2017年01月30日更新 黄熱の発生報告 - ブラジル(更新)

 2017年1月27日にWHOから公表された情報によりますと、ブラジル保健省は2017年1月24日に、黄熱の発生状況の更新情報をPAHO(汎米保健機構)/WHOに報告しました。確認された黄熱患者の地図上の分布は拡大しており、Minas Gerais(ミナス・ジェライス)州に加えて、Espírito Santo(エスピリト・サント)州やサンパウロ州にも拡がっています。また、Bahia(バイーア)州でも、調査中に6人の黄熱患者が報告されました。

 エスピリト・サント州は、以前は黄熱のリスク地域と考えられていませんでしたが、1940年以降で初めて、黄熱の地域感染による患者が確認されました。患者は、Ibatiba行政地区に住んでいる44歳男性です。サンパウロ州でも、黄熱の検査確定患者3人が報告され、3人ともに死亡しました。ミナス・ジェライス州では、1月24日までに、合計で患者404人(確定患者66人、疑い患者337人。1人は診断が棄却されました)が報告されました。このうち、84人が死亡しました[確定患者の死亡37人(56%)、疑い患者の死亡47人(14%)]。報告された疑い患者と確定患者の合計は、2000年以降、この国で最も多い数値となっています。

 ミナス・ジェライス州での患者66人のうち、88%は男性で、45%は黄熱ワクチンを接種していませんでした(残る55%のワクチン接種歴は、不明もしくは情報がありません)。

 さらに、人以外の動物での大規模な流行が、サンパウロ州(黄熱確定の3個体を含む動物247個体)、エスピリト・サント州(動物367個体)で報告されました。エスピリト・サント州では、動物個体がIrupia行政地区とColatina行政地区で黄熱と確認されました。

公衆衛生上の取り組み

 ブラジル保健当局では、連邦、州、および地方行政レベルの保健担当部局が、流行に対処するためのいくつもの対策を実施しています。

ブラジルの保健省は、2017年1月に全国ワクチン・カレンダーの定期供給の一環として、全国に黄熱ワクチン65万回分が配分されるのに加え、黄熱ワクチン420万回分、バイーア州に(40万回分)、エスピリト・サント州(100万回分)、ミナス・ジェライス州(240万回分)、リオ・デ・ジャネイロ州(35万回分)が配分されました。
感染が発生している行政地区でネッタイシマカの繁殖場所を除去するための媒介蚊の駆除活動が開始された。
発生状況を把握する対策本部が、感染の発生した州と国レベルで設立されました。
保健省によって、発生状況を知らせ、対策方針を示すためのWeb上のポータル・サイトが開設されました。

WHOのリスクアセスメント

 ミナス・ジェライス州の黄熱患者の増加、新たに2州で患者が確認されたこと、患者が報告されている州における動物個体での感染の発生などが、新たな地域への流行における地理的な拡がりを強く示しています。

 現段階では、ネッタイシマカが今回の集団感染の発生に関与しているという証拠はありません。しかし、都市部での黄熱の伝播を排除することはできません。

 人々が国内を自由に移動し感染したサルもいること、これまでは黄熱の伝播のリスクがないと考えられていた地域ではワクチン接種率が低いことなどから、新たな患者がブラジルの他州でも発見されることは予想されます。また、ブラジルの内外でシマカ属の蚊が生息する地域に感染者が旅行することで、地域的に人から人への感染サイクルの発端となるリスクもあります。これまでのところ、今回の感染発生に関連して隣国で報告された黄熱患者はおりません。

 ブラジルにおける黄熱の活動の現在の状況とこの急増は、WHOが発行している「国際旅行と健康、2016」で黄熱が伝播するリスクがあると考えられてきた地域を越えて拡大しています。そのため、国の保健当局は、この流行を含めた適切な措置を取るとともに、旅行者に対する黄熱ワクチンの推奨事項を更新し直す必要があります。

 新しくブラジルで黄熱の伝播のリスクがあると定義付けられた地域(Areas at risk for yellow fever transmission in Brazil, 2013-2017)で、2013年のリスクアセスメントと異なる地域は次のようになっています。

 バイーア州:黄熱の伝播リスク地域が拡大し、南部と南西部の次の行政地区が含まれています。
Alcobasa、Belmonte、Canavieiras、Caravelas、Ilheus、Itacare、Mucuri、Nova Visosa、Porto Seguro、Prado、Santa Cruz Cabralia、Una、Urusuca、Almadina、Anage、Arataca、Barra do Chosa、Barro Preto、Belo Campo、Buerarema、Caatiba、Camacan、Candido Sales、Coaraci、CondeUba、Cordeiros、Encruzilhada、Eunapolis、Firmino Alves、Floresta Azul、Guaratinga、Ibicarai、Ibicui、Ibirapua、Itabela、Itabuna、Itagimirim、Itaju do Colonia、Itajuipe、Itamaraju、Itambe、Itanhem、Itape、Itapebi、Itapetinga、Itapitanga、Itarantim、Itororo、Jucurusu、Jussari、Lajedao、Macarani、Maiquinique、Mascote、Medeiros Neto、Nova Canaa、Pau Brasil、Piripa、Planalto、Posoes、Potiragua、Ribeirao do Largo、Santa Cruz da Vitoria、Santa Luzia、São Jose da Vitoria、Teixeira de Freitas、Tremedal、Vereda、Vitoria da Conquista;

 エスピリト・サント州:Vitoria(ヴィトリア)の都市部を除く全地区が黄熱の伝播のリスクがありとされています。

 リオ・デ・ジャネイロ州:ミナス・ジェライス州とエスピリト・サント州に隣接し、北部の次の行政地区で黄熱の伝播のリスクがあるとされています。
Bom Jesus do Itabapoana、Cambuci、Cardoso Moreira、Italva、Itaperuna、Laje do Muriae、Miracema、Natividade、Porciuncula、Santo Antonio de Padua、São Fidelis、São Jose de Uba、Varre-Sai、Campos dos Goytacazes、São Francisco de Itabapoa、São João da Barra.

 黄熱の伝播のリスクがあると考えられた、これらの新しい地域の決定は、(人々の)移動に伴うリスクの評価過程を経て、予備的かつ予防的な第一段階として示されています。

WHOからのアドバイス

 ブラジルで黄熱の伝播のリスクのある地域を訪れる予定の旅行者へのアドバイスとして、黄熱の予防接種は旅行の少なくとも10日前から含めること、蚊刺しを避ける対策をよくみておくこと、黄熱の自他覚症状に注意を払うこと、黄熱が伝播する地域の旅行中および帰宅後、特に、黄熱を媒介できる蚊が国内に生息する国に帰国した後にも、素早く医療施設を受診できるようにしておくこと、が挙げられます。

 IHRの補足7に書かれているように、黄熱ワクチンを1回接種すれば、十分に、黄熱に対して免疫応答が維持され、生涯にわたり予防することができます。免疫力の増強のために黄熱ワクチンを追加接種する必要はありません。もしも、医学的な理由で、旅行者が黄熱の予防接種を受けることができないならば、そのときには、IHRの補足6と補足7にしたがって、関係する保健当局からの証明書を取得しなければなりません。

 WHO事務局は、入手できた情報に基づく限り、現在、ブラジルへの旅行および貿易の制限を推奨してはいません。

出典

WHO. Disease outbreak news, Global Alert and Response (GAR). 27 January 2017
Yellow fever - Brazil
http://www.who.int/csr/don/27-january-2017-yellow-fever-brazil/en/