2017年01月18日更新 鳥インフルエンザA(H7N9)の発生状況 (更新)

 2017年1月17日にWHOから公表された情報によりますと、1月5日に香港特別行政区健康局より鳥インフルエンザA(H7N9)感染者1人が検査確認されたことがWHOに報告されました。また、1月9日に中国の国家衛生・計画出産委員会(NHFPC)より鳥インフルエンザA(H7N9)感染者106人が新たに検査確認されたことがWHOに報告されました。

報告の概要
香港特別行政区健康局
 1月5日に、香港特別行政区健康局より鳥インフルエンザA(H7N9)感染者1人が報告されました。患者は62歳男性です。2016年12月15日より広州市Zengcheng,(増城)を旅行し、発病しました。彼は、2017年1月1日に広州市に滞在中に、インフルエンザ様の症状を発現しました。1月2日には、Dongguan(東莞)市の病院に入院し、1月3日に香港に戻りました。1月4日には、(香港で)入院し、さらに治療を受けました。(しかし)彼の容態は悪化し、さらなる治療のために集中治療室(ICU)に移送されましたが、彼は1月6日に死亡しました。患者の検体からは、RT-PCR法検査により鳥インフルエンザA(H7N9)に対する陽性反応が1月5日に出ました。患者は、この数日間に家禽類と接触したり、生きた家禽を扱う市場を訪れたりしたことは報告されていません。接触者の追跡が行われています。

中国の国家衛生・計画出産委員会
 1月9日に中国の国家衛生・計画出産委員会(NHFPC)より鳥インフルエンザA(H7N9)感染者106人が報告されました。発症の日は、2016年11月22日から2016年12月29日までです。患者106人のうち、36人が女性です。年齢の中央値は54歳で、年齢範囲は23〜91歳でした。患者は、江蘇省(52人)、浙江省(21人)、安徽省(14人)、広東省(14人)、上海(2人)、福建省(2人)、湖南省(1人)から報告されており、報告時点での死亡者は35人、重症例は57人でした。患者のうち80人は、家禽や生きた家禽を扱う市場との接触機会があったと報告されています。

 2つの集団感染が報告されました。

1つ目の集団感染
・66歳男性。江蘇省Suzhou(蘇州)市の住民で、2016年11月25日に発症しました。11月28日に入院しましたが、12月12日に死亡しました。家禽を扱う市場との接触機会がありました。
・39歳女性。江蘇省Suzhou(蘇州)市の住民で、2016年12月8日に発症しました。彼女は、同日に入院しました。彼女は66歳男性患者の娘でした。報告の時点では、彼女は重症の肺炎に苦しんでいました。

 66歳男性患者と39歳女性患者との間での人から人への感染は否定できません。

2つ目の集団感染
・66歳男性。安徽省Suzhou(蘇州)市の住民で、2016年12月16日に発症しました。12月17日に入院しましたが、12月20日に死亡しました。家禽を扱う市場との接触機会がありました。
・62歳男性。安徽省Suzhou(蘇州)市の住民で、2016年12月22日に発症しました。彼は、66歳男性患者と同じ病棟で入院していました。現在、彼の容態は重篤です。

