2017年01月16日更新 黄熱の発生報告 - ブラジル

 2017年1月13日にWHOから公表された情報によりますと、ブラジル保健省は2017年1月6日に、Minas Gerais(ミナス・ジェライス)州の6行政地区から黄熱疑いの患者12人が発生したことを報告しました。

 同じ日に、ブラジルのIHR国家担当者は、僻村に住む12人の男性患者(平均年齢は約37歳、年齢幅は7-53歳)についてPAHO/WHOに報告しました。このうち、最初の患者は2016年12月18日に発症しました。患者から採取された検体は、デング熱、ハンタウイルス熱、レプロスピラ、マラリア、ロッキー山紅斑熱、ウイルス性肝炎(A, B, C, D, E)との鑑別診断を行うために、州立中央検査施設(the Ezequiel Dias Foundation)に送られました。現在、結果を待っている状態です。

 ブラジルのIHR国家担当者は、1月12日に、ミナス・ジェライス州の15行政地区からの疑い患者110人(死亡者30人)の事例報告を更新しました。報告されたのは、Ladainha(ラダイーニャ:患者31人、死亡者11人)、Caratinga(カラティンガ:同20人、1人)、Imbe de Minas(インベー・デ・ミナス:同14人、1人)、Piedade de Caratinga(ピエダーデ・デ・カラチンガ:同12人、4人)、Poté(同6人、3人)、Ubaporanga(同6人、2人)、Itambacuri(イタンバクリ:同5人、3人)、Ipanema(イパネマ:同4人、1人)、Malacacheta(同4人、2人)、Entre Folhas(エントレ・フォーリャス:患者2人)、Frei Gaspar(患者1人)、Inhapim(イニャピン:同2人)、São Domingos das Dores(サン・ドミンゴス・ダス・ドーレス:同1人)、São Sebastião do Maranhão(サン・セバスチアン・ド・マラニョン:死亡者1人)、Setubinha(死亡者1人)でした。疑い患者19人の血清検査で黄熱に陽性と判明しました。このうち患者10人が死亡しています(死亡率53%)。報告では、ミナス・ジェライス州の13行政地区で動物での感染も確認されました。13のうち6行政地区では、これまでのところ黄熱患者は報告されていません。これらの行政地区は、Agua Boa(アーグァ・ボア)、Durande、Ipatinga(イパチンガ)、Sao Pedro do Sacui(サン・ペードロ・ド・スアスイー)、Simonesia、Teófilo Otoni(テオフィロ・オトニ)です。

公衆衛生上の取り組み

 連邦、州、および地方行政レベルの保健担当部局は、流行に対処するためのいくつもの対策を実施しています。
・保健省は、ミナス・ジェライス州に技術チームを派遣し、州および地方行政の健康保健部局に対して、疫学調査および流行調査、媒介する蚊の駆除、医療保健サービスの調整などを支援しています
・感染の発生している地方自治体の僻村部落では、自宅での予防接種活動が実施されています。
・ミナス・ジェライス州に隣接する州では、黄熱が流入する可能性に備えた活動が行われています。
・現地の報道機関は、保健省と協力して、常に、国民に発生状況を知らせています。

WHOのリスクアセスメント

 ミナス・ジェライス州では、以前にも黄熱が発生しました。最新では2002年から2003年に流行が発生し、死亡者23人(死亡率:37%)を含む確定患者63人が確認されました。

 現時点で、黄熱の流行は、ワクチン接種率の比較的低い地域で発生しており、そのことが急速に流行を拡大させています。懸念されるのは、ミナス・ジェライスに隣接する地域、Espírito Santo(エスピリトサント)州やBahia(バイーア)州の南部などに流行が拡大することです。これらの地域では、このウイルスが感染伝播しやすい生態系となっています。また、これらの地域は、これまで、感染伝播のリスクが低いと考えられていたため、黄熱ワクチンの接種は推奨されていませんでした。これらの地域にウイルスが持ち込まれると、黄熱の大流行が引き起こされる可能性があります。さらに、感染した人が、シマカ属の蚊が生息し、人から人への局所的な感染伝播サイクルを発生させてしまうようなブラジル内外の地域を旅行することで、流行を起こすようなリスクもあります。ジカウイルス感染症、チクングニア熱、デング熱といった流行が同時に発生しているという現実が、感染対策への取り組みをさらに複雑にさせています。

 WHOは疫学的な発生状況を監視し、可能な限り最新の情報を入手しながらリスクアセスメントを行っています。

WHOからのアドバイス

 黄熱は、ワクチン接種を旅行の少なくとも10日前までに実施し、免疫力を備えることで予防することができます。そのため、WHOは、地域感染サイクルが確立される可能性のある地域をもつ加盟国に対し、感染の可能性の高いすべての地域(すなわち、ウイルスを媒介できる蚊が生息する地域)へ旅行する者には、予防接種による免疫状態の管理を強化することを要請しています。

 WHOは、入手できている情報に基づく限り、現在、ブラジルへの旅行および貿易の制限を推奨してはいません。

出典

WHO. Disease outbreak news, Global Alert and Response (GAR). 13 January 2017
Yellow fever - Brazil
http://www.who.int/csr/don/13-january-2017-yellow-fever-brazil/en/