2016年10月19日更新 コレラの10の事実

 アメリカ大陸地域でコレラの発生が最も多かったハイチをハリケーン・マシューが襲いました。今後、この国および周辺国では、コレラの発生が増えることが予想されます。WHOはコレラに関する要点を10項目にまとめ、10月12日に公表しました。

 コレラは急性下痢性感染症です。コレラ菌(Vibrio cholerae)O1型またはO139型を含む食べ物やコレラ菌を含んだ水の摂取によって引き起こされます。コレラは世界の公衆衛生上の脅威であり、社会の発展を欠くことを示す重要な指標です。

 最近、衛生環境の悪い場所に住む感染に弱い住民がかつてない規模で増えていることと平行して、コレラの再興が注目されています。

事実1:コレラは急性下痢性感染症で、治療をしなければ数時間で死ぬことがあります。
 コレラは急性感染性腸炎で、コレラ菌O1型またはO139型を含む食べ物や飲料水を摂取することで引き起こされます。感染は大量の水溶性の下痢症を起こします。

事実2:毎年、21,000人から143,000人がコレラで死亡しています。
 コレラで死亡する者のうち、僅かな感染者しかWHOには報告されていません。WHOには、過去5年間で、年間129,000人から589,000人のコレラ患者が報告されてきました。(しかし)毎年、130万人から400万人のコレラ患者が発生しているとみられています。

事実3:患者の80%は経口補水液の治療することで元気になります。
 
極端に脱水症状がひどい患者には、点滴による輸液管理が必要になります。このような患者には、下痢の継続期間を短縮し、必要とされる補液量を減らし、糞便からコレラ菌が排泄される期間を短くするために、適正な抗菌薬の投与も必要とされます。

事実4:コレラを発症しても、80%の人は軽症または中等度の下痢症状だけです。
 
衛生設備の整わないところでは、細菌が環境中に流れ出してしまいます。このような環境は、さらに患者を増やす潜在的な感染源となります。およそ75%の人はコレラ菌O1型またはO139型に感染しても如何なる症状も現しません。

事実5: コレラの発生リスクの高い場所は安全な飲料水の利用環境が限られ適切な衛生環境を欠く都市周辺のスラム街などです。
 
コレラの感染リスクは生活基盤が整備されていない地域で最も高くなります。必要最低限の清潔な飲料水や衛生環境が整備されていない国内避難民や難民キャンプなども同様に感染リスクの高い地域になります。

事実6: 調査活動は流行地域に暮らす感染に弱い人々を確認しておくための最良の対策です。
 
調査活動は介入を主導し、最適のタイミングで予防活動を行い感染発生に備えるために必要です。季節性の感染発生が予測できるときには、予防対策と感染管理は予測されるピークの前に強化し、流行への準備計画、医療従事者の訓練、必需品の事前配備といった活動を行う必要があります。

事実7: 安全で有効性のあるコレラ・ワクチンが、現在は一貫したコレラ対策の一部に組み入れられています。
 
3種類の経口コレラ・ワクチンがWHOの事前審査に合格しています。これらは、数々の国で承認され、コレラのリスクの高い国のうち最も日常的に使用された国では、コレラの常在する地域で65%の人々を5年間感染から護り、減らしました。コレラ・ワクチンは、清潔な飲料水の供給など、この他に効果が確実なコレラの集団発生を予防・管理する活動と合わせて行う必要があります。

事実8:コレラは安全な飲料水と適切な衛生環境を利用できれば予防できる感染症です。
 
コレラの感染管理は、できるだけ素早く患者を治療することに懸かっています。予防、対策準備、飲料水の安全性と適切な衛生環境を相互に作用させて、効率的な調査体制をとることが、感染発生を鎮静化し、患者の死亡率を下げる最良の方法です。コレラ・ワクチンも、コレラを予防することに重要な役割を果たします。

事実9:集団感染が発見されたら、直ちに治療できる環境を整備することが重要です。
 
流行中は、直ちに十分な治療できる環境を確保しておく日常的な介入戦略が、死亡者を減らすこととなります。コレラの感染拡大は安全な飲料水の提供、適切な衛生設備、衛生習慣や安全に食べ物を扱う習慣によっても感染管理します。

事実10:現在、入国の条件としてコレラ・ワクチンの接種証明を必要とする国はありません。
 過去の経験から検疫対策および人々や食料の移動の禁止措置は必要ありません。

出典

WHO. Fact files, Media centre. 12 October 2016
10 facts on cholera
http://www.who.int/features/factfiles/cholera/en/