流行発生が終息しています。
2016年2月以降、12の国でジカウイルスのヒト-ヒト感染のエビデンスが報告されました。
20の国や地域で、ジカウイルス感染症と関連する可能性の高い、または先天性の感染が示唆される小頭症や他の中枢神経奇形が報告されました。20か国のうち4か国で、国内でジカウイルスの発生がなく、最近、ジカウイルス感染症が発生している国へ旅行したことがある母親から、小頭症新生児が生まれたことが報告されています。
18の国と地域で、ギラン・バレー症候群(GBS)の発生率の増加、および/またはGBS患者でジカウイルス感染症の検査確認が報告されています。
ギニア・ビサウでは、報告された5人の小頭症症例の調査が続けられています。
2016年5月30日までの文献を系統的に検討した結果に基づき、WHOは妊娠中のジカウイルス感染が小頭症を含む先天的脳障害の原因であり、ギラン・バレー症候群(GBS)の引き金になっていると結論づけました。また、因果関係について入手できるエビデンスの長所や弱点を評価するために、2016年2月にWHOが開発した因果関係の骨組み調査の知見は、研究における解離を特定し、さらなる作業に対する方向性を提供しています。

出典

WHO. Situation Report, Emergencies. 15 September 2016
Zika virus, Microcephaly and Guillain-Barré syndrome
http://apps.who.int/iris/bitstream/10665/250122/1/zikasitrep15Sep16-eng.pdf?ua=1