2016年11月28日更新 リフトバレー熱の発生- ニジェール(更新)

 2016年11月24日に公表された世界保健機関(WHO)の情報によりますと、ニジェール保健省は2016年8月30日にニジェール・タウア州で家畜が死亡するとともに、原因不明の死亡者が出たことの更新情報をWHOに報告しました。

情報の詳細

 9月23日に、人と動物の検体がダカールのパスツール研究所(IPD)で検査されました。PCR法検査によりリフトバレー熱(RVF)に陽性と判明しました。また、特異的IgM抗体によりニジェールで初めての流行と確認されました。当初、流行は北西部にあるマリと国境を接する地域、特にTahoua(タウア)州Tassara とTchintabaradenに中心がありました。しかし、最近のRVF疑い患者は、Tchintabaradenの北部と南部の新たな地域で確認されています。
 流行は、Agadez(アガデス)に近いタウア州Ingallのキル・サレ(Cure Salée:遊牧民の祭り)に一致していました。そこでは、ニジェールと周辺諸国の遊牧家畜業者が動物とともに集まってきます。流行が始まった時、感染の発生した地域には約200万頭のウシと小型の反芻動物がいたと見積もられています。さらに、ニジェールのBoni-Bangou でも家畜の流産と死亡での影響が報告されています。一方、RVF疑い患者と動物はマリの街Menakaに近い地域で特異的IgMによって確認されました。
 8月8日から11月21日までに、タウア州Abalak(アラバク)、Keita(ケイタ)、Madaoua(マダウワ)、Tilia、Tassara、Tahoua(タウア)、Tchintabaradenで死亡者32人を含む266人の疑い患者が報告されました。8月8日から11月18日までに、検体196本が検査され、患者17人がPCR検査でのRVF陽性および/または血清学的検査によるIgM抗体に陽性であると確認されました。IPDでは、RVFに陰性の検体に対し、さらなる試験が行われています。
 最近のRVFへの感染の検査(IgG、PCR陰性)が陰性であることや、この地域で感染している(家事をしていて家畜との接触のない)主婦や子供の罹患率が増加していることを考えると、他に原因が潜んでいる可能性を確認するために調査範囲を広げる必要があります。このことに関しては、現在、感染性および非感染性の疾患、並びに化学物質および毒素を含めた適応すべき調査プロトコルが作成されています。

公衆衛生上の取り組み

・国際保健規則の規定に基づき、WHOはニジェール保健省(Ministry of Health:MoH)が流行を確認する初期調査を行うための支援をしています。
・10月第1週には、MoHと畜産省(MoL)との合同野外調査が行われました。これは、感染の発生した地域で進行している流行の調査に加わり、感染の防止と管理対策を確実に実施し、RVFに対する地域社会の取り組みを始めるためのものです。
・Centre de Recherche Médicale et Sanitaire(CERMES: 医学・衛生学研究センター)での検査と職員への訓練が、IPD(ダカール・パスツール研究所)の専門家によって開始されました。
・世界規模の感染症に対する警戒と対応ネットワーク(GOARN)は、支援組織とともに、ニジェールの首都ニアメで検査処理能力を強化するために、IPD(ダカール・パスツール研究所)から検査専門家を派遣しました。具体的には、検体を検査しながら、現地の血清検査の専門家6人を訓練しました。
・保健省および畜産省を支援し、対策に取り組むべく、流行を確認するための初期調査に加わるため、食糧農業機関(FAO)と国際獣疫事務局(OIE)危機管理センターの職員が派遣されました。
・近隣諸国で検査処理能力の向上を支援するために、この地域でのAFR-EDPLN(Africa established the regional Emerging and Dangerous. Pathogens Laboratory Network)の関与が開始されました。
・検査試薬と必要品の補充と強化が、WHOアフリカ地域事務局によって促進されました。
・検体輸送のための三重包装の準備が、WHOアフリカ地域事務局によって促進されました。
・包括的な流行調査プロトコルが、WHO本部とアフリカ地域事務局からの支援を得て、ニジェールのWHO事務所よって作成されています。
・調査活動、検査、リスクの情報伝達、昆虫学の分野において重要な対策を実施するために、資金が導入されています。
・患者の管理や地域の衛生環境の整備を支援している現地の非政府組織(Alima / l'ONG BEFEN / Red Cross)が、ユニセフの支援を受けながら、関わりを続けています。
・IPDの昆虫学専門家が、保健省の昆虫学者と合同で、総合的な現地調査を行いました。現地で採取された検体はRVFウイルスに対し全て陰性の結果でした。
・MoHが流行と対策への活動、具体的には、この国における疫学調査活動と対策、患者の管理、リスクの情報伝達、地域活動員活動の分野での支援を行うために、WHOアフリカ地域事務局とGOARNにより職員の追加派遣が行われています。
・住民におけるRVFの一般的な特徴および症状を考えれば、医療施設で症状を訴える疑い患者には、マラリアの迅速診断検査が実施されることも必要となっています。

WHOによるリスクアセスメント

 2016年10月以降、疫学的な発生状況は進行しています。2016年8月以後、10月に確認された2人、11月に確認された2人を含め、196検体からRVFが確認された患者は、17人だけでした。疫学上のデータでは、RVFの流行の拡がり方は控えめであることを示しています。

 健康管理の基盤が限られており、(流行のリスクのある)地域および住民は遊牧ルートに沿って点在しているため、これまでにRVFの流行が発生していない地域に広がっているかどうかを、引き続き調査する必要があります。
 家畜取り扱い業者は移動が極めて多く、近隣諸国を含めてサヘル地方の多くの牧草地を探しながら、遊牧ルートに沿って移動しています。ニジェールでのRVFの流行は、この国の健康管理の基盤が限られており、住民が遊牧ルートに沿って点在しているために、深刻な公衆衛生上の脅威となり、懸念材料と考えられました。マリ、ブルキナファソ、ナイジェリア、チャド、ベナン、トーゴ、カメルーンをはじめ、これまでにリスクに曝された国々でRVF患者は報告されていません。
 人と人の間で感染性疾患が容易に広がることは現時点で示唆されてはいませんが、調査は必要とされる対策と感染管理への活動に影響を与えることから、さらに広げて病気の原因を確定させる調査を行う必要があります。

WHOからのアドバイス

 感染が発生した地域からの生きた動物、またはその製品(肉または牛乳)の輸出入に関する貿易上の措置は、国際獣疫事務局(OIE)の「陸上動物・衛生コード2016」に従う必要があります。

出典

WHO. Emergencies preparedness, response. Disease outbreak news. 24 November 2016
Rift Valley fever in Niger
http://www.who.int/csr/don/24-november-2016-rift-valley-fever-niger/en/