 66歳男性患者と62歳男性患者との間での人から人への感染は否定できません。

 2013年初頭からこれまでに、IHRを通して、鳥インフルエンザA(H7N9)の確定診断患者916人が報告されています。

公衆衛生上の取り組み
 2016年12月における鳥インフルエンザA(H7N9)への感染に対する検査確認患者の増加を踏まえ、中国政府は、次の強化策を実施しています

・中国国家衛生・計画出産委員会(NHFPC)は、疫学状況のあらゆる変化に関するリスクを速やかに評価し、(対策を)検討するために、国内の流行状況の調査活動を強化しました。
・NHFPCは集団発生の感染源に対し効果的に感染対策を実施するとともに、感染者の発生を最小限に留められるように、NHFPC内に要請し、浸透を図りました。
・早期の診断と早期の治療、重症患者の治療を強化し、重症患者と死亡者の発生を減らしました。
・さらなる医療体制の強化を行いました。
・NHFPCと農業省および通商産業省との間での合同調査が、さらなる患者が発生している江蘇省、浙江省、安徽省、広東省に入りました。そこでは、現地の調査活動、医療体制、感染予防と感染制御のおける高度な管理体制と、検査、指導が行われ、生きた家禽を扱う市場の管理や地域間の輸送に焦点を当てた感染対策が進められました。
・江蘇省、浙江省、広東省、安徽省内の関係する行政地域は、2016年12月下旬に生きた家禽を扱う市場を閉鎖し、家禽市場の規制を強化しました。
・国民に対してリスク情報を周知し、国民との情報の共有を図りました。

 香港特別行政区健康局健康センターより、次のような対策が取られています。

・日常、旅行中ともに個々人、食糧、環境の衛生状態を厳格に維持することを市民に要請しました。
・医師、病院、学校に対する注意情報を発令し、最新の発生状況を各機関に知らせました。

WHOのリスク評価
 この時期(12月〜1月)に、以前にも同様に、急激に鳥インフルエンザA(H7N9)感染者数が増加することは、過去の数年間にもみられました。それでも、関連するリスクを評価し、リスクの管理対策に適切に対応していくには、疫学的な発生状況と最新のウイルスのさらなる特徴を詳細に監視することが重要です。

 人におけるほとんどの感染者は、感染した家禽との接触または生きた家禽を扱う市場などのウイルスに汚染された環境との接触を通して、鳥インフルエンザA(H7N9)に感染しています。このウイルスが動物や環境中で検出され続けている限り、さらに患者が発生することが予想されます。医療従事者が関係する感染も含めて、これまでにも人への感染の小さな集団発生は報告されてきましたが、現在の疫学的・ウイルス学的な根拠からは、このウイルスが人と人との間で感染伝播を維持し続ける能力は獲得していないことが示唆されています。それ故に、地域レベルで感染が拡がる可能性は低いと考えられます。

 この鳥インフルエンザA(H7N9)ウイルスの人での感染は稀ですが、公衆衛生上に深刻な影響を与える可能性があるものとして、このウイルスの変異の有無および/または人への感染率の変化を検出する必要があり、厳密に監視することが必要です。

WHOからのアドバイス
 WHOは、鳥インフルエンザの発生が確認されている国への渡航者に対し、可能な限り養鶏場への立ち入り、生きた家禽類をさばく市場での動物との接触、家禽を解体する場所への立ち入り、家禽や動物の排泄物で汚染されているとみられるあらゆる物品との接触を避けることを勧めています。渡航者は石鹸と水で手をよく洗い、食品の安全と衛生習慣の維持に努めるべきです。

 WHOは、この事象に関連して、特別な入国スクリーニングおよび渡航や貿易の制限を行うことを推奨してはいません。鳥インフルエンザが懸念される地域を渡航中又は帰国した直後に、渡航者が重症の急性呼吸器症状を発症した場合には、常に鳥インフルエンザウイルスへの感染を鑑別診断として考えておくべきです。

 WHOは各国に対して、重症急性呼吸器感染症(SARI)およびインフルエンザ様疾患(ILI)のサーベイランスを含むインフルエンザのサーベイランスの強化を継続し、通常と異なる傾向がないか慎重に調査し、人症例が生じた際には国際保健規則(2005)に基づき必ずWHOに報告し、各国国民の健康に備える活動を続けていくことを求めています。

 中国に滞在される方は、今後も情報に注意していただくとともに、手洗いや咳エチケットをこころがけてください。また、鳥に直接触ったり、病気の鳥や死んだ鳥に近寄ったりしないようにしてください。入国の際に、発熱、咳、喉の痛みなどの症状がある場合には検疫所に相談してください。

出典

WHO. Disease outbreak news, Emergencies preparedness, response. 17 January 2017
Human infection with avian influenza A(H7N9) virus - China
http://www.who.int/csr/don/17-january-2017-ah7n9-china/en